@kenichiromogiによる「新聞八策」の試案まとめ

脳科学者茂木健一郎博士による心ある人たちから見放されつつある日本の新聞を再生するための、「新聞八策」の試案。「成田への飛行機の中で、日本の新聞を数紙読んで、暗澹たる気持ちになった。なぜ、どの新聞も同じような誌面構成になるのか?」で始まる前日の爆発からの経緯も合わせてまとめ。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

成田への飛行機の中で、日本の新聞を数紙読んで、暗澹たる気持ちになった。なぜ、どの新聞も同じような誌面構成になるのか? 取材に基づいて、きちんと考えて書いているのか? 最初から見出しが決まっているんじゃないか?

2010-09-01 07:51:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

社会面のつくりがひどい。最初から構図が決まっていて、そこに一般の人々の発言をあてはめていく。これじゃあ、どこか全体主義の国の機関紙のようだ。

2010-09-01 07:52:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

単なる事実の報道は、ネットで済むから、新聞には、見識のあるオピニオンが求められている。日本の大新聞の見識が信用できないというのは、日本国民にとっては大きな損失である。

2010-09-01 07:53:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

そもそも、政治部の記者たちは、なぜ「政局」になるとこうもいきり立って記事を書き立てるくせに、肝心の政策や、国の方向についてはヴィジョンを示さないのか。極道の出入りじゃあるまいし、政治を論ずる言葉が古すぎる。

2010-09-01 07:54:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

今回、小沢一郎氏が一時立候補を取りやめることを検討したという一連の記事にしても、事実なのか疑わしい。(毎日が一番はっきりとそのような見出しをつけていた。もはや誤報のレベルだろう。)結論ありきで、それに適当に事実を当てはめ、「空気」をつくっていく。そのような新聞への不信感は根強い。

2010-09-01 07:55:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

今必要なのは、見識を持ち、イエロージャーナリズムに陥らず、他のメディアとの談合にも走らず、日本の将来のヴィジョンを明確に書ける、そんなメディアであろう。たとえば、Japan Timesをもっとみんなで読み、そのようなメディアに育てるという手もある。

2010-09-01 07:56:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

そもそも、何の合理性も法的根拠もない「記者クラブ」をこれだけ長い間温存し、その解体に抵抗している時点で、新聞の見識には重大な疑問符がつく。結局、日本にあったのは、ジャーナリズムではなく談合が得意な微温的護送船団方式のメディアだけだったのか。

2010-09-01 07:58:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞社の方々へ。若い世代の新聞離れは、みなさんも認識しているように深刻です。私の周囲の20代は、ほとんど新聞をとっていません。若者が待っているのは、本気の記事だと思います。定型的、横並びの記事はやめて、独自色を出してみませんか? 若者を新聞に取り戻してみませんか?

2010-09-01 09:07:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

しつこいようだけど、具体的に、新聞の惨状のサンプルを挙げるね。

2010-09-01 09:16:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

今朝の朝日新聞の社会面の見出し。「私たち、ほったらかし」「お家騒動、幼稚」。この見出しに、街頭でのインタビューを適宜当てはめていく。幼稚なのは、どちらなのだろうか? 紋切り型に安住し、それ以上思考を深めない記者たちの浅薄さには、恐怖すら抱く。これじゃあ、全体主義の国と変わらない。

2010-09-01 09:19:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

いろいろ日本のことが心配だけど、東京駅に降り立って風景を眺めたら、突然「これが日本だ、私の国だ」という『遠い世界に』の歌詞が浮かんできたんだよね。

2010-09-01 09:20:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

今朝の朝日新聞の社会面の見出しにあった「私たち、ほったらかし」「お家騒動、幼稚」といった類の言葉を、サンデルさんが使うことを、一瞬でも想像できるか?「正義」を語るために、磨き上げられた言葉、積み重ねられた思考の深さに比べて、日本の新聞のレトリックの、なんと浅薄なことよ。

2010-09-01 09:30:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

今この国で生まれてきている、新聞、テレビなどのメディアに対する懐疑的視線や、検察や警察の主張、発表に対する留保は民主主義国では当然のこと。やっと日本も成熟してきたということ。

2010-09-01 11:26:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(1)すべての記事を署名とし、社員のスタッフ・ライターと、社外のフリーランスのライターを平等に起用し、競わせる。新聞紙面に載る無署名記事は社員の執筆によるものであるという前提を突き崩す。

2010-09-02 06:48:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(2)原則、すべての記事をウェブ上で公開するものとする。青空文庫を見ればわかるように、ウェブ上に電子データがあることは、必ずしも紙媒体の売り上げを下げるとは限らない。検索、インデックスを充実させて、新聞が議論のハブになれるように図る。

2010-09-02 06:50:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(3)本格的な英字紙部門を発展させる。日本の記者が書いたものを英語に翻訳するのではなく、最初から英語で独自の記事を書くライター(スタッフ、フリーランスを問わず)を持つ。その上で、日本語の紙面と相互交流し、競争、強化を図る。

2010-09-02 06:52:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(4)記者クラブは即時廃止。単なる事実の報道は通信社にまかせて、じっくりと事実を分析した、読み応えのある分析、評論記事を掲載する。世界の主要紙を意識し、記事が国際レベルで見て質の高いものであることを目指す。

2010-09-02 07:05:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(5)ウェブと連動するなどして、記事の字数を飛躍的に増やす。限られた字数の中で当たり障りのないことを書くという「芸」を廃し、議論を喚起し長く記憶に残るような「刺さる」記事を掲載することを目指す。

2010-09-02 06:56:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(6)字数を同じにした升目のような書評欄の悪平等を廃す。それぞれの書き手が、一つの作品として自由な長さで書評を書けるようにする。各月に発表された作品に触れることが政治性を帯びる文芸時評、論壇時評の愚を廃し、書き手がフリーハンドで文芸、論壇の潮流を論じられるようにする。

2010-09-02 06:59:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(7)投書欄を活性化させる。すべて同じ長さという悪平等を撤廃。一行だけの投書や、長文の投書があって良い。また、内容について、小学校の学級会の正義感のような「ストライクゾーン」を措定しないようにする。

2010-09-02 07:00:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

新聞八策(8)最初から何百万読者向けの薄い内容を措定するのではなく、むしろ、ある熱いコミュニティ向けの記事があって良い。流行というものは、常に少数が多数を引っ張っていくものである。問題は、どのコミュニティにチューニングするか。

2010-09-02 07:02:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、心ある人たちから見放されつつある日本の新聞を再生するための、「新聞八策」の試案でした。

2010-09-02 07:03:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

ツイッターが、日本における民主主義の学校、改革派のメディアのような存在になりつつある。

2010-09-02 07:14:12