ナイモノネダリ

ぴょんて師匠は移動。 @pinkmonster0203

1. ー 誰カニ愛サレタイ ー 僕らはいつも愛を欲しがって 誰かを傷付け生きている すぐそばにある愛ほど見えなくて 安易なカイカンを愛だと見間違う イカサマの愛だらけのこの世界で 僕らはナイモノネダリを繰り返しながら生きている # ナイモノネダリ #SJで妄想

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2. 「な、もういいだろ」 耳元を擽る低い声、性急にジーンズを押し下げる小さな手のひら。 「別にいいけど……先にちょーだい」 差し出されたお金を数枚受け取ったのを合図に腰を強引に引き寄せられた。 「ァッ……ッ」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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3. その筋の人ならよく知る街角で今日も名前も知らない相手と体を繋げる。 お金を貰う代わりに自らの体を差し出して、その場限りの快感という名の愛を手に入れる。 「ソンミナ……」 ふいに名を呼びながら口付けてきた男の胸を思い切り押し返した。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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4. その拍子によろけて尻もちをついた男をきつく見下ろしながらジーンズを上げた。 「キスはしない主義だって言ったはずだよ？……萎えちゃったから他当たって」 「ソンミナッ」 立ち去ろうとした背中を呼び止める微かに切なさを含んだ男の声。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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5. 「何？」 振り返った男の一重まぶたの奥の黒目が頼りなさげに揺れる。 「お前は覚えてないかもしれないけど、前もここでお前を抱いたんだ」 「だから……何？」 薄い下唇を微かに噛んで見上げる男の次の言葉に声を上げて笑う。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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6. 「たった数回寝たぐらいで僕が好き？……ねぇ、僕が一晩で何人の男に抱かれてるのか教えてあげよーか」 俯いた男の前に受け取った金をヒラヒラと手放した。 「好きだとか愛してるだとか吐き気がする……もう二度と僕の前に現れないで」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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7. 深夜の人影もまばらな路地裏でやけに存在を主張する自動販売機に凭れてズルズルとその場に蹲った。 ポツポツと降り出した雨が全身を濡らして体温を奪っていく。 「好き……は、あははっ」 重たい雲が広がる低い空を見上げて1人笑い声を上げた。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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8. 愛さえお金で買えてしまえる世の中とそれに夢を馳せることさえ出来なくなった自分。 それが酷く滑稽で仕方なかった。 自分を抱いている間だけ愛を囁いて、終われば別の誰かの元へと戻っていく男たち。 そこに信じるものなんかない。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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9. キモチヨケレバ ソレデイイ そう思ってたのに……僕はあいつと出会ってしまった。 今日みたいな雨の日に決まって現れて、猫背な背中を小さく丸めて無言で僕を買いに来る。 愛の言葉も何も囁かずにただきつく僕を抱き締めるだけ。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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10. 何を考えてるのかも 名前以外何も知らないあいつ……。 いつしか無意識に雨の日を待ち侘びるようになった僕。 あいつに出会って、僕の毎日は少しずつ少しずつ変わっていった。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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11. ー 3ヶ月前 ー 「ソンミナ」 「あ、ヒョン！」 口角を片方だけ歪めて小さく笑った大学の先輩。 「サマになってんじゃん」 「そうかな？ヒョンにここのバイト紹介してもらって良かった！おかげで欲しかったギターが買えそうなんだ」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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12. 「な、ソンミナ」 ふと真顔になったヒョンの指先が優しく頬に触れる。 「ど、どーしたの！？」 「お前、今日…何時まで？」 バイト終わりの時間を告げるとその時間に迎えにくると言ってBARを出て行ったヒョンの背中に走り出した鼓動。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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13. キツい言い方とは裏腹に優しい態度、綺麗な顔に不釣り合いな豪快な笑い方。 ずっとずっとそばで想ってた。 