黄森botフォロワー100人企画

黄森botのフォロワー100人突破企画として2/17(日)に一日投稿したSS+αをまとめました。
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両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「黄・瀬・くーん」「うげ」森山先輩が猫撫で声で俺の名前を呼ぶときに、ろくなことはない。それは約一年近く過ごした時間の中で学習していた。俺は反射的に身を固くする。「…なんスかー、森山先輩?」「まぁまぁまぁ、黄瀬くん。そんなに体を固くすることないだろ?」優しい口調が逆にこわい。

2013-02-17 10:50:03
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「合コン、やろう」語尾にハートマークが見えそうなくらいに、弾んだ声。それに反比例するように俺のテンションは下がる。「えー…嫌っス」「何故だ!!」そんなに驚いた声を出さなくても。むしろ、俺からしたらまた合コンをしてほしいと言う森山先輩の神経が知れない。

2013-02-17 10:50:17
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇夏の合コンで、俺たちは大敗を記録したと言うのに。それでもまだめげずに合コンをしようと考える森山先輩のタフな精神にびっくりだ。俺ならあんな合コンを経験してしまったら、もうしたいとは思えない。「夏の傷はもう癒えた!」しかし先輩は実にいい笑顔であっさり言った。そいつはよかったっス。

2013-02-17 10:50:28
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「えー、どうしてもやりたいんスかー?」「やりたい!!可愛い女の子に出会いたい!!」「欲望に正直っスねー…」「悪いか。そして、これは先輩命令だぞ」こういう時に体育会系って本当に嫌だ。それを言われて断れるわけがない。「あー、もう、わかりましたよー」「おお、やってくれるのか!?」

2013-02-17 10:50:41
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇きらきら、綺麗な瞳で。そんなに嬉しそうに言われたらもう引くに引けません。「そこまで言うなら、やるっス」「よし!ありがとう黄瀬!あとでお前のお願いなんでも聞いてやるから!」俺の頭をぐりぐりと撫でてくれるのは嬉しいのだけれど、心境としてはなんとも複雑だ。まったく罪な笑顔だ。

2013-02-17 10:50:55
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇森山先輩のご要望通り、合コンを開催した。しかし、今回は笠松先輩たちの姿はない。森山先輩曰く、「彼女を作って笠松たちを驚かせてやるんだ」とのこと。その心意気はいいけれど、あんまり張り切らないで欲しいなぁと心中で願う。そのため、今回のメンツは俺のモデル仲間たちだけだ。

2013-02-17 10:51:07
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇モデルをしている同業者の中に混ざっても、森山先輩は彼らに負けないくらいのイケメンだった。俺なんかより先輩がモデルをやればいいと思ったが、それは言わないでおく。今回の合コンのお相手は、前回とは別のモデルの女の子たち。もちろん、可愛い子ばかり。面子を見ただけで先輩は既に満足そう。

2013-02-17 10:51:18
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「セーンパイ?前回の笠松先輩みたいなヘマしないでくださいっスよー?」「フッ、俺を誰だと思ってるんだ?俺がそんなミスをすると思うのか?」「思うっスあででで!」「まったく、これだからキセキの世代のやつらは生意気だからむかつくな」「別に、キセキは関係ないっスよ…」

2013-02-17 10:57:49
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇まずはベタに自己紹介。前回の轍は踏まない、とばかりに先輩は完璧な自己紹介をして、女の子たちから笑いも得てなかなかの好感触だ。それからお互いのことを話して、女の子たちを褒めて、いい雰囲気にして。モデル同士で慣れているからか、あの夏の惨状が嘘みたいな絵に描いたような合コンだ。

2013-02-17 11:01:06
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇合コンは順調に進んだ。楽しく会話も弾み、おいしいご飯も食べて、男子も女子も和気あいあいとしていて。うん、これはいい感じだ。「ちょっとお手洗い行ってくるね」ひとりの女の子がそう言うと、つられるように女子全員が席を立った。「おい、黄瀬」「どわ」その途端、先輩に首根っこを掴まれた。

2013-02-17 11:31:23
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「俺、あの右から2番目の子な」「は?」「俺が狙ってる子だよ!」今は空席になっている、右から2番目の子の顔を思い出す。たしか、栗色のショートカットで、目が大きくて溌剌そうな子、だったような。自己紹介をしたはずなのに名前はもう忘れた。「その子が、いいんスか?」「ああ」

2013-02-17 11:45:33
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「まさに俺のタイプだ。元気で明るくて、それによく笑ってくれる。笑顔が可愛い子は最高だな」ほうっと、恍惚の溜め息をついて先輩は空席を見つめる。ふぅん、先輩はああいうのがタイプなのか。「というわけで席替えしよう」「はい?」「そろそろいい頃合いだろ?」

