twnovelまとめ（2012/12-16-2013/2/2）自分用

銭喰 @zeniqui

#twnovel 彼女は傘が嫌いだ。頭より少し高いところに何かあると天使の輪にぶつかってしまうと言う。また彼女はレインコートも嫌う。天使の羽が抑えつけられて苦しいそうだ。結果いつも僕が傘を持つ。頭一つ小さい彼女の天使の輪がいつも僕の顔の横で輝いているが、彼女の方がもっと輝いている

銭喰 @zeniqui

#twnovel 赤酢菌ちゃんは葡萄酒瓶に詰め込んだ赤酢ウィルスでお婆さんにバイオテロ。見るまにお婆さんの耳は伸び口は裂けて狼となった。『グオォ…あ・か・ず、きんんん…』そこに窓硝子を割って飛び込んでくる猟師セガール！『ガアァ！』格闘の末、見事狼を倒した！　ありがとう、セガール！

銭喰 @zeniqui

#twnovel コードがよく絡むイヤホンで有名なあの会社が新製品を発売した。気がつけばよく絡むコードを逆手に取って、その名も『知恵の輪コードイヤホン』知恵の輪が解けねば音を聴くことすらできず、その難易度は研究を重ねて『かじかんだ手でイヤホンコードを解くレベル』を実現している。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 紫煙とジャズで彩られたBarで妙齢の美女が二人、独り言を呟いている。「信頼されてる」「すぐに飽きて忘れてしまう」「私は本気」「本気になった方が負け」「それは…わかってるけど」信じたい、と書かれたマヤの横顔に昔の自分を見た気がして。ノストラダムスはグラスを弾いた。

銭喰 @zeniqui

#twnovel １２月２３日という日には毎年流星群が観測される。しかし天文学者も気象予報士も占星術師も、この事実をずっと伏せ続けている。全世界のよい子たちのため、クリスマスに向けて大気圏を突入してくるサンタ達の努力を無駄にしないため。ずっとずうっと、この事実は記録に残らない。

銭喰 @zeniqui

#twnovel モテない者達が日付変更線をうまく利用してクリスマスを乗り越えるツアーを企画した。一行が向かうのは最も一日が早く訪れる国、キリバス。飛行機に乗っているうち２６日の朝を迎えようという魂胆だ。しかし一行が現地に到着したのを出迎えたのは、自然豊かなクリスマス島であった…

銭喰 @zeniqui

#twnovel 涙は女の武器という。本当だろうか。真実を確かめるため涙を武器化した武術、京都女涙流の師範を訪ねた。『ｾｨ、ｴｪｲ！』なるほど。師範が気合いを籠める度、涙腺からマッハ３で涙が射ち出され的を貫く。確かにこれは武器だ。残る疑問は、この師範がヒゲのオッサンということだ

銭喰 @zeniqui

#twnovel 八百屋でおせちの具材を選んでいると、奇妙な野菜に目が止まった。それは一見何でもないニンジンだが幾つかの山に分けられ『ウマ用』『ウサギ用』などと書かれた段ボール片が置かれている。「ニンジンください」「まいどっ」迷って店主に判断を委ねると、笑顔で『ヘビ用』を渡された

銭喰 @zeniqui

この時期の龍は角が片方折れて鱗はボロボロ。つけヒゲはとれてしまっている。実は、干支の龍は蛇のコスプレなのだ。 #twnovel ――なぜコスプレを？「実在しないからね、龍」――だから代わりに蛇さんが「まあ適任だし、色々あって」――色々？「ノーコメント。ヘビーなりゆうがあるんだよ」

銭喰 @zeniqui

#twnovel 「あれまで行った」「あれまでしか行けなかった」「あれまでで大体一里だ」「あれを目標にする」路傍の石仏は上下貧富問わず皆に知られる。時にその事績は感嘆をもって語られ、口さがなく虚像だと罵られもする。しかし石仏は風雨歳月を超えて知られ続け、標として旅人を導き続ける。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 年に一度、元旦だけ十年前の自分と会話できる電話を作った。新年を記念して十年前の自分になにか伝えようと思うが、さて何にしようか。電話を前に悩んで悩んで、ふとイタズラを思いつき受話器を取ろうとすると、電話が鳴った。「もしもし、俺だけどさ。十年前は2013年なんだぜ」

銭喰 @zeniqui

#twnovel 「こんこん、こんこん、」どうやら郷里に帰った時に貰った…「こんこん、」…をこじらせてしまったらしい。「こんこん、」止まらない…「こんこん、」…まで外出は控えた方が良さそうだ。「こんこん、こんこん、」私は一番大きな…「こんこん、」…を抱いて、残りの八尾にくるまった

