茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第888回「ピュアな、メッセージだけが残る」
- toshihiro36
- 6212
- 0
- 1
- 3
ぷめ(1)ぼくの小学校の校歌に、「小学生われら、ここに学ぶ」というのがあった。それで、1年生で入った時、上級生が、「小学生われら、ここにゼンガクレン!」と歌っていて、面白かったので、瞬時に覚えてしまった。周回とかで歌っていると、大人たちがあわてるのが楽しかった。
2013-03-12 07:51:12ぴめ(2)ところが、「ゼンガクレン」というのがなんなのか、本当はよくわからなかったのだ。新聞とかで、「全学連」という文字を見て、ああ、このことかと思った。まだ、学生運動が華やかなりし頃のことである。アンポ反対とか、エンタープライズ反対とか、いろいろ反対している頃だった。
2013-03-12 07:53:20ぴめ(3)ぼくが小学校の頃って、考えてみると日本も世界もざわざわしていた時代で、ベトナム戦争があったし、それに反対するベ平連もあった。日米安保も、今よりもよほどざわざわしていて、改定に反対するとか、安田講堂が占拠されて放水されるとかあって、東大入試が中止になったりした。
2013-03-12 07:54:49ぴめ(4)時間は流れる。中学になって、英語を学び始めたとき、まっさきに覚えた歌の一つが、ジョン・レノンの「イマジン」だった。imagine there's no country...いい曲だよね。ジョンが、オノ・ヨーコさんと白い服を着てベッドの中で記者会見する画像とかも見た。
2013-03-12 07:56:24ぴめ(5)中学の頃は、もう日本もぼく自身もすっかり「ノンポリ」になっていたけれども、ジョン・レノンの「イマジン」はいい曲だなとか、オノ・ヨーコと白い服着てベッドから何か訴えかけているのはいいな、とか、そんな感想を持っていた。歌詞も、すうっと心の真ん中に入ってくるのである。
2013-03-12 07:58:32ぴめ(6)それで、最近になって、そういえば、イマジンって中学の頃から歌ってたけど、あれって、どれくらいにつくられた歌なんだっけ、と調べたら、1971年の10月11日だった。もうすぐぼくが9歳の誕生日の時。それで、ああ、と思った。ベトナム戦争が終わったのは1975年の4月30日。
2013-03-12 08:01:37ぴめ(7)「イマジン」って、やっぱり、ベトナム戦争をやっていた頃の歌なんだ、と思ったら、いろいろなことが腑に落ちた気がした。ここで肝心なのは、「イマジン」の歌手には、特定の戦争や、運動や、そういうものは一切出て来ないということである。あくまでも純粋に、平和の理想を歌っている。
2013-03-12 08:02:55ぴめ(8)ぼくの想念は、時間の渦を逆流して、あの頃に戻る。世界はざわざわじていて、ベトナム戦争反対だとか、エンタープライズ反対だとか、安保反対だとか、いろいろな言葉が飛び交っていた。ところが、それらの言葉は、時間の流れとともに、風に吹き飛ばされる木の葉のように消えてしまった。
2013-03-12 08:04:13ぴめ(9)人は、どうしても現実から出発する。「反対」と言うことで、現実につきあってしまう。一方、私たちの心の中には、現実とは無関係に、理想の原型のようなものがあって、時代を経て結局そちらだけが残る。アーティストは現実を見ないわけではない。ただ、心の真実をうたうだけなのである。
2013-03-12 08:05:48以上、連続ツイート第888回「ピュアな、メッセージだけが残る」でした。お読みいただいてきました朝の連続ツイートですが、本日をもって、休止といたします。長い間、おつきあいいただき、ありがとうございました。
2013-03-12 08:07:12