サンデル先生の哲学カフェ
- alicewonder113
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知識も準備もない学生を相手にする授業では、サンデル式討論の形を真似ても、せいぜい思いつきの発言が出るだけで、思考が深まることなく終わる可能性が高い。そのかわり、意見言ったぞ、議論したぞって達成感だけは得られる(本当は何も達成していないのに)。これ最悪。
2013-02-27 14:54:14会場の雰囲気そのものに迫力がありました。いつもながらの品のよさと話術の巧みさもさることながら、相当な胆力ですな、サンデル先生。
2013-03-02 22:21:09哲学的にどうとかいうよりも、哲学の言葉で誘導しながら、参加者の多くがもやもや考えていることを会場の誰かに率直に語らせて浄化(?)するというのがサンデルの話芸なのかなと思った次第。
2013-03-02 22:37:15サンデルの与えるものがある種の哲学的な癒しだとすると、白熱教室DVDには「赤ん坊が泣くのをやめる」的な効能が期待できるかもしれない。幼な児が泣いたらトトロ。幼くない児が泣いたらサンデル。
2013-03-02 23:03:33【サンデル先生@東北大】感想その1、設問に流されるな。「すべての高齢者を救うべきか」vs「自分の命を優先すべきか」。この問いが問わずにいるのは、なぜ多くの要援助の単身高齢者が被災地にいたのかということ。過疎化と高齢化がなければ、この問いそのものが必要ないかもしれない。
2013-03-03 03:12:00【サンデル先生@東北大】感想その2。ジレンマ提示型のディベートは、「復興」を論じるには適さない。たとえば「合意」か「スピード」かというジレンマ提示も、現実には無意味。最低限度の合意が無ければ、スピードは出せない地方自治システムがあるのだから。
2013-03-03 03:21:58【サンデル先生@東北大】求められれているのは、移転問題にせよ何にせよ、合意形成のスピードを上げるにはどうすればいいかであって、合意優先かスピード優先かではない。そのうえ、合意形成を妨げているのは、様々な地域内格差と利害対立であって、その解決に必要なのは議論ではなく、調整と妥協だ。
2013-03-03 03:24:49【サンデル先生@東北大】感想その3。サンデル先生は、「感情論」を救い上げることができなかった。自主避難者支援をしている女性の声、福島の作家さんの声、そこには、reasoned argument とは質的に異なる「感情論」がある。それもまた「論」のはずなのだが。
2013-03-03 03:29:12【サンデル先生@東北大】公論の場はロゴスの闘技場であるべきだと考えると、「感情論」の出る幕はない。しかし、公論の場がパトスの交響空間であってもいいという可能性を、コミュニタリアン哲学者なら考えるべきではないか?
2013-03-03 03:32:56【サンデル先生@東北大】感想その4。「納得」は "understanding" とは違う。「納得したい」という参加者の声の文化的な意味を、サンデル先生は understand できなかったな。これは通約の問題が大きいから、サンデル先生の罪ではないが。
2013-03-03 03:40:03【サンデル先生@東北大】感想その5。これはNHKに対する苦情にもなるが、「東北人」に関するステレオタイプで番組をスタートし、それをサンデル先生の白熱教室が打ち破ったかのようなエンディングは、東北人の一人として非常に不快であった。そのような番組構成こそが、偏見の塊だ。
2013-03-03 03:42:21【サンデル先生@東北大】感想補足。自主避難をめぐる議論で、山形の支援者の「感情論」をサンデル先生が原則論的に言い換えようとした場面は、文化人類学者として興味深かった。「惻隠の情」の話が legitimacy の問題に変換されてしまったのだから。
2013-03-03 03:53:21個人的な乾燥としては、震災・原発事故の半年後に放送された究極の選択 第2回「震災復興・誰が金を払うのか」に比べるとかなりよかったんじゃないかと。
2013-03-03 11:22:33今回気づいたのはサンデルの芸風の独自性。哲学的な討議というよりは、哲学的な言葉や設問でうまく誘導しながら、参加者ひとりひとりが抱え込んでいる心のもやもやをはき出させ、可視化し、共有することで、もやもやの魔力を削ぎ、「悩んでるのは俺だけじゃないんだ」という連帯感をもたらす「癒し」。
2013-03-03 11:32:01XかYかみたいな設問も、設問そのものに意味があるというよりは、ひとりひとりが考えていることを言葉にするのを助ける手がかりとしての設問だったんじゃないのかな。で、もしもそうだとすると、個々の設問はかなりうまく機能したんじゃないかと。
2013-03-03 11:36:57たいして生産性のある議論ではなかったと憤る向きもあるのだろうけど、ああいう場で様々な問いを共有することで「こうした問いで悩んでいたのは自分だけじゃなかったんだ」とか「自分が悩んできたこともこれから悩み続けることも無意味じゃないんだ」という確信を持てたひともいるんじゃないのかな。
2013-03-03 11:45:55あの規模の集会で、哲学的な問いを突き詰めて考えて何か真理のようなものに到達できると考える方がどうかしているわけだし。
2013-03-03 11:52:37放置しておくとどんどん膨れあがり、グリーフシードを濁らせて、とんでもない魔物を生みかねないもやもやを、哲学の言葉と設問で可視化し、共有することで浄化する作業を哲学と呼んでいいのかわからんですが、サンデルがやってることのひとつはそういうことなのかなと。
2013-03-03 11:58:51それってただのガス抜きだとか、集団催眠だとか、宗教みたいなもんだというひともいるのだろうけども、扱いの難しい様々なもやもやを、比較的処理のしやすい抽象的な問いに落とし込むのは、むしろ「脱魔術化」というか、理性とか知性の働く余地を増やすんじゃないのかな。
2013-03-03 12:13:18