あの日から四年。雪が舞うあの日、最後のメール。会いたいと言ったきり返らない返事。冷たい風の中、ただ行き交う車をそれでも待っていた。手の凍えが心を凍らせ、僕はもう、あの頃のような気持ちにはなれない。なのに何故、雪が途切れるまで待ってしまう。溶けることのない、約束の日を。 #冬の亡骸
2013-02-12 23:06:34すべてを失くしたから また始めなきゃならないんだと 剥がされた傷痕 ゼロに回帰して 幾度でも塗り替えて やさしさに抱かれては罪を忘れて わたしは わたしを置いていく 新しい世界に還る さようならも告げず わたしは 春へと歩を進めるんだ #冬の亡骸 (02/13:乖離)
2013-02-13 00:17:36失うモノは何もない 涙さえも枯渇した 褪せた生き甲斐 残る傷痕 突き刺すナイフは風の所為 切れた指から滴る赤 足元の白染まって、桜色 悴んだ手は感覚を無くして 嗚呼、 傷みを置いていこう もうじき、包み込む雪は消える #冬の亡骸
2013-02-13 00:35:35響く耳に木霊するここに胸に いま蝉が泣かない いま桜は咲かない その美しさを 抜け殻の季節、殺されてはいなく 例えば七月のあめ、しとと 例えば十二月のゆき、ほのかに 街灯だけがじっと見ていた その杯に静かに石は沈んで (煌めきを 伸びた影、薄く その悲しみを 愛しさを #冬の亡骸
2013-02-13 00:39:01君がだれかの名を呼ぶ度にわたしが剥がれて散っていく。 冬の間に小さく小さくなったわたしは春に溶けずにいられようか。 また君がだれかの名を呼ぶ。 見たくないから凝視して 聴きたくないから耳を澄ます。 それでも君は冷たく熱くわたしに棲む。 #冬の亡骸
2013-02-13 00:56:56神様を裏切って、ふたり。永遠の冬に閉じ込められたの。わたしに触れる私は弱くて、芯から冷えた指先を食い込ませた肌はどこまでも白く。あなたがくれた温もりなんて、どこにもなくて。わたしと私、雪色の世界に沈んでいく。 #冬の亡骸 嗚呼、乖離して、乖離して。もうあなたに会えない。
2013-02-13 01:01:00ちいさなちいさなメアリー・スー。健やかに幸せに育てるよりも、経験と歳月から作り上げた透明なきみを住まわせてしまうほうが簡単だけど。それでもやっぱりぼくは、この子をちゃんと幸せにしてあげることを、お話を描き出してきちりと見届けてやることを諦めきれないんだ。 #冬の亡骸 (透明)
2013-02-13 01:07:49手のひらの雪が融けるように、握っていたぬくもりが消えてゆく。はるか、見えなくなってゆく。冷えた片手を持て余して、ぶらりと揺らす。なにもない此処に残ったものは、あなたの残像だけ。 #冬の亡骸 きっとすぐに、それすらも。
2013-02-13 01:13:18透明になる愛はやがて溶けて、繋がる術のない心は乖離を選んだ。残された私は惨めで瑣末な存在だけど、冷たい白に覆われている為に腐敗に到らずにその身を留め続けて。春が来ても私は色彩を得ないでしょう。だってこの雪はいつまでも溶けない。悲しい季節に囚われ死んだ、私は冬の亡骸だ。 #冬の亡骸
2013-02-13 04:30:47吐く息が白くなっていく。早朝のこの街には雪が映え、行き交う人は思い思いの愛を紡ぐ。1人途方に暮れて空を見上げても、貴方はもういない。 #冬の亡骸
2013-02-13 06:11:02投げ出された四肢と、床にこびりついた血と臓物。乾いた匂いを吸い込み、僕は部屋の隅で膝を抱える。僕には春は来ないから、こうしてここで、寄り添っていよう。 #冬の亡骸 君の傍にずっといるよ。(そして現実からの乖離)
2013-02-13 07:17:51冬も終わりに近づいた頃、庭の隅に少しだけ雪が残っているのを見つけた。ここは確か……。そこは大雪の翌日に大きな雪だるまを作った場所だ。この雪はその溶け残りだろう。途端次々と蘇るこの冬の楽しい思い出に、私の心はどんどん暖かくなっていった。もうすぐ春だなあ。 #冬の亡骸
2013-02-13 08:31:17ゆらり、織りあげる冬色のせかい あなたに忘れ去られまいと、せっせと雪を降らせました。 その眼に映るのは穢れを知らない純白ですか、それとも白々しい灰白ですか。 いずれにしたって春色のあなたとは相容れないみたい。 だからさよなら、あなたにバトンを渡して (乖離) #冬の亡骸
2013-02-13 11:00:53「久しぶりだね。元気だった?」相変わらずで安心したよ。幾度かの冬を越えた君。春の風を感じはじめる頃、再び出会うのだ。微笑みは歓喜?締念?「そうだよ。その手は、」守るために振り払われた。 #冬の亡骸 【乖離】(再び繋がれることを)
2013-02-13 14:28:00爪先が痒くて手を伸ばしたら前が見えなくなった。 水槽に降る雪は一晩できれいに溶けてしまった。 降ったのを忘れてしまうほど。 高くなる水温。 吸い上げる管。 水草も花を咲かせたがる。。 光を求めて眼を開けたまま眠る。 ゆらり鱗が一枚剥がれた。 #冬の亡骸 #熱帯魚s
2013-02-13 16:05:15冬が終われば春になるんだろう。春になれば君は綺麗に咲くんだろう。ならば僕は君の邪魔にならないようにそっとこの身を剥がして消えよう。冬の間、僕は君をずっと冷たい牢獄に閉じ込めていたけれど、僕はあたたかさを感じていたんだ。だから僕は溶けて流れる。溢れ出す涙の如く。 #冬の亡骸(乖離)
2013-02-13 17:48:26あの子に嫉妬する私の心は北風の様に冷たい。もうすぐ春がくるのに。冷たい風を柔らかな陽の光が温めてくれているのに。 醜い嫉妬とはお別れしよう。私から乖離した嫉妬心は冬の亡骸と共に埋めてしまおう。穏やかな春を迎える為に。 #冬の亡骸 乖離
2013-02-13 18:04:50眠りの足りない白い昼、意識は現実から乖離して幻を見せた。春の花々が咲き誇り、人々は喜び歌っていた。椿の花首がぼとりと落ちて幻を裂き消した。冬の亡骸を忘れるなというように。 #冬の亡骸
2013-02-13 18:47:24背中合わせの生と死と無 モノクロの雪景色に置き去りにされた懐中時計 取り残されて眠る、誰かの悔恨 透き通っていくその躰を掻き抱いても もう君の心は此処にはない #冬の亡骸
2013-02-13 20:28:49また、はなればなれ、花が咲くたび、きみはいなくて、いっしょに咲きたいのに、雪の華、ぼくといっしょには、いてくれなくて、ねえ、いつか会えるかな。 #冬の亡骸
2013-02-13 23:10:52さよなら、さよなら、雪月花 照らされる雪化粧 白粉の花 溶かされて、溶かされて、 白の閑寂は流れゆく またね、 淡色の春が待ってる #冬の亡骸
2013-02-13 23:16:32