銭喰 @zeniqui

元旦に受け取ったポチ袋の中には、『６すすむ』と書かれたトランプのような硬質のカードが入っていた。 #twnovel 「？」商品券や図書カードというわけでもない。いったいどういう意味だろうか。少し考えていたが時計を見て我に帰る。いけないいけない。今日から学校だった。遅刻してしまう。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 「あっ」「へへっ、もーらいっ」かじかむ手で取り出したリップクリームを、彼女は横から奪って自らの唇に塗った。「ちょっとだけ、ね？」イタズラっぽく笑う彼女に言いたくて、でも言えなくて。僕は言葉を今日も胸にしまいこんだ。――そのリップ、さっき鼻の穴に塗ったんだけど。

銭喰 @zeniqui

#twnovel あっ七草粥食べ忘れた！というそこのアナタ、大丈夫です。『無くて七草』と言うように冷蔵庫を漁れば七種の草なんて幾らでもあるんです！ほら、この冷蔵庫にも人参、馬鈴薯、玉葱、ホウレン草、ウコン、辣韮…ちょw六種しかないwあれだけ言い切ったのにwwて言うか今日８日www

銭喰 @zeniqui

#twnovel 10/10が眼鏡の日であるなら1/10はモノクル（単眼鏡）の日とすべきであろう。なんだね110番の日とは。モノクル愛好者は紳士的な怪盗ばかりだというのに！　あ、通報はやめたまえ、やめたまえ。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 「おはようっ」挨拶早々、絡めた腕の先をコートのポケットに滑り込ませてきた。冷えた指先を私の指の間に押し入れる。「冷たいよ」「だって、こっちのポケットじゃ入らないもん」ゆっくり一つになる二人の体温。口では文句を言うが、このために大きめのコートを買ったことは秘密だ。

銭喰 @zeniqui

「寿命を短くする薬だ」祖父はそういって、言葉すら吸い込むようにコップ酒をすすった。赤ら顔でだらしなく笑う祖父や親父を見て、こうはなるまいと心に決めた。 #twnovel 喉奥に温かい液体がぶつかると鼻孔を快楽が抜けて熱い腹に毒が沁みる。私も「寿命を短くする薬」が必要な年になった。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 彼女の頭頂部にはタンポポが根差している。清楚な花を咲かせる彼女の綿帽子が欲しくて、堪らなくて。風と共に飛び立った綿毛を何処までも、何時までも追いかけた。隣町まで飛んだ綿毛はさる民家の犬の頭に着いて僕は諦めたが、後に犬が妊娠したと聞き、僕は彼女が男であると知った。

銭喰 @zeniqui

#twnovel つつもたせに遭ってしまった。居酒屋で一杯引っかけた帰り道。馴染みのゲーセンでガンシューをしていると美女がやたらと話しかけてくる。ここで疑うべきだったが、ほろ酔い気分でホテルへ直行。そこに厳つい男達が現れて…というよくあるパターン。以来、砲兵として大筒を担ぐ毎日だ

銭喰 @zeniqui

#twnovel 商店街に並ぶ店。昨日屋と今日屋と明後日屋。昨日屋は楽しい過去を扱うオモチャ屋さん。隣の今日屋は生活必需の現在を扱う雑貨屋さん。その隣は明日屋だったけど、店主に未来の売り場を尋ねても明後日を向いてばかりなので明後日屋になった。明後日屋が何を扱ってるのかは知らない。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 気まぐれな王様がふらりと街の骨董品店を訪れて店主に尋ねた。「この鏡の名前はどういう意味じゃ？」「王様、それは中に己が映るのを見て、名前に惹かれ覗き込む自分こそがそれであると戒める物です」「なるほどのう」鏡の名前は『愚か者が映る鏡』中には写真が一枚が貼ってあった。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 気まぐれに降った都心の雪は多くのスノーマンを生んだ。軒に並ぶスノーマンたち。クリスマスはとうに過ぎ、バレンタインには早すぎる。何の役に立つわけでもなく、ただただ佇むのみ。生まれたその時は祝福もされたが、時が経つうち疎まれるようになった。人と成る日に生まれた者達。

銭喰 @zeniqui

#twnovel 「おーい、かみをくれぇ！」薄い木壁を叩きながら、我ながら情けない声が出た。『はいはい』個室下の隙間から紙が手渡される。「これじゃないよ！」『こっち？』今度は髪の毛が伸びた。「違うよ！」『…迷える子羊よ懺悔があれば聞こう』「ああ、来てくださったのですね。神さま！」

銭喰 @zeniqui

#twnovel 蟷螂の斧とは思っていたがトロント行きは徒労に終わった。トロッコでとろろを発掘するトロントとろろ鉱山は資金が融ろけるばかりでとろろの源泉に当たらず終わる。帰国して吐露した社長に株主は「とろろは鉱山で取れない」「ゴハンの用意が無駄になった」と指摘し総会は泥沼となった