【フェブラリー、誘惑】 福間健二 2factory25

福間健二 @acasaazul

ふたつの線がどちらでもないものを求めて交錯する。理解できない。でも好きになればいい。セールで買ったおなじブランドの服を着て、同盟、アゲイン。委員長は、いらない。転がってきて炎を発する、失敗作の骨。見るな、触るな、ただその息の音を聞く。（フェブラリー、誘惑１）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

気がつくと崖っぷちにいる。自分からの逃走。シートをかぶる工事現場の「眠れる美女」からも逃げている雪の朝だ。よけいなことばかりしてきたか。バス停に並ぶ人たち、その傘の列があることにドロドロと感謝したくなる。ドロドロと。まだわかってない。（フェブラリー、誘惑２）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

いくたびも脳天をぶち破られ、そのたびに種類のちがう小動物、静かに息をするその根の部分をつぶして、澄ました顔で、旅の朝の、食べすぎてしまう食卓に向かった。生きかえる。そのためには光だけでは足りない。バナナヨーグルト、きょうはありません。（フェブラリー、誘惑３）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

きょうは、小言もありません。のんびりやって。朝から芋焼酎のお湯割りを飲むちゃんちゃんこのおばさんが言った。彼女のなかに入ろうとする、それほど若くない女性詩人の仕掛けた罠にかからないように「天国と地獄」を自分で設計する。二度寝はだめだ。（フェブラリー、誘惑４）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

苦しむ歯車、その苦しみはつづき、慰める妹たちの手は油にまみれている。永遠の工場の、裏切らない指。ほんとはもう生きていないから。それを知っているぼくは悪党だ。小田原みやげの鯵の押し寿司にニコニコしている場合じゃない。包丁、まじめに研ぐ。（フェブラリー、誘惑５）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

終わろうとしている箱形の夢の、側面上部。穴があっても、なにかを入れる穴じゃない。そこから漏れる息の音にほっとして、包丁の使いみち？　おいしい料理をつくって人を招く。でも、その前に老いたふりして「破滅」に誘われる男の子はやっぱり男の子。（フェブラリー、誘惑６）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

いたずらざかり。劣化しない黒と白の湾曲に、とびちる液体。で、やっとエンジンが温まった。「ああ、旦那様」とだれにでも下手に出ながら、塀をこえ、溝をわたって、消える町の外に。水に浮く草もない冬だけど、夜、この川原で待っていて、と言われた。（フェブラリー、誘惑７）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

またやってしまう。ひとりでしゃべって、人の話を聞いていない。おまえの「詩」はそれなのだ。ああ、寒空から、脳天に、包丁。とびちる夢を冷たい風が吹きとばす。みんな、何をうたうのか。ソウルミュージック。「ただの人の、耳」になれないこの耳に。（フェブラリー、誘惑８）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

絵のなかの、くつろぐ人たち。もう春、ワンコイン弁当、何を裏切って食べるのか。約束守れない苦しさわかるのかと黒い点になって目ざめると雪景色の朝に、フェブラリー・ガール。ほんとうに辛い柚子胡椒つくっている。川原に行かなくてよかったのかな。（フェブラリー、誘惑９）＃2factory25

福間健二 @acasaazul

豚肉と白菜を柚子胡椒で食べる。おいしいけど、この「いま」を芯で楽しめない町から出ていくミス・テンプテーション。浮草ものがたりをみんなに誤解されたね。きみに横切られた線を始末できないぼくも、ただの人。チョコレート、今年はありません。（フェブラリー、誘惑10）＃2factory25