今野晴貴さんが語る、ブラック企業と大学・高校の役割

日本キャリアデザイン学会 著者と語るシリーズ: 今野晴貴『ブラック企業―日本を食いつぶす妖怪―』(文春新書、2012年) 2013年2月23日(土) 16:00~18:00 http://www.career-design.org/pub/t046.html の簡単なまとめ 続きを読む
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上西充子 @mu0283

昨日は今野晴貴さんに日本キャリアデザイン学会で著書『ブラック企業』についてお話いただいた(定員40名+αが参加)。講演録はいずれ学会HPで公開予定。ここでは、「ブラック企業」問題について、大学と関わりのある部分を中心に、昨日の話をかいつまんで紹介。

2013-02-24 10:35:56
上西充子 @mu0283

(なお以下の紹介は、わずかなメモと記憶に頼って書いており、かなりの部分、私の「解釈」が入っていることをあらかじめご了承ください。@konno_harukiさん、問題のある箇所があればご指摘いただければ幸いです。あとでまとめます。)

2013-02-24 10:36:49
上西充子 @mu0283

今野要約1:「ブラック企業」という言葉を(現在の局面では)限定した意味で使うことが重要。「たいていの企業はブラック」と学生が考えてしまうと、企業との信頼関係を築いて自らの職業能力を開発していくことも難しくなる。

2013-02-24 10:37:00
上西充子 @mu0283

今野要約2:「この社員が辞めても代わりはいくらでもいる」という認識の下で、選別型もしくは使い捨て型の大量採用・大量離職がシステム的に実施されている企業、それに加えて、職場無秩序状態を放任している企業などを「ブラック企業」と捉えるべき。

2013-02-24 10:37:14
上西充子 @mu0283

今野要約3:今、問題になっている大手メーカーなどの「追い出し部屋」は、長期雇用を前提として雇用してきた社員の雇用を維持できなくなってきて生じている問題。もともと「代わりはいくらでもいる」という認識で社員を扱っている「ブラック企業」の問題とは異なる。

2013-02-24 10:37:30
上西充子 @mu0283

今野要約4:企業側・ビジネス界も、「ブラック企業」言説を敵視するのではなく、むしろ、「ブラック企業」を囲い込む動きを見せてほしい。

2013-02-24 10:37:45
上西充子 @mu0283

今野要約5:ブラック企業を学生が見分ける際には、離職率は1つの指標にはなる。ただし、女性の採用が多く、かつ女性の継続雇用が進んでいない企業の場合など、女性の雇用の問題が離職率となって表れている場合もあるので見分けることが必要。

2013-02-24 10:38:12
上西充子 @mu0283

今野要約6:また、きつい仕事だが、報酬が高い、人脈を形成して独立できる、といった、企業もある。それを承知でそういう企業に入るのであればそれは別に本人の選択の問題。

2013-02-24 10:38:27
上西充子 @mu0283

今野要約7:健全な労使関係が失われており、社会的に是認できない労務管理が行われており、そのため、心身が蝕まれて働き続けることができなくなるような企業が問題。

2013-02-24 10:38:39
上西充子 @mu0283

今野要約8:そういう企業を離職率以外で見分けるには、契約内容が1つのポイント。募集段階では正社員のように言っていたのに、本契約段階では「とりあえず半年は契約社員で」と言われるなど、募集・内定・本契約で契約内容が変わるところは要警戒。

2013-02-24 10:38:53
上西充子 @mu0283

今野要約9:また、固定残業代(基本給に80時間分などの残業代が組み込まれている)も、だます意図がある、と考えるべき。固定残業代は違法ではないが、だます意図以外で固定残業代をとる必然性は企業にはない。

2013-02-24 10:39:05
上西充子 @mu0283

今野要約10:特別な専門職でもないのに裁量労働制を取っている、変形労働時間制をとっている、外食などで店長が管理監督者扱いで残業代も休日出勤の賃金も出ない、といったところも要警戒。

