座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル2013「越境」の感想

第4回高円寺座・ドキュメンタリーフェスティバルで観た映画とトークの感想を備忘録的にまとめておきます。 ●公式サイト http://zkdf.net/index.html
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島田 暁 @Akira_Shimada

→今日の上映後、質疑応答で以下の質問あり。「『ひめゆり戦史』の中で一人、番組の取材を固辞した人が居たが、たとえば性暴力を受けた等の証言を行うと他のひめゆり部隊の人からパージされるなど最近表面化してきてる問題が関係してるのか」。森口豁さんは「当時そちらに主要関心は無かった」と返答。

2013-02-07 23:51:56
島田 暁 @Akira_Shimada

→僕はそれらのやりとりを見ながら、番組が製作された1979年という時代状況の限界もあるだろうと感じた。なにせ当時の番組内での女性を表す呼称が「婦女子」でしたから。テロップにも出ていてビックリした。それが通っていた時代なんですね、まだまだ70年代後半や80年代前半のメディア状況は。

2013-02-07 23:54:17
島田 暁 @Akira_Shimada

→テレビのディレクターのほとんどが「ヘテロセクシュアルシスジェンダー男性」としての主体や視点である事が相対化されずに来た、もう一つのメディアの歴史が浮上する。『越境』を謳う今年の座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルでもその『越境』は射程に無い。日本映画映像史を象徴しては居る。

2013-02-07 23:58:29
島田 暁 @Akira_Shimada

→また、沖縄戦の映像史において森口豁ディレクターの日本テレビでの仕事では「日本人視点」という限界もある。『ぬちがふぅ』を映画体験として経た後では、さらに過酷な差別の下に置かれて性労働や戦闘の前線に立たされた朝鮮半島出身者たちの存在が「見えなくされ、語られていない」ことが気になる。

2013-02-08 00:04:19
島田 暁 @Akira_Shimada

→その時代ごとの達成と限界を意識することで「映像史」での位置付けが見える。70年代末~80年代前半という「右傾化」が顕著だった時代において、沖縄戦の「語られなかった真実」を浮上させた森口豁ディレクターの仕事は本当に凄い。しかし、それでも「語られなかったこと」は未だ有り続けている。

2013-02-08 00:08:17
島田 暁 @Akira_Shimada

→「日本の記録映像史」あるいは「日本映画史」の過去を遡るとどうしても、ほぼ、ヘテロセクシュアルでシスジェンダーの男性視点によって切り取られた世界観ばかりに触れることになり鬱憤も溜まってしまう僕。分厚い蓄積がそればかりなので「相対化」が遅れるのは仕方ないにしても、ちょっと苦行w。

2013-02-08 00:17:06
島田 暁 @Akira_Shimada

今日決意したこと。●『遠野物語』を「マイノリティ排除の隠喩」として読み直せる可能性を追求するため読んでみたい。あの濃密なフィクション構築性は現実そのものをリアルに語ったら凄惨すぎるからだろう。闇の深さに日本史の真実が見えそう。●テレビドキュメンタリー界の良心・鈴木昭典さんを知る。

2013-02-08 00:41:07
島田 暁 @Akira_Shimada

柳田国男の映画を観たあとに感想を語り合った方が、「妖怪みたいでしたね、本人」と言っていたのが面白かった。そうか、妖怪に対してだからついポロポロっと妖怪ばかりの言い伝えでも「ま、いっか。」と零せてしまったのだね、遠野の人々はw。

2013-02-08 00:47:04
島田 暁 @Akira_Shimada

座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル。『不良少年』上映後の羽仁進監督最新インタビューで、すごく物腰が柔らかい、いわゆる「マッチョな感じ」とは対極にありそうなキャラクターの方なのだと感じられ、なるほど革新的な名作『教室の子供たち』が生み出された重要な秘密を一つ知り得た気がした。

2013-02-08 16:23:16
島田 暁 @Akira_Shimada

座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル。Skype出演された想田和弘さんに、Ustream発信活動をしている知人が「対面したり時間を共有して話すことこそ最も現実的なのに、なぜ映像に撮り作品にするのか?」という根源的質問をした。想田さんからは根源的映画論。いいやり取りだった。

2013-02-08 16:23:20
島田 暁 @Akira_Shimada

座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル。ヤン・ヨンヒ監督『愛しきソナ』を観ながら、あるナレーションに心が撃ち抜かれ危うく嗚咽しそうな所をなんとか落涙で留めました。監督トークでは『かぞくのくに』がなぜ劇映画なのかが語られました。カメラが介在しては撮れないものがまだまだあるのです。

2013-02-08 19:02:21
島田 暁 @Akira_Shimada

座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル特集<越境/女性作家たち>『挑戦』◆1963年に製作された女子バレーボールチームの記録。とにかく「視る」ことにこだわる技巧的な映像とオーケストラ70人を使ったオリジナル音楽で贅沢に作られた短編でした http://t.co/yaxDSEUl

