まいたけ氏 @maitake_stp による科学技術政策における顧問制度についての解説

最近の科学技術政策の動向に関心がある人にどうぞ。
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まいたけ @maitake_stp

CSTP改組について、自民党小委員会が設置されたけど、顧問まで踏み込むかなー。 http://t.co/w58OhbQf

2013-01-31 04:01:34
まいたけ @maitake_stp

@webroomy CSTP改組は第3期科学技術基本計画からの課題ですが、科学顧問は東日本大震災以後に湧いてきたトピックです。重要か否かは、科学顧問の位置付けをどのように考えるかで違うのではないかと思います。

2013-01-31 04:28:45
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 科学者の代表が、公職として、大統領や首相、内閣に助言を行う所謂科学顧問(Science Advisor)制度は、英米諸国にありますが、各国でその位置付けは微妙に異なります。代表例として、米国と英国の例を紹介します。

2013-01-31 04:32:40
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 米国では、大統領科学顧問と科学技術政策局(OSTP)局長も兼務するのが通例ですが、徐々に科学技術政策のとりまとめ役に比重が移りつつあるとの研究があります。二次大戦後の冷戦真っ只中では、安全保障政策等への助言の方が主要な役割であり、顧問もみな物理学者でした。

2013-01-31 04:38:54
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 英国の主席科学顧問(GSCA)は、科学的助言を本務としています(政策の企画立案への関与は限定的とされます)。また各省にも科学顧問が置かれています(但し、各省で顧問の役割は若干異なり、例えば国防省ではファンディングに関与しています)。

2013-01-31 04:44:18
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 一昨年前の有識者研究会報告書では、英国を念頭に置いた科学顧問制度が提案されています。また、助言を科学的助言(政策的助言ではない)に限定すべきことや、CSTP(科技イノベ本部)の構成員とならず、政策決定には携わらないことを提言しています。

2013-01-31 04:48:31
まいたけ @maitake_stp

@webroomy このほか、各省への科学顧問の導入も求めていました。これらは座長だった吉川先生を始めとして、助言を政策や政治と峻別することで、首席科学顧問の独立性と正統性を高めることを意図したものでした。

2013-01-31 04:54:57
まいたけ @maitake_stp

@webroomy ここからは私の意見が混じりますが、科学的助言に限定することは困難と思います。科学的助言であっても政策に影響することは間違いなく、法案化が断念されたのも、科学顧問の位置付けの不明確さと全省的な政策形成プロセスの変更を伴うことが嫌われたことによりましょう。

2013-01-31 04:58:10
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 首相指名及び任命の首席科学顧問に政治性は避けがたい気もします。政権(首相)が交代しても首席科学顧問は任期一杯留任すべきで、英国はそのようになっていますが、我が国でそのようにできるのかも分かりません。結局軽視される原因になるかもしれません。

2013-01-31 05:03:02
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 吉川先生を始めとして日本の科学者コミュニティやSTS、城山先生等は、科学的助言に専念する英国型モデルを推しており、同時に政策プロセスにおける科学の健全性(science integrity)の確保を目指しています。

2013-01-31 05:07:47
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 但し、米国型について財界がどのように考えるかは分かりません。CSTP改組の一つに産業界出身の議員の増員があり、財界は基本的に学者にネガティブです。科学顧問を介さずとも、財界の提言等が採用され、金が回るならば、寧ろ邪魔とされるかもしれません。

2013-01-31 05:22:58
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 小委員会で話される先生は、みな英国型を推されるでしょうから、米国型は考え難いかもしれません。また、危機管理やNSC改組等にも踏み込むのかという論点もあります。この辺りも含めて、科学顧問制度が法制化された場合は、それなりの変化でしょう。長文駄文失礼しました。

2013-01-31 05:26:27
まいたけ @maitake_stp

@webroomy 科学的助言体制については、説明が不十分な事項もありますが、現時点では次の2つがよくまとまっています。ご参考までに。【国会図書館報告書】http://t.co/z5fjv3vA 【有識者研究会資料】http://t.co/N197CAC7

2013-01-31 05:35:41
Kazuto Suzuki @KS_1013

@maitake_stp 一連のツイート、大変勉強になります。英国型の科学顧問制度の導入の推進者はevidence based policyという英国型の科学技術政策の導入も目指してますね。科学顧問が持つ政治性を考える時、原発事故の時の班目委員長の役割等を思い出しながら見ています

2013-01-31 08:00:16
まいたけ @maitake_stp

@KS_1013 恐縮です。evidence-based policyは科学技術政策にとどまらない気がします。それだけに英国のように各省毎に科学顧問を導入するとした場合の意義は大きいと思います(そもそも日英では省内の政策形成過程が異なりますが)。

2013-02-04 02:08:01
まいたけ @maitake_stp

@KS_1013 科学顧問はその当時適切な助言を行ったかという責任までで、結果責任は政治側が負うというのが、理想形とされますが、前者と後者の峻別は容易ではなく、我が国がそれを受容できるほど成熟した政策形成・意思決定過程を築けているのかは少々疑問です。

2013-02-04 02:15:10
Kazuto Suzuki @KS_1013

@maitake_stp そうですね。evidence-based policyを日本に導入すると、どうしても「その科学が信頼できるかどうか」というideology-based policyになってしまいそうで、本当にevidence-basedになるかどうか不安が残ります。

2013-02-04 02:16:18
Kazuto Suzuki @KS_1013

@maitake_stp ツイートが行き違ってしまいましたが、同じことを言っているのだと思います。政治が最終責任を負うとなると、科学を無視してideology-basedになってしまう傾向があり、政治と科学の間の相互信頼や、科学の判断を受容するだけの信頼関係がないのが不安ですね。

2013-02-04 02:20:15
まいたけ @maitake_stp

@KS_1013 自民党小委員会では政治家自身が議論するため、どのような判断がされるのか少々興味を持っているところですが、そこまで議論が及ぶのか、また理解されるのかは少々疑問です。

2013-02-04 02:21:24
Kazuto Suzuki @KS_1013

@maitake_stp 全く同感です。私の理解ではevidence-basedの議論が出てきたのはideology-basedな政策を否定するという動機がありましたが、日本の場合、民主党はある程度ideology-basedでしたが、自民党はそうなのかな?という疑問があります。

2013-02-04 02:36:52
まいたけ @maitake_stp

@KS_1013 ご返信ありがとうございます。認識が同じとのこと、安心しました。この辺りCRDSが調査研究を行なっていますが(佐藤さん(先生)が担当)(http://t.co/ewTWIslz)、更に英米の失敗例や変遷等も含めて紹介できれば、面白いかなと考えているところです。

2013-02-04 02:38:01
まいたけ @maitake_stp

@KS_1013 evidence-basedよりもscience for science policyに比重があると思います(両者の区別が不勉強ですが)。それに基づく、経済産業政策と融合したイノベーション政策の推進は ideology-baseと言えるものになるかもしれません。

2013-02-04 02:52:07
Kazuto Suzuki @KS_1013

@maitake_stp そうですね。自民党の科学技術政策は産業政策に偏りすぎてはいますが、イギリスのevidence-based policyの中には産業政策もありますね。ただ、自民党の場合はそれしかやらないという意味でイデオロギーベースですね。

2013-02-04 07:51:26