深い意味はないとわかってても微かに期待せずにはいられなくて、時計を何度も見上げては進まない時間に小さく溜め息を吐いてみたりした。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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14. 「ヒョン！」 時間になった瞬間BARを飛び出して迎えに来てくれたヒョンの車へと乗り込んだ。 「いいなぁ、車〜あ、この曲好き！」 車の中、急に2人きりになった空間に落ち着かなくて音楽のボリュームへと指先を伸ばした。 「ソンミナ……」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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15. 指先を掴まれ、指をきつく絡められる。 「ヒョン！？」 「お前……俺のこと好きなんだろ？」 「え……」 人気のない道路脇に止められた車、座席を倒され覆い被される。 「ヒョン！やだっ……止めて！やっ」 恋は甘いものだって思ってた。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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16. 好きな人に愛されて、何気ない毎日さえも愛おしく感じられる。 そんな恋がいつか僕にも訪れるんだと思ってた。 「痛いっ……っ……止めて！嫌だっ嫌だっ」 僕が初めて知った恋はただの苦痛。 恋が甘いなんて ……全部ウソ。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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17. 「……っ……」 歩く度に体を襲う鈍い痛みを引きずりながら当てもなく深夜の街をフラフラと彷徨う。 無理矢理に抱かれた後、無言のままのヒョンに知らない場所で車を降ろされた。 体に残る嫌な感触に両肩を抱くようにしてその場に蹲る。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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18. 「どうしたの？具合でも悪い？」 顔を上げると僕の涙に一瞬驚いて目を丸くした見知らぬ人。 優しく親指で涙を拭ってくれたその男の人に導かれるまま一緒に路地裏のBARに入った。 「あ、ドンへヒョン！いらっしゃい！……その子は？」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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19. 「何か外で泣いてたから」 「またそーやって拾ってきて……だからいつもウニョギヒョンに怒られるんだよ」 カウンターから顔を覗かせた小柄な透き通った声のバーテンダー。 「だってほっとけないだろ？」 促されるままにカウンターに腰掛ける。 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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20. 「そんなに他の子ばっかり相手してたら愛想尽かされちゃうよ？」 ドンへと呼ばれた男は困ったように眉根を下げて優しく頬を緩ませながら遠くで接客をしているもう一人のバーテンダーへと視線を走らせた。 「え……と何か飲む？」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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21. 小さく首を振った僕にしばらくして差し出されたピンク色したカクテル。 「そんなに強くないから……その甘さが今必要な感じ」 グラスを手に取ってカクテルを一口だけ口に含むと口内に広がる優しい甘さ。 「リョウクの作るカクテル最高だろ？」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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22. 「……っ……」 優しい甘さに涙が堰を切ったように頬を幾つも滑り落ちていく。 僕の頭を優しく撫でるドンへの手を掴むリョウクの手。 「ヒョンは触っちゃダメ。拗ねたウニョギヒョンめんどくさいんだから……付いて来て」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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23. リョウクに手を引かれてスタッフルームへと案内された。 「ここで泣いて。表で泣かれたら迷惑だから」 「……ごめんなさい」 俯いた僕の肩にそっと掛けられるブランケット。 「そんなもの付けてこの辺歩いてたら勘違いされちゃうよ？」 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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24. 細い指先が首筋をそっと撫でた。 「キスマーク……これが泣いてる理由でしょ？」 その言葉にまた泣き出した僕の頭を一瞬だけ優しく撫でて部屋を出ていくリョウク。 「愛に理想なんか持つから傷付くんだよ」 去り際に小さく投げ掛けられた言葉 #ナイモノネダリ #SJで妄想

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25. その一言が重たく心を押しつぶしてく。 「落ち着いた？」 泣き腫らした目で店内に戻るとドンへが心配そうに顔を覗き込んできた。 「ヒョン！そーやって誰にでも優しくするの止めてって言ってるでしょ？そんなんだから勘違いする子多いんだよ？」 #ナイモノネダリ #SJで妄想