地球近傍小惑星探索の現状

日本スペースガード協会所属の坂本強氏による解説ツイート
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Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

今後、地球近傍小惑星探索を有効に進めるためにも、ロシアに落下した隕石が事前に観測できたか否か検討してみました。まず、隕石の軌道はhttp://t.co/wBEmF5Q02u に出ています(NASA発表)。主な惑星の居場所は赤字で書かれています。太く青い線がロシア隕石の軌道です。

2013-02-24 10:02:54
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

ロシア隕石と地球は太陽の周りを反時計回りで公転しています。地球の自転も反時計回りです。太い青線と緑の線(地球の軌道)がEarthとタイプされた場所で交差していることがわかります。ここで衝突が起こっています。

2013-02-24 10:07:56
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

ロシア隕石は、地球の軌道よりも内側から、つまり太陽側から、近づいています。こういったように、太陽の側から近づく隕石は日中、あるいは日の出直前か日の入り直後に観測しないといけないので、まだ空は明るく、暗い隕石は見つけづらいのです。

2013-02-24 10:13:22
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

地球に落ちる前の隕石の明るさを見積もってみます。これは2012DA14を使ってみました。 2012DA14とロシア隕石の大きさはそれぞれ45mと17mです。明るさはこれらの面積に比例すると仮定すると、ロシア隕石は2012DA14よりもだいたい2等暗くなります。

2013-02-24 10:16:57
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

2012DA14は地球再接近1日前は16等、10時間前は13等です。これからロシア隕石の明るさを見積もると、1日前は18等、10時間前は15等となります。地球に近づくと小惑星はかなり速く動いて見えます。

2013-02-24 10:24:59
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

2012DA14の接近時のように超高速で動く小惑星を、小惑星の動きを知らないで探索する場合、18等の小惑星を捉えるのは至難の業です。口径1mでギリギリで、典型的には口径2m級以上の望遠鏡が必要です。

2013-02-24 10:25:27
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

地球近傍小惑星サーベイをやっている望遠鏡で、口径2m級のものはレモン山(アメリカ)とパンスターズ(アメリカ、ハワイ)があります。ロシア隕石はこの2つの望遠鏡では発見する確率が少なからずあったと私は考えています。

2013-02-24 10:27:23
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

ロシア隕石が地球に落ちた瞬間より少々前でこの2つの場所ではちょうど日没直後程度のはずです。ですから、少々厳しいです。しかし見えていた可能性はゼロではないはず。。。このあたりレモン山かパンスターズのサーベイチームの方に聞きたいです。もう気持ち東にあれば確実に見えていたはず。

2013-02-24 10:35:21
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

以上をまとめると、現状の観測装置でロシア隕石を事前に発見できた確率はゼロではないはずです。もうちょっとのはず。もうちょっと多くの2m級望遠鏡が地球上のいろいろな場所にあり、夕方西の空低空を見ていれば発見できたと考えています。

2013-02-24 10:37:33
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

もちろん衝突数時間前ですが、それでも発見後すぐに(MPCを経由せず)連絡できれば、何かしらできたと期待できます。もうちょっとの努力だったと考えています。以上ロシア隕石は事前に本当に発見できなかったか検討終わります。間違えやご質問等ありましたらご指摘ください。よろしくお願いします。

2013-02-24 10:40:06
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

ふと読み返すと衝突直前はもうちょっと明るかったはずですから、ヨーロッパあたりからアメリカ大陸までの望遠鏡ではもう少し小さな望遠鏡でも発見できたかもしれないです。

2013-02-24 10:45:58
Tsuyoshi Sakamoto(天文 PhD x IoT x AI) @tentairikigaku

追加:ハワイは日没前だったかもしれません。このあたりチェック不足です。

2013-02-24 10:47:29