「毎日がつまらない。自分の人生を変えたい。……そういうことのために、わたしは他人に暴力を振るえるんだよ。悪く思わないでね。妖精テロリストの手伝いをすることで、わたしは素晴らしい報酬を得る」 #dda第六話 16
2013-03-12 22:33:08(CM)某有名ハンバーガーショップ。ハッピーセットに『ドゥームズデイあやね』が新登場! キラキラの拷問アイテムがたくさん! 「すっごーい!」「痛そうー!」「あたしも欲しい!」 週末には拷問記録メモもついてくるよ! #dda第六話 17
2013-03-12 22:35:54ミフユはふと思い出す。幼かったころの出来事。有名なハンバーガーショップのお子様向けセット。人気少女アニメとタイアップした小物入れが「おまけ」としてついてくるキャンペーンがあった。テレビのCMで見たそのアイテムは、たくさんの宝石でキラキラしていた。 #dda第六話 18
2013-03-12 22:37:07両親が珍しく、ミフユの要望を聞き入れてくれた。休日の昼食が、そのハンバーガーショップのお子様向けセットになった。幼いミフユは、大喜びでそのオモチャが入ったビニール袋を破った。アニメのキャラがプリントされた小物入れ。 #dda第六話 19
2013-03-12 22:37:35得意になったミフユは、その小物入れを幼稚園に持っていった。すると、幼稚園で一番のお嬢様の子が、もっとしっかりとしたオモチャを持ってきていた。電池を入れて、タッチパネルの液晶が本当にキラキラと光る。 #dda第六話 20
2013-03-12 22:38:10それに比べたら、ハンバーガーの「おまけ」は本当にみすぼらしかった。恥ずかしくなったミフユは、もうバッグから自分の小物入れは出せなくなった。色あせたアクセサリー。幼稚園の友だちに見せるはずだったのに……。こんなはずじゃなかった。 #dda第六話 21
2013-03-12 22:38:40「他人から見たらどうでもいいような、小さな挫折の積み重ね。それがどうしようもないほど退屈な、つまらない人生になっていくんだよ」 #dda第六話 22
2013-03-12 22:41:49「毎日が『こんなはずじゃなかった』の積み重ね。わたしみたいな人間がそこから抜け出すためには、特別な力が必要になる。ドゥームズデイあやねさん。だから、わたしはあなたにも絶対に負けない」 #dda第六話 23
2013-03-12 22:42:10拷問空間では拘束魔法も強化される。ミフユの魔力が物質化した触手が、アヤネの手足を拘束する。大の字に固定されて、アヤネは動けなくなる。ミフユは笑う。「拷問空間での戦いは、相手の心を折ったほうが勝利する……そうだよね?」 #dda第六話 24
2013-03-12 22:42:37「キリキリキリ……ドリルでどこに穴を開けると痛いかにゃあー?」ミフユはドリルの先端をアヤネに見せつけながら、拘束された体に粘着質な視線を送った。「ねえ、あなた。『マラソンマン』って映画知ってる? あれで『歯医者』って拷問が有名になったんだよ」 #dda第六話 25
2013-03-12 22:43:01ミフユの触手がアヤネの口に侵入した。無理やり口を開けさせた状態で、固定する。アヤネは「あが……」と奇妙な声を漏らす。奥歯、喉の奥までが丸見えになる。ミフユは、ハンドドリルをアヤネの奥歯に突き刺した。チュイイインと歯を削る音。 #dda第六話 26
2013-03-12 22:43:25ドリルはすぐに神経に達する。アヤネの口内に溢れる大量の血。ドリルは簡単に歯を貫通し、歯茎をえぐり、アヤネの頬を突き破って外に飛び出した。ミフユは満足気にうなずいてドリルと触手を抜く。「さすが。これくらいじゃまだ折れないのか……ドゥームズデイあやね」 #dda第六話 27
2013-03-12 22:43:53「……わかってないのね、あなた」口に穴が開いているので多少くぐもってはいたが、アヤネの発音はしっかりしていた。口から血をこぼしながら、続けて言う。「折れるどころか、私は楽しんでるよ」「……え?」 #dda第六話 28
2013-03-12 22:44:25「私は……拷問するのが楽しいだけじゃない、拷問されるのも楽しいのよ。せっかくあなた、ドリルなんか持ってるんだから、いきなり私の目をえぐればよかった。ドリルで取り出した眼球を、私の口に突っ込むの。『夏侯惇かよ!』ってみんな大笑いよ……」 #dda第六話 30
2013-03-12 22:45:44笑えない、とミフユは思った。アヤネは続けて言う。「これが『楽しみ』よ。聖書にも書いてあるじゃない。汝の苦痛を愛せ」 #dda第六話 31
2013-03-12 22:46:09「何を言ってるの……あなた?」ミフユは呆然とつぶやいた。あと、聖書にはそんなこと書いてないと思う。 #dda第六話 32
2013-03-12 22:47:22拷問空間で恐怖や不安を覚えると、急激に魔力が弱まってしまう。アヤネの異様な雰囲気に圧倒されて、ミフユは怯んだ。その「心の隙」が命取りだ。ミフユの触手が消失し、直後、アヤネのまじかるリボルバーが火を噴く。拘束弾丸が魔力ロープを展開し、敵を縛る。 #dda第六話 33
2013-03-12 22:47:50