マンドリンで演奏するドビュッシーのペレアスとメリザンドについて

メトロポリタン・マンドリン・オーケストラ 音楽監督/アレンジャーの @udupho が2010/9/12の演奏会のプログラム「ドビュッシーの歌劇ペレアスとメリザンド」についてつぶやきます。
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笹崎・T・譲 @udupho

9/12のプログラム、続いて2曲目。ドビュッシーの歌劇「ペレアスとメリザンド」抜粋です。4曲からなり、それぞれ、第1・2・4・5幕からの抜粋。10年前に編曲したのですが、今回はそれに多少手を加えました。いつの間にか数小節増えました。

2010-09-03 13:02:01
笹崎・T・譲 @udupho

編曲は、まずオペラ全曲を覚え、抜粋したい箇所の選定からスタートしました。この曲には、Constant編曲の「ペレアスとメリザンド交響曲」、Leinsdorf編曲版、ピアノ編曲、ピアノ連弾編曲などがあるので、それらと抜粋方法が極力重ならないように。

2010-09-03 13:02:24
笹崎・T・譲 @udupho

とにかく全曲すばらしいスコアなので、抜粋箇所の選定には時間がかかり、採用したいけれどもカットした箇所が多数あります。3幕から抜粋しなかったのは、断腸の思い。

2010-09-03 13:02:56
笹崎・T・譲 @udupho

逆に、2幕の正午の場面(指輪が落下するシーン)など、どうしても盛り込みたい場面もあり、推敲に推敲を重ね、4曲20分強にまとめ上げました。

2010-09-03 13:03:01
笹崎・T・譲 @udupho

結果、さまざまな部分から細切れに抜粋することに。各曲5~8箇所をつなぎ合わせ、さらに拍節調節を施してあります。音楽として自然な流れが実現できている自負はあります。

2010-09-03 13:03:09
笹崎・T・譲 @udupho

編成は、打楽器2人、ハープ、ピアノ、13パートに分割したマンドリン・オーケストラ。パート内のソロも多数。管楽器をソロにするといった単純な移し替えではなく、音楽にふさわしい音響からオーケストレーションを決定。

2010-09-03 13:03:14
笹崎・T・譲 @udupho

「ペレアスとメリザンド」は、幻想的でありながら、裏で糸を引くように見事に統一されている点が素晴らしいと思っています。キーワードは「ゆっくりと離れていく」「ゆっくり落ちていく」。

2010-09-03 13:03:22
笹崎・T・譲 @udupho

物語は、メリザンドが結婚指輪を正午に誤って(故意に?)泉に落としてしまうところから、凋落の一途をたどると解釈できると思います。同時にゴローは落馬して(「落ちる」)しまいます。

2010-09-03 13:03:30
笹崎・T・譲 @udupho

ペレアスは旅に出ようとし(「離れる」)、メリザンドの髪は塔から下がり(「落ちる」)、羊はいつもの道と違う道に行き(「離れる」)、メリザンドは夕陽が沈む中息を引き取るのです(「落ちる」)。

2010-09-03 13:03:36
笹崎・T・譲 @udupho

抜粋箇所も、重要な「ゆっくりと離れていく」「ゆっくり落ちていく」箇所をできるだけ選択しているつもりです。それは、ドビュッシーがスコアに見事に反映している箇所でもあります。

2010-09-03 13:03:56
笹崎・T・譲 @udupho

第1曲は、1幕1場と1幕3場から。ゴローとメリザンドの出会いのシーンと、メリザンドとペレアスの会話のシーン。冒頭の森と泉の暗い響き、メリザンドの半透明で純真な響きをお楽しみください。

2010-09-03 13:04:02
笹崎・T・譲 @udupho

第1曲冒頭の低音が効果的です。マンドリン・オーケストラの低音のみの長いトレモロは、ある種のあいまいさを持ち合わせており、それが曲想にマッチしているのです。

2010-09-03 13:04:06
笹崎・T・譲 @udupho

メリザンドのテーマは主にマンドリンのソロが担当します。もちろん確信犯的な楽器の割り当てです。ちなみに編曲スコアには、主導動機の名前を書き込んであります。

2010-09-03 13:04:11
笹崎・T・譲 @udupho

第2曲は、2第1場と2幕3場から。前半は、数少ない光のある正午の場面。指輪を落とすシーンはここです。後半は夜の洞窟。洞窟の天井に星が光るシーンの響きはとてもきれいです。

2010-09-03 13:04:16
笹崎・T・譲 @udupho

第2曲前半は泉の描写。マンドリン・オーケストラでは、水の流れは光の流れを伴います。指輪がハープのグリッサンドで落下。そこから曲は次第に光を失っていきます。

2010-09-03 13:04:22
笹崎・T・譲 @udupho

第3曲は、4幕4場から。ペレアスとメリザンドの愛の告白、そしてゴローによる殺戮。オペラ中もっともロマンティックな場面からもっとも緊迫度の高い場面への転換が見事です。

2010-09-03 13:04:27
笹崎・T・譲 @udupho

第3曲の前半部分の最後の方で、低音だけが不思議な音を演奏します。これは「門が締まる音」。後半部分ではゴローがペレアスを剣で刺す描写なども出現します。

2010-09-03 13:04:32
笹崎・T・譲 @udupho

第4曲は、5幕第2場から。メリザンドの臨終の場面。静かに静かに、夕陽が沈む中で息を引き取るメリザンド。遠くから臨終の鐘が響きます。

2010-09-03 13:04:37
笹崎・T・譲 @udupho

この曲全体を通じて、オーケストラとピアノの中間の弾き方を多用しています。スラーがかかっていても1つ1つの音を抜きながら演奏するこの方法、とくにフランス音楽には効果ありです。ドイツ音楽で適応すると曲にならないのですが。

2010-09-03 13:04:43
笹崎・T・譲 @udupho

Tuttiのppは、まさしくマンドリン・オーケストラの特徴です。ドビュッシーのイメージしていた「遠い響き」を実現しやすい演奏媒体だと実感します。

2010-09-03 13:04:48
笹崎・T・譲 @udupho

また、この曲の演奏では、今までとは違った演出を行います。詳細はまだ明かせないので、当日会場でお楽しみくださいませ。ではシベリウスの原稿作成にかかります。またお時間ください。

2010-09-03 13:04:58