「将棋/序盤数手の考察と中飛車について。」

今日、NHK杯の将棋を観戦していたら、有意義なツイートを連続投稿されている方がいらっしゃったので、流れるのは勿体ないので、まとめました。m(_ _)m
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スコップ@コーラルおいしい @schophits

ちなみに△3四歩に▲8八銀のところ▲6八銀でも同じじゃないかと思う人もひるかもしれませんが、今度は後手に△4四歩と角交換を拒否された時に角銀の動かし方に困ります(▲8八銀型なら▲6八角~7七銀と自然に矢倉に発展させることができます) また△3四歩に▲2二角成は先手が手損になります

2013-03-10 12:49:16
スコップ@コーラルおいしい @schophits

ちなみに△7七角成のところで△4二銀という手はあります これは先手から角交換してくださいという手で、▲2二角成△同金となると一度7七に上がった角を自分から交換しているので先手が瞬間的に2手損になりますが後手もいずれ2二の金を3二に戻して2手損になるので最終的にに手損は相殺されます

2013-03-10 12:53:56
スコップ@コーラルおいしい @schophits

じゃあ何でこんな事するのかというと、金が2二に行くことで先手の急戦を警戒しています つまり金が1,2,3筋に利いているので棒銀など端を絡めた急戦がしづらくなります 最終的に同じ形になるにしても余計な変化を消しているわけですね(ただ瞬間的に壁金なので後手からも変化しづらくなります)

2013-03-10 12:58:21
スコップ@コーラルおいしい @schophits

また、3手目▲2六歩には△3四歩もあります これは横歩取りになります ここからお互いに飛車先を伸ばした時に角が直通なので△3三角(▲7七角)としても同角成で飛車先交換を受けられないので、飛車先を交換しあって▲3四飛と取って横歩取りになります(横歩取らずの相掛かりになる場合もある)

2013-03-10 13:05:42
スコップ@コーラルおいしい @schophits

この辺が序盤の面白いところで、初めから横歩取りを目指すなら2手目に△3四歩として▲2六歩△8四歩でもいい訳です ところがこれだと今度は先手が3手目に▲7五歩や▲6六歩と振り飛車にするかもしれません かといって2手目8四歩だと今度は▲6八銀から矢倉にされて横歩にできないかもしれない

2013-03-10 13:10:26
スコップ@コーラルおいしい @schophits

同じように、後手で矢倉が指したい!と考えて2手目8四歩と突いても、今話したように▲2六歩とされると角換わりか横歩取りにしないといけなくなるわけです このように序盤数手はお互いに自分のやりたい戦形になるように指すんだけれども、自分だけでは決められない、というやりとりをしているのです

2013-03-10 13:14:48
スコップ@コーラルおいしい @schophits

そしてこれは逆に言えば、「指したくない戦法があるとき」にそれを避けることができるということでもあります たとえば先手で交換系の将棋は指したくない!というなら、△8四歩には▲6八銀、△3四歩には▲6六歩とすればいいですし、後手で矢倉を避けたいなら2手目に△3四歩と指せばいいわけです

2013-03-10 13:20:16
スコップ@コーラルおいしい @schophits

さて、ここまでおもに相居飛車の話をしてきましたが、初めに2手目8四歩にはもう1つ選択肢があると言いました 3手目▲5六歩です これは居飛車を明示した後手に対して先手が振り飛車にする指し方で、以下△8五歩▲7七角△3四歩には▲5五歩、▲7七角△5四歩には▲5八飛or8八飛とできます

2013-03-10 13:25:29
スコップ@コーラルおいしい @schophits

▲5五歩と伸ばす変化では、先手は飛車先交換を防ぎながら角道を止めず(=6六歩を突かず)、5筋の位を取って中飛車にすることができます これは大きな主張で、その局面は現在プロでは後手が消極的と見られているようです そこで現在の主流は▲7七角に△5四歩と位取りを拒否する指し方となります

2013-03-10 13:33:40
スコップ@コーラルおいしい @schophits

これに対して先手の指し方はおもに2つ ▲8八飛と向かい飛車にする指し方で、これは△8五歩に対応した手で、▲8六歩からの逆襲の筋があります 例えば▲8八飛△6二銀▲4八玉△4二玉などとすると、すかさず▲8六歩△同歩▲同角(王手)△3二玉▲3一角成△同玉▲8二飛成と飛車を素抜かれます

2013-03-10 13:40:24
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旧来向かい飛車に対してはこの筋を避けて△6四歩と突いてから玉を移動する必要があり、それは6四歩と余計な手を指させた分先手が得としたものでしたが、後手が右銀を7一のまま(=飛車にひもをつけたまま)悠々△4二玉とする手順が発見されて後手の駒組みの自由度が増し、あまり指されなくなります

2013-03-10 13:44:16
スコップ@コーラルおいしい @schophits

代わって台頭したのが、▲8八飛でなく▲5八飛と中飛車にする指し方です 以下△3四歩には▲6八銀として、角道を開けたままの振り飛車に持ち込むことができます そして5四歩と突かせたことによりのちに5筋を争点としていく、「攻める振り飛車」の形になったわけです やっと中飛車まで来た・・・

