《『福島民報」山下俊一氏関連連載第5回》
- karitoshi2011
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25 広島大から来た神谷氏は、一般住民向けの説明会には、なぜか出てこなかった。神谷氏は最初、福島市近辺の県北地区の幼稚園長小中高校の校長限定の説明会の講師として話をした。あまり安全側に偏りすぎた話はしなかったらしい。(私も内容を聞いていない)
2013-03-17 13:54:2826 ちょっと横道にそれるが、神谷氏が講演した園長校長会のその会場で、校長たちが地区や学校種に分かれて、2011年の学校行事やプール授業についてどうするのか、相談したらしい。その結果、ほとんどの学校では屋外でのプール授業が実施されないことになった。
2013-03-17 13:56:2427 プール中止の理由は、子どもの健康の問題ではない。プールにたまっている水には大量の放射性物質が含まれていると予想され、プール掃除の為に排水すれば下流の農地が汚染され、学校設置主体(高校の場合県)が訴訟を起こされる可能性があるから、とのことだった。
2013-03-17 14:01:1528 それ以外のことは、マラソン大会とか球技大会の実施も含め、高校の場合、学校長に任せられた。福島県は、判断を校長に押し付け、責任回避した。プールの排水の件も、各学校ごとに下流と調整しろという姿勢だった。
2013-03-17 14:05:3529 さて、記事に戻る。校庭の利用基準について、日本政府の考えはぶれていない。この部分は、政府に対する事実誤認だ。「基準値以下なら、何時間でも運動してよい」が日本政府の方針で、それは福島県と同じだ。揺れ動いたのは、現場の運用のほうだ。
2013-03-17 14:15:2630 文部科学省や県庁がいくら「外で活動させろ」と言っても、小中学校には保護者からの要望が来る。特にPTAの役員クラスