仮面ライダーW Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー 『プロローグ・Tの来訪/そして半年後の鳴海探偵事務所』

http://www.pixiv.net/series.php?id=98978 pixivにて掲載している仮面ライダーWの二次創作です。twitter投稿用に一部編集しております。
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イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「おい亜樹子ォ、なんでお前がこれを」 「入手ルートはナ・イ・ショ。それに翔太郎君、口のきき方には気を付けた方がいいんじゃないのカナ? ほれほれー、亜樹子”さま”って言ってみぃ。あ・き・こ・さ・ま」 24 #WR

2013-02-26 00:51:37
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「亜樹子……様」 「声が小さァい。りぴぃと・あふたー・みー」「亜樹子様! どうかそのDVDをこの俺に貸してくださらないでしょうかッ! あぁもう、これでいいか! いいよな!?」「んもう、しょうがないなぁ翔太郎君はッ。どーぞ「くそッ、覚えてろよッ」 25 #WR

2013-02-26 00:52:25
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「じゃ、あたしは行くから、ゆっくり楽しんでてね」 「おぉい、何だよ亜樹子。こいつは未開封品だろ、お前は観なくていいのか」 「竜くんにお昼のお弁当届けに行かなきゃいけないし、先に観て楽しんでててよ。ネタバレしたらはっ倒すけど」 「あぁ、そうか。そうだったな……」 26 #WR

2013-02-26 00:54:18
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

『あの事件』からもう半年。照井と亜樹子が本格的に付き合い始めてからもうそれくらいになるのか、早いもんだ。今日は亜樹子が照井に飯を作る日だったか。若いカップルのアレやソレに、独身の俺がいちいち口出ししてもしようがない。行きたきゃ勝手に行くがいいさ。 27 #WR

2013-02-26 00:57:10
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「解ったよ。照井の奴に宜しくな」 「うん」  マフラーを巻いて真っ赤なコートを着込み、事務所を後にする亜樹子。事務所を出て行こうとする時の物憂げな表情が気に入らない。 「言いたいことがあるんなら、はっきり言えってんだ。余計な気を回しやがって」 28 #WR

2013-02-26 00:59:42
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 だからこそ、俺はあえて亜樹子を追わず、DVDを見ることに専念しようと思う。考えるだけ無駄だし、考えたくも無い。  故に、俺は知ることができなかった。ラジオから流れる不吉な予感に。この街を泣かせようとする、新たな存在の暗躍に―― 29 #WR

2013-02-26 01:03:43
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「――昨日未明、風都刑務所から服役中の囚人数名が脱獄しました。大変危険ですので、外出等は極力控え、有力な情報をお持ちの方は110への通報をお願い致します。  警察は、脱獄した囚人の名前を公表しました。”倉田剣児”、”有馬丸男”、”伊刈……”」 30 #WR

2013-02-26 01:08:17
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「堪能した……、堪能してやったぜーッ! はぁっ、はっはっは」  二時間後。かのを観終わった俺は、その満足感に浸りながら残っていた報告書に手をつけている。風は幾分か落ち着いたものの、逆に雪の量が増え、徐々に事務所が積もり始めているのが分かる。面倒臭いこと極まりない。 31 #WR

2013-02-26 01:16:36
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 事務所の前に積もり続ける雪を横目に見、雪かきなんざ絶対に御免だと腹を決めたその時、再びノックの音がしていることに気付く。今度は幾分かノックの仕方が丁寧だ。 32 #WR

2013-02-26 01:17:07
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「左、か。上がらせてもらうぞ」  現れたのは派手な赤いライダースファッションの若い男。風都署の超常犯罪捜査課・課長『照井《てるい》竜《りゅう》』だ。いけ好かない奴だが、なんだかんだで長い付き合いになる。以前よりも顔つきが丸くなり、眼光の鋭さが薄れているのは気のせいか。33 #WR

2013-02-26 01:19:59
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「天下の国家公務員サマが、こんなところで油売ってていいのか? 仕事中だろ」「これを所長に返すついでに立ち寄っただけだ。すぐ戻る」「”所長”ねえ。いい加減に名前で呼んだらどうだ。彼氏彼女の間柄だってのに、よそよそしくないか?」 「必要ない。所長は所長だ」 34 #WR

2013-02-26 01:27:25
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「何だかよく分からんが……そこで座って待ってろよ、茶ぐらい出す」 「いらん。珈琲くらい自分で淹れる」  俺を引き剥がし、人のうちの器具で勝手にコーヒーを淹れようとする照井。横暴だが、正論なので文句は言えない。本当に腹の立つ奴だ。奴のコーヒーは本気で美味い。 35 #WR

2013-02-26 01:30:56
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 煎った豆の入ったサーバーにお湯を差し、蒸らし具合を眺めつつ、唐突に話を振って来た。 「11月の時点は会話の中身が上の空。10月の間は会話がまともに成立せず、9月中は――。心の傷への良薬は時間だと言うが、お前も漸くまともになったな。相変わらず死んだ目をしているが」 36 #WR

2013-02-26 01:33:56
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「何の話だよ。喧嘩でも売ってんのか、照井」 「そんなつもりはない。鎮静化したとはいえ、ガイアメモリ犯罪は無くなっていないんだ。”仮面ライダー”として戦うお前が、いつまでもそうして塞ぎ込まれていては、俺が困る」 37 #WR

2013-02-26 01:35:00
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

……分かってねぇ。こいつは全然分かってねぇ。俺は深く息を吸い、わざとあいつの耳元に近寄って言ってやった。 「あのな照井。フィリップは消えたんじゃねぇ。地球《ほし》の記憶と一体になったんだ。今だって俺の傍にいる。俺が何に塞ぎ込まなきゃならないってんだ、あァ!?」 38 #WR

2013-02-26 01:37:07
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 俺の叫びに照井は何も答えない。鼓膜が破れた、って訳では無さそうだ。代わりに「とても大丈夫には見えないがな」とでも言いたげな顔で俺を見る。正論で言い返されるよりもよっぽど堪えた。 39 #WR

2013-02-26 01:38:19
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「お前も亜樹子も、一体何が言いたいんだ? 言いたいことがあるならハッキリと……」  そう言いかけた時、あいつは上着のポケットから着信音を掻き鳴らす携帯電話《ビートルフォン》を取り出し、耳に当てる。「俺だ。……そうか、あぁ。すぐに向かう」 40 #WR

2013-02-26 01:38:49
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 照井は神妙な面持ちで電話を切り、淹れ終わったコーヒーをテーブルの上に置くと、ディフォルメされたうさぎと狼のイラストの、愛らしい包みを俺に手渡した。 41 #WR

2013-02-26 01:39:32
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「悪いがもう行かねばならん。弁当箱はお前から返しておいてくれ」 「どうしたんだいきなり。大事か?」 「俺に質問をするな。お前の出る幕じゃない」  いつもの口癖と共に俺の言葉を遮ると、犯罪課の課長様は雪降る寒空の中、無駄に赤くてド派手なバイクに跨り、走り去って行く。42 #WR

2013-02-26 01:40:45
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

『あの戦い』から半年が経つが、未だにガイアメモリ犯罪は留まるところを知らず、この街では大小多くのメモリ事件が蔓延っている。  当然”仮面ライダー”である俺や照井は、その解決や事後処理に追われてばかりだが、俺が受け持つ事件や事後処理はかなり少ない。 43 #WR

2013-02-26 01:41:43
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「あぁくそッ、腹立つなちきしょう」  照井の残していったコーヒーに口をつける。あいつの態度と言動には心底腹が立つが、コーヒーは最高にうまい。44 #WR

2013-02-26 01:42:16
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「……って、なんじゃこりゃあ! 青海苔か!? 青海苔なのかこいつは!」  人と人とが愛し合い、付き合うことは素晴らしいことだ。それは認める。”恋は盲目”とは言ったものだが、味覚や味付けまで影響されることもないだろうよ、照井。ゲテモノ飲料作って何になる。45 #WR

2013-02-26 01:44:01
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 あいつはこれをちゃんと飲んだのか? そもそも奴は青海苔を常備してるのか? 元の味が良いだけに、青海苔のミスマッチさが後を引くのが哀しい。  青海苔のえぐさに耐えてコーヒーを飲み干し、残された書類に手をつけるべく、椅子に座ってタイプライターに手を伸ばす。その時だった。46 #WR

2013-02-26 01:46:23
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「うおっ!? なんだ、何だッ!」  向かい側の窓を破り、吹雪と共に何者かが事務所の中に入り込んで来た。 肩にかかるほどの長髪で、ぼろぼろの衣服を身に纏ったその男は、不敵な表情で俺を見つめ、嫌味たらしくにやりと笑う。47 #WR

2013-02-26 01:47:48
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「久しぶりだな名探偵。俺の顔を覚えているか?」  俺はこいつのことを知っている。忘れられるわけがない。何しろ、俺たちの手で刑務所に送ったのだから。 「なんで手前ェがここにいるんだよ……、倉田剣児!」 48 #WR

2013-02-26 01:51:58