2013-03-10 13:50:35
スコップ@コーラルおいしい @schophits

さてここまで話したところで、ちょっと視点を変えてみます ここまで話したように序盤にはいろいろなバリエーションがあるわけですが「じゃあプロはみんなあれもこれも指すのか?」というと、勿論そんなことはありません 「やっぱり先手でも後手でも自分の得意な形で指したい」と考えるに決まってます

2013-03-10 13:58:24
スコップ@コーラルおいしい @schophits

角道を止める従来の振り飛車は、これについてはあまり問題がありませんでした 相振りを除けば、角道を止めてしまえば先後関係なくほぼ間違いなく振り飛車にして対抗形にできるわけですから ところが!先ほど述べた角道オープン型の中飛車はそう簡単ではありません 角道が開いてることが問題なのです

2013-03-10 14:02:03
スコップ@コーラルおいしい @schophits

角道を止める従来の振り飛車は、これについてはあまり問題がありませんでした 相振りを除けば、角道を止めてしまえば先後関係なくほぼ間違いなく振り飛車にして対抗形にできるわけですから ところが!先ほど述べた角道オープン型の中飛車はそう簡単ではありません 角道が開いてることが問題なのです

2013-03-10 14:02:03
スコップ@コーラルおいしい @schophits

例えば、▲7六歩△3四歩に「8四歩の時と同じように中飛車にしたい」と▲5六歩と突くとすかさず△8八角成▲同銀△5七角でいきなり馬作りが受かりません じゃあと△3四歩に▲5八飛は今度は△8八角成▲同銀△4五角でまたも両成が受かりません 2手目△3四歩には一直線に中飛車にできないのか

2013-03-10 14:07:42
スコップ@コーラルおいしい @schophits

そこで中飛車党が考えたのが「初手▲5六歩」です 角道を先に開けるから角交換の隙が生まれる訳で、先に▲5六歩~5八飛としてから角道を開ければいいというわけです(5六歩が4五角が両取りになるのを防ぎ、5八飛が5七角を防いている) ところがこの作戦に対して後手からは別の対策が生じました

2013-03-10 14:11:19
スコップ@コーラルおいしい @schophits

そこで中飛車党が考えたのが「初手▲5六歩」です 角道を先に開けるから角交換の隙が生まれる訳で、先に▲5六歩~5八飛としてから角道を開ければいいというわけです(5六歩が4五角が両取りになるのを防ぎ、5八飛が5七角を防いている) ところがこの作戦に対して後手からは別の対策が生じました

2013-03-10 14:11:19
スコップ@コーラルおいしい @schophits

それは後手も飛車を振って相振り飛車にする、というものです 実はもともと中飛車は相振りには向かないと言われているのです 勿論それだけでいきなり不利になるわけではなく、また、初手▲5六歩に対して居飛車にしても勿論一局の将棋です しかしできるなら少しでも得をしたいと誰しも考えるものです

2013-03-10 14:15:43
スコップ@コーラルおいしい @schophits

とここまで先手番のことばかり話してきましたが、中飛車と言えば奴のことを忘れるわけにはいきません 現在の角交換振り飛車の代表と言えば勿論、ゴキゲン中飛車です ゴキゲン中飛車の面白いところは「4手目△5四歩の成立」です さっき3手目▲5六歩はダメと言いましたが何と4手目だと成立します

2013-03-10 14:22:06
スコップ@コーラルおいしい @schophits

3手目▲5六歩は△5七角と打たれて両成りが受かりませんでしたが、後手番で▲2六歩と突かせた結果、何と▲5三角と打っても4二角と打って受かってしまうのです そして▲2五歩に△5二飛! 2筋を受けません ▲2四歩△同歩▲同飛ときても角交換して△3三角が両取りになるので大丈夫というわけ

2013-03-10 14:26:52
スコップ@コーラルおいしい @schophits

△5二飛に▲5八金から超急戦を目指す順もありますが難解すぎてわけわかめなので省略します △5二飛▲4八銀△5五歩! 角道は止まりますがここでも▲2四歩はのちの△5六歩が歩成りの先手で入るので同じようなことになります そして▲6八玉に△3三角で、ついに後手は3三角を間に合わせました

2013-03-10 14:31:59
スコップ@コーラルおいしい @schophits

このゴキ中に対してさまざまな対策はあるものの、現在中飛車にすること自体を咎めることはできないとされています(多分それを実現させたらタイトルホルダーになれます) そしてもう1つゴキ中のいいところは、「相手の2六歩(=居飛車にする)を見てから振り飛車(中飛車)にできるということです 

2013-03-10 14:36:47
スコップ@コーラルおいしい @schophits

これが初手▲5六歩よりゴキ中が優れている点です つまり、先手が居飛車なら中飛車にできるし、例えば先手が▲7五歩や▲6六歩のように振り飛車模様の出だしなら、それを見て中飛車じゃない別の作戦を選べば(例えば△3五歩から相三間とか)、先ほど述べた「相振りで中飛車」という損を回避できます

2013-03-10 14:41:33
スコップ@コーラルおいしい @schophits

ここまで来たところで中飛車党は考えました 「ゴキゲン中飛車を応用すれば、先手でもスムーズに中飛車にできるのではないか」と つまり、▲7六歩△3四歩の局面で先に相手に形を決めさせる 勿論将棋にパスはないので、何か損にならない手を指して手を渡す訳です それこそが「序盤の端歩突き」です

2013-03-10 14:46:38