2013-02-09 22:05:42
島田 暁 @Akira_Shimada

→『挑戦』を1963年に製作したディレクター:の渋谷昶子さんは「女性の映像ディレクター」の草分け的存在。上映後に登壇された際、当時のエピソードとして、現場に入ったら「なんだ、女が監督か」と言われ電源を全部落とされたり嫌がらせがあったという事をやんわりと語られてたのが印象的でした。

2013-02-09 22:08:36
島田 暁 @Akira_Shimada

座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル『薄墨の桜』◆ずっとPR映画を製作していた羽田澄子監督が「誰になんと言われても自分が作りたいものを作る」と決意し実現した1977年の作品。1300年も生き続けている桜の巨木に魅せられ本業の合間を縫い4年半をかけた、陰影に富むポエジーな作品→

2013-02-09 22:14:59
島田 暁 @Akira_Shimada

→『薄墨の桜』上映後の羽田澄子監督のトークでは、完成当時、映画評論家からは無視されたけど「普通の観客」から支持された事が語られました。「それだけ旧来の映画の枠組みに当てはまらないものを私が作ったということなのではないでしょうか」とおっしゃる通り、今見てもジャンル越境的な作品です→

2013-02-09 22:18:02
島田 暁 @Akira_Shimada

→『薄墨の桜』のエピソードで面白かったのは、土本典昭監督に羽田監督が電話をかけ「桜の映画を作ってるの」と言ったら、しばしの沈黙の後「なんで今頃、桜なんだ!」と言われたとか。つまり右翼の映画を作ってると勘違いされたらしい。その後作品を見たら土本さんは凄く応援してくださったそうです。

2013-02-09 22:23:00
島田 暁 @Akira_Shimada

→『薄墨の桜』は更に凄い。詩の才能がある羽田監督の妹さんに映画用に詩を書いてもらった翌年に妹さんは癌で亡くなり、完成まで4年半。映画の内容は1300年間、若木を継ぎ足され延命してきた桜のグロテスクさや美、悠久の時の流れを感じさせる作品。つまり、死者の詩がそのことを語ってるのです。

2013-02-09 22:31:28
島田 暁 @Akira_Shimada

座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル<冲方丁 セレクション>『フタバから遠く離れて』◆監督の船橋淳さんのトークに「感情」が強く乗っかっていた。まだまだ、これからどうなって行くかわかりようがない問題である切迫感のバトンを手渡された。 http://t.co/423yVaJG

2013-02-09 22:41:55
島田 暁 @Akira_Shimada

→福島県双葉町の人々を追った作品は、昨年ビデオアクトが上映した堀切さとみ監督『原発の町を追われて』もあるが、『フタバから遠く離れて』にも出てくる井戸川町長のインタビューが全然違う人に思えるほど印象が違う。撮る人の視点の違いを見比べられる。 http://t.co/nmrBV2tT

2013-02-09 22:50:25
島田 暁 @Akira_Shimada

→『フタバから遠く離れて』で最も印象深かったのは「町に我々を帰して」と主張するデモの場面。双葉町からの避難者たちが永田町で行ったのだが、終了後に参加者たちが「やっても無意味なことはわかっている。帰れないだろうことはわかっている。」と語っていた。でも、やる。デモってそういうものだ。

2013-02-09 22:57:38
島田 暁 @Akira_Shimada

→『フタバから遠く離れて』は、理不尽な目に遭わされている人たちが、その理不尽さを「受け入れていかざる得ない」ことに寄り添いながら「人間としての目で記録し続けよう」という意志が貫かれていると感じた。監督の船橋淳さんは「自分が何を撮ったのか本当にわかるのは数年後だろう」と語っていた。

2013-02-09 23:01:01
島田 暁 @Akira_Shimada

船橋淳監督『フタバから遠く離れて』は2/23からオーディトリウム渋谷で再上映。監督は続編製作に向けて撮影を続けているとのこと。心から応援! http://t.co/3VyYPI69

2013-02-09 23:02:52
島田 暁 @Akira_Shimada

座・高円寺ドキュメンタリーえフェスティバル特集<越境/佐藤輝>で上映された『佐藤輝作品ダイジェスト』は、70年代~最近までの佐藤輝さんが関わってきた映像作品のオンパレードを観ながら日本のテレビ映像の歴史が垣間見られる贅沢な時間でした。 http://t.co/YAg4CCDC

2013-02-09 23:25:29
島田 暁 @Akira_Shimada

『佐藤輝作品ダイジェスト』では山口百恵さんや太地喜和子さんのプロフィール映像のような番組の強烈な映像や、千葉真一がどれだけ70年代的「カッコイイ男」のイコンだったか、沢田研二が「退廃的中性」のイコンだったかなどジェンダー表象の変遷も浮かび上がり、読み取れるものがたくさんあった。→

2013-02-09 23:29:41
島田 暁 @Akira_Shimada

→特に貴重だったのは尾崎豊の死後に発表された独白、美空ひばりが紅白から干されてた時期の地方行脚、忌野清志郎『原発賛成音頭』歌唱など。上映後の佐藤輝さんトークでは「そういえばアレは放送できてないから今のが初公開だったかも」と軽く言ったりしててどんだけ贅沢な場に居たんだとクラクラした

2013-02-09 23:34:16