茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第860回「クオリアは、非局所的である」

脳科学者・茂木健一郎さんの2月13日の連続ツイート。 「毎週水曜日は、クオリアの日」です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2013-02-13 06:16:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第861回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。「毎週水曜日は、クオリアの日」 フェイスブックhttp://t.co/EJqA9UjV  クオリア日記 http://t.co/4L7Lx0H1

2013-02-13 06:59:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(1)クオリアは、非局所的な性質である。そのことは、視野の中にある視覚的クオリアについて考えるとわかる。例えば、色そのものについても、ある特定の部位からの反射の波長構成だけで決まるのではない。その波長を、周囲の波長と比較することによって、色が決まる(色の恒常性)

2013-02-13 07:01:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(2)肝心なことは、視覚的アウェアネスの中におけるクオリアの分布を見ている限り、個々のクオリアは、視野の中のある特定の場所を占めているということである。すなわち、その背景にある計算は非局所的なのであるが、その結果として生まれるクオリアは、局所的に意識されるのである。

2013-02-13 07:02:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(3)色の恒常性を考えると、色自体が非局所的であるが、ガラスの透明感や、金属光沢といったクオリアを考えると、それらが非局所的な性質であることがより明確に理解できる。単独で「透明」だとか、「金属光沢」だとかを感じさせる色があるわけではない。波長のある特定の空間分布を表す。

2013-02-13 07:04:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(4)金属光沢や、ガラスの透明感が、非局所的に構成されるものだからこそ、画家は、一つひとつをとれば単純色の絵の具をキャンバスの上にあるパターンで置くことによって、これらのクオリアを再現し、構成することができる。意識の魔法を通して、これらのクオリアが生み出されるのだ。

2013-02-13 07:05:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(5)ローカルな要素が積み上がって、クオリアが構成されるというのは、意識の一般原理にかかわる。一個の神経細胞をペトリ皿の上において電気刺激しても、そこには意識はない。サーモスタットの意識はない。意識は、ある程度の複雑性をもった関係の中から、創発していく。

2013-02-13 07:06:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(6)言葉の「意味」も、また、非局所的に構成されるクオリアである。「こもれ」という文字列に、「び」という文字が加わって、「こもれび」という文字列になった瞬間に、それまでにない「意味」というクオリアが立ち上がる。一方、「ぶ」が加わって「こもれぶ」になっても、ナンセンスだ。

2013-02-13 07:08:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(7)「こもれ」+「び」=「こもれび」が、(日本語の体系において)ある特定のクオリアを生み出すのに対して、「こもれ」+「ぶ」=「こもれぶ」が、ナンセンスな文字列になることは、ある特定の色の配列が、少し違うだけで、「透明」のクオリアができるかできないかの差になることと同じ。

2013-02-13 07:09:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(8)もっとも、色の配列が、ちょうどよい時に「透明感」というクオリアが立ち上がり、その一方で整わないとそれが生じなくても、色の分布というクオリアは生まれているように、「こもれぶ」というナンセンスな文字列にも、意味には到らない独特のクオリアが伴っている。

2013-02-13 07:10:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

くひ(9)昨日、新潟の「ときメッセ」でアーニッシュ・カプーアの作品を見た。独特のクオリアがあった。芸術作品のクオリアは非局所的に構成される。最後のひといろをどのように置くかで、まとまったクオリアが立ち上がる場合も、調子っぱずれになる場合もあるが、それもまたクオリアである。

2013-02-13 07:12:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第861回「クオリアは、非局所的である」でした。

2013-02-13 07:12:46