2013-02-17 12:19:26
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇たしかにそろそろかと思っていたから、ちょうどいいか。「そうっスね。しましょ、席替え」早速くじを作り、席替えをする。しかし、なんと運の悪いことだろう。先輩の隣に座ったのは先輩の目当ての子ではない。先輩が狙っていた子はまさか俺の隣に来てしまった。「よろしくね」「あ、はいっス…」

2013-02-17 13:46:44
両想い黄森bot @ksmr_bot

◆「ちょっと息抜きだよ。この時間はあんまり人いないし」「まー…いいんじゃないっスか?」「そして、これ以降の企画ツイートは俺目線になるぞ」「先輩目線っスか~どんな感じになるんスかね!」「それは、見てからのお楽しみだ」

2013-02-17 13:56:57
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇席替えをしたら、俺の隣にきたのは川口春奈似の女の子で。この子もかわいけれど、俺の目当ての子じゃないんだよなぁ。目当ての子は、黄瀬の隣に座ったようだ。思わず視線がその子と黄瀬に釘付けになる。ああ、せっかく今日の俺は調子がいいと思っていたのに。自分のくじ運を呪った。

2013-02-17 14:42:02
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇それからというもの、俺目当ての本田翼似のショートカット女子から目が離せなくて。隣の女の子と話しながらも、終始そちらを見てしまっていた。ああ、いいなぁ、俺ももっと話したかったのに。みっともなく未練たらしく、黄瀬とショートちゃんのふたりの姿を視界の端に収め続けた。

2013-02-17 15:00:50
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇しかし、観察を続けるうちに気付いた。あの子は明らかに黄瀬を狙っている。一目瞭然だ。そういえば、あの子は最初から黄瀬ばかり見ていたような気もするし、話しかけた時のリアクションも俺と黄瀬では全然違った気がする。それに気づいてしまい、愕然とせずにはいれなかった。「はぁ、なんだよ…」

2013-02-17 15:33:45
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇だが、それでも視界の端から外すことが出来なくて。ふたりの姿をこっそり見ていた。(あれ明らかに黄瀬の腕におっぱいくっついてるよな!それに、よく見たらシャツのボタンが一個外れてるし、黄瀬側の耳の髪をどかしてるし…あ、またボディタッチもしてる…おい黄瀬!お前狙われてるぞ!)

2013-02-17 15:59:24
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇女の子というものは怖い生き物だと、このとき改めて思い知った。しかし、単純に男として黄瀬が羨ましいとも思う。(あの角度だと絶対ブラ見えてるよな…黄瀬いいなぁ)純粋に羨ましいと、思っているはず、なのに。それなのになぜだろう、急に胸が重く、息が詰まるような感覚に囚われた。

2013-02-17 16:34:04
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇胸に手を当て深呼吸をしてみるが、胸のもやもやは晴れない。「…?」何か、鉛でも飲み込んだような。そんな重さが胸にのしかかる。「森山君?」隣に座る彼女が、心配そうに俺に声をかける。「いや、なんでもない」女の子を心配させるなんて、男として失格だ。笑顔を取り繕い会話に意識を戻した。

2013-02-17 17:18:03
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇しかし、それからもずっともやもやは晴れなくて。視界から黄瀬とあの子は外したけれど、耳から入ってくるふたりの弾んだ声が思考を邪魔して、会話にいまいち集中できなかった。(俺も、話したいなぁ)(それはどちらと?)(…愚問だ)

2013-02-17 17:43:41
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇パンッ、突然手を叩く音がした。「さて、宴もたけなわな事ですし!」言われて時計を見ると、かなり時間が経っていた。もうこんな時間か。正直、席替えをしてからのことはあんまり覚えていないけれど。「二次会、行きましょ!」黄瀬が明るく音頭を取るが、俺はもう全然乗り気じゃなくなっていた。

2013-02-17 18:05:20
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「悪い黄瀬、俺、帰る」「へっ?も、森山先輩!?」ぞろぞろと席を立ち、二次会に行こうと皆に話をする黄瀬の後ろから小声で声を掛け、答えも聞かずに足早に店を出た。合コンをやりたいと言い出したのは俺なのに、先に帰るなんて失礼だとわかっているけれど。もう我慢も限界だった。息が詰まる。

2013-02-17 18:31:59
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「ちょ、森山先輩!どうしたんスか!?」答えたくなくて、その声を無視して足を速める。俺だって、答えられたらちゃんとお前に言っているよ。真冬の冷たい風が店内でせっかく温まった体を一気に冷やしていく。コートの前を両手で掻き抱いて、さらに早く歩いて店から離れた。

2013-02-17 20:43:02
両想い黄森bot @ksmr_bot

◇「待って、待って先輩!」「!」しばらく歩いた辺りでバタバタという足音と共に黄瀬の声が聞こえた。驚き振り向くと、全速力で走ってきたのだろう、髪も服も乱れた黄瀬がいた。「お前、なんで」「みんな帰ったっス」「え」「先輩の調子悪そうなんでって言ったら、二次会しなくてもいいか、って」

2013-02-17 20:43:12