2013-02-24 10:40:14
上西充子 @mu0283

今野要約11:(そういうことは募集内容を見てもわからないが)OB・OG訪問で聞いてみると良い。「やりがい」とか「大変なこと」とかを聞くのではなく、裁量労働制か、店長は管理監督者扱いか、などを聞くと良い。

2013-02-24 10:40:34
上西充子 @mu0283

(参考)POSSE代表 今野晴貴「ブラック企業の見分け方」 http://t.co/dclHBrcAum

2013-02-24 10:40:47
上西充子 @mu0283

今野要約12:(ハローワークの求人票と実際の雇用が違った。なぜそういうことがまかり通っているのか、といったフロアからの質問に対し)求人票に法的規制をかける、ということは難しい。「自由な取引」には、本来、法的な規制をかけることはかなり限定的にしかできない。

2013-02-24 10:48:55
上西充子 @mu0283

今野要約13:企業側に認められている「採用の自由」の範囲は広い。「自由な取引」における個人の立場の弱さをカバーするのが中間団体の存在。代表的には労働組合。法に触れない職場のトラブルは労使自治の中で解決するのが原則。労働組合には法的な力が付与されている。

2013-02-24 10:49:18
上西充子 @mu0283

今野要約14:職場における1人の個人に対するいじめからその個人をどう守るか。それは本来、企業別組合がやるべき問題。その1人を守ることが職場の労使関係として根づかないと、法律や制度を整えても解決は不能。

2013-02-24 10:49:33
上西充子 @mu0283

今野要約15:幅広くとらえれば労働組合に限らず、中間団体の存在が重要。個々の問題を社会問題としていく社会勢力の重要性。

2013-02-24 10:49:50
上西充子 @mu0283

今野要約16:POSSEも1つの中間団体として役割を果たしてきた。「辞めさせられるのはしょうがないけれど、自己都合ではなく会社都合の離職票が欲しい」といった労働相談を受け続ける中から、問題を析出し、調査によってその広がりを捉え、政策提言につなげてきた。

2013-02-24 10:50:02
上西充子 @mu0283

コメンテーター(大学キャリアセンター関係者)1:大学のキャリアセンターには、一人でも多くの学生を就職させるように、というプレッシャーがある。しかし同時に、ブラック企業に生かせない対応も必要であると認識している。

2013-02-24 10:50:13
上西充子 @mu0283

コメンテーター2:自校の在校生・卒業生が直面した内定トラブル、就職後のトラブルなどの情報を蓄積し共有している。卒業後調査も行っている。私大キャリアセンターの連絡組織でも、トラブル事例の情報共有を定期的に行っている。

2013-02-24 10:50:28
上西充子 @mu0283

コメンテーター3:そのような情報の蓄積のもとに、相談に来た学生には注意喚起をしている。ただし、要注意企業について企業名を挙げながらこちらから積極的に注意喚起していくことは難しい。

2013-02-24 10:50:48
上西充子 @mu0283

今野要約17:職場の問題状況が学生に認知されていないことに問題がある。大学の教育・支援プログラムの中に対策を組み込んでいく必要がある。その際、労働基準法などを学ぶだけでは不十分。労基法は最低基準だけ。条文よりも考え方を身に付けることが大事。

2013-02-24 10:51:00
上西充子 @mu0283

今野要約18:例えば高校の生活科で消費者教育を行う。実際の消費者トラブルに即しながら、どう対処したらよいかを考える。そういう、実践知が重要。POSSEも高校や大学と連携しており、連携はさらに進めていきたい。

2013-02-24 10:51:18
上西充子 @mu0283

今野要約19:どういう考え方を身に付けることが重要であるか、「政治」や「権利」について、何が問題であるか、については星海社から(4月に)出す新書に記した。→(参考)今野晴貴さんが語る労働の権利、労働契約、試用期間 http://t.co/FzQ7shmvvM

2013-02-24 10:51:36