NHKサンデル先生@東北大への沼崎コメント

連投を自分でまとめてみました。
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沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想その1、設問に流されるな。「すべての高齢者を救うべきか」vs「自分の命を優先すべきか」。この問いが問わずにいるのは、なぜ多くの要援助の単身高齢者が被災地にいたのかということ。過疎化と高齢化がなければ、この問いそのものが必要ないかもしれない。

2013-03-03 03:12:00
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想その2。ジレンマ提示型のディベートは、「復興」を論じるには適さない。たとえば「合意」か「スピード」かというジレンマ提示も、現実には無意味。最低限度の合意が無ければ、スピードは出せない地方自治システムがあるのだから。

2013-03-03 03:21:58
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】求められれているのは、移転問題にせよ何にせよ、合意形成のスピードを上げるにはどうすればいいかであって、合意優先かスピード優先かではない。そのうえ、合意形成を妨げているのは、様々な地域内格差と利害対立であって、その解決に必要なのは議論ではなく、調整と妥協だ。

2013-03-03 03:24:49
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想その3。サンデル先生は、「感情論」を救い上げることができなかった。自主避難者支援をしている女性の声、福島の作家さんの声、そこには、reasoned argument とは質的に異なる「感情論」がある。それもまた「論」のはずなのだが。

2013-03-03 03:29:12
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】公論の場はロゴスの闘技場であるべきだと考えると、「感情論」の出る幕はない。しかし、公論の場がパトスの交響空間であってもいいという可能性を、コミュニタリアン哲学者なら考えるべきではないか?

2013-03-03 03:32:56
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想その4。「納得」は "understanding" とは違う。「納得したい」という参加者の声の文化的な意味を、サンデル先生は understand できなかったな。これは通約の問題が大きいから、サンデル先生の罪ではないが。

2013-03-03 03:40:03
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想その5。これはNHKに対する苦情にもなるが、「東北人」に関するステレオタイプで番組をスタートし、それをサンデル先生の白熱教室が打ち破ったかのようなエンディングは、東北人の一人として非常に不快であった。そのような番組構成こそが、偏見の塊だ。

2013-03-03 03:42:21
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想補足。自主避難をめぐる議論で、山形の支援者の「感情論」をサンデル先生が原則論的に言い換えようとした場面は、文化人類学者として興味深かった。「惻隠の情」の話が legitimacy の問題に変換されてしまったのだから。

2013-03-03 03:53:21
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。自主避難民への経済支援の「是非」を問う最初の議論で、「非」の側で発言した男性も「是」の側で「感情論」を述べた女性も、justiceを論じてはいなかった。二人は共に「仁」の思想があり、違いは仁を及ぼす範囲をどこまで広げるかだけだった。

2013-03-03 15:35:58
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。儒教的な「仁」の思想は、特に孟子では、偉大なる「感情論」だと私は思っているのだが、それは私の「日本人的な読み(思い入れ)」なのだろうか? あ、サンデル先生から離れちゃった。

2013-03-03 15:39:27
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。これは「日本人」ファンに言いたいことだが、「言いたいことをうまく引き出してくれた」とか「議論ができてよかった」ではアカンのです。ジレンマ提示型ディベートの目的は、「寄って立つべき原則は何か」を対決的な対話を通して明らかにすることなのです。

2013-03-03 15:46:21
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。だから、サンデル先生の教室を出る時に、入る前とは違って、自分が(あるいは「復興」が)寄って立つべき原則は何かについて、自分の考えがより明確になったかどうかが、教室に意義があったかどうかの基準になります。

2013-03-03 15:48:01
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。たとえば「津波てんでんこ」の原則は、最大多数の生存の効率的確保だから、「功利主義」でしょう。それでは、功利主義的な避難政策は「善」なのか、それはなぜか、いつもそうか、と考察は進まなければなりません。

2013-03-03 15:54:13
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。あるいは「水産特区」をめぐる議論は、被災漁村の「復興」に深くかかわるものだけれど、その賛否の依って立つ原則は何なのか、「資本主義」vs「エコロジー」なのか、「合理主義」vs「感情論」なのか? もっと論じられていいのだが。

2013-03-03 15:59:36
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。サンデル先生が求めているのは、ジレンマへの賛否の「理由」を述べることで、その理由が依って立つ原則に「気づく」ことです。自分が依拠している原則に気づかずにいる聴衆に、その原則を自覚させること、対立の原因が原則の違いにあることに「気づく」ことです。

2013-03-03 16:04:57
沼崎一郎 @Ichy_Numa

【サンデル先生@東北大】感想の続き。「日本人」参加者/ファンが、「話せてよかった」「いろんな意見が聞けてよかった」というのは、「『思い』の表出の場の共有」という、万葉集以来の「日本的」公共が実現されたと感じるからだと、私は見ている。サンデル先生は、連歌の会の主催のようなものw。

2013-03-03 16:16:15