時代思想に染まりやすい「よい子」
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ShinShinohara
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左翼教育は右翼を生み、右翼教育は左翼を生む。戦前の軍国主義に浸っていた昭和一桁の人たちは、戦後、大幅に左傾化した。村山元首相の頃に教科書が左傾化すると、その教科書で学んだ子供たちが成人になって右傾化した。皮肉なことだ。
2013-03-07 18:46:52![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
これは、若者が親の世代に反発したい傾向を持っているためだろう。親がああしろこうしろと言うことにはつい反発したくなる。それと同じように、右翼教育がなされればそれに反発して左翼思想にのめり込む若者が増え、左翼教育がなされれば右翼の若者が増える。
2013-03-07 18:48:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
森毅氏の「イイカゲンが面白い」に、興味深いことが書いてある。戦前に軍国主義に染まっていた子供は、決まって優等生だったという。森氏のように斜に構えた子供は敗戦を聞いてもショックを受けなかったが、優等生は激しく動揺し、その後、「だまされた」と、軍国主義を激しく嫌うようになったという。
2013-03-07 18:51:13![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
時代の思想に染まるのは、実は「よい子」であり、優等生である。軍国主義が主流の時代に軍国少年となるのは優等生、左翼思想が強いときに左傾化するのも優等生。そして、思想が時代遅れとされると、頑固にしがみつくか、「だまされた」と言って逆に反発し、転向する。
2013-03-07 18:53:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
言い換えると、時代に迎合するのは「よい子」や優等生であり、時代の変化にかかわらず、自分の考えを持つのは不良である。このことは教育を考える上で、深刻である。大人は従順な「よい子」をほめたくなり、何かと反発する不良は叱りたくなる。しかし、よい子は時代のカーボンコピーでしかないのだ。
2013-03-07 18:59:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「よい子」は大人の言うことを疑わない。批判精神に乏しいとも言える。だから、軍国主義が崩壊したときやソビエトが崩壊したとき、何の疑いも持たずに信じていた思想が、自分の中で動揺してしまうのだ。不良は斜に構えているから、それらの思想が崩壊しても「あ、やっぱり」と思うだけですむ。
2013-03-07 19:02:41![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「よい子」の定義を少々考え直した方がよいだろう。大人の言うことを素直に信じる子供のことを「よい子」、優等生と呼んできたが、単純に信じるのではなく、大人の言うことをよく咀嚼し、疑問に思うことを質し、自分の思想を作り上げられる子のことを「よい子」と呼ぶべきだろう。
2013-03-07 19:04:54![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
大人が「これを信じなさい」といって渡すものを素直に信じる子供を「よい子」だと考えるようでは、社会が硬直化する。それは北朝鮮を見ればよく分かる。指導者を批判できない社会は、反省が不可能になって結局貧しくなってしまう。「よい子」とは、自分の頭で考えられる子のことだとすべきだ。
2013-03-07 19:12:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
最近、愛国心を子供のうちに植え付けるべきだという意見が強いようだが、それでは逆に、愛国心を忌み嫌う世代を生むことにならないだろうか。大人が押しつけるものを喜んで信じるのは、批判精神に乏しい「よい子」だけなのだ。「よい子」は融通が利かないから、やがて不良に圧倒されてしまうだろう。
2013-03-07 19:15:58![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
天皇陛下が園遊会で国旗掲揚について「強制でない方が望ましい」と述べたのは、達見だと思う。強制すれば「よい子」は国旗を喜んで仰ぐだろうが、他方で国旗嫌いの不良を増やすだろう。「親世代の時代思想をひっくり返してやる」という不良のエネルギーはあなどれない。「よい子」では防げないだろう。
2013-03-07 19:19:22![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
子供に愛国心を持ってもらいたいなら、国旗に愛着を持ってもらいたいなら、強制はすべきでないだろう。強制して素直に信じるのは、融通の利かない旧来型の「よい子」だけだ。批判精神を少しでも持つ子供は、かえって反発し、愛国心や国旗に距離を置くようになってしまうだろう。
2013-03-07 19:21:50![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
新定義の「よい子」に何かを伝えたいなら、例えば愛国心や国旗に反発する意見のことも伝え、自分で考えさせ、その上で結論を自分で下させることだ。大人の押しつけがあれば、かえって「親世代の固定観念」扱いされ、彼らが大人になったとき、反発して逆側の思想に偏ることだろう。
2013-03-07 19:24:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「よい子」を「自分の頭で考えられる子」と定義し直すと、面白いことにこれまで不良扱いされていた子供が「よい子」になるだろう。素直すぎて信じやすい旧来型の「よい子」はちょっと苦労して、自分の頭で考えなければならなくなる。しかし、この方がよいように思う。
2013-03-07 19:33:38![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
日本は古来、子育てにおいて「自分で考えさせる」ことを大切にしてきた。事細かな指導はせず、簡単な指示だけ与えて、失敗するだろうことも織り込みながら見守った。子供は自分で試行錯誤しながら、自分で答えを探した。「子供に任せる」という教育法は、もう一度見直されるべきだろう。
2013-03-07 20:05:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ところが明治維新以降、「欧米に追いつけ追い越せ」できたものだから、西洋の学問を無批判に輸入するスタイルを続けてきた。自分の頭で考える習慣を、明治維新以降、日本人は失ってしまったのだ。
2013-03-07 20:40:30![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
それと逆行して、欧米では今、自分の頭で考える教育を重視している。かつて日本では当たり前のように行われていた教育法だ。日本が得意としていた「自分の頭で考える」教育が日本からは失われ、欧米では見直されているというのは、皮肉なことだ。
2013-03-07 20:41:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
日本はもう一度、自分の頭で考える教育を見直すべきだろう。新定義の「よい子」とは、人から言われたことを鵜呑みにせず、自分の頭で考え、いろいろ試してから自分の考えとして身につける子供のことだと考えるようにしたいものだ。
2013-03-07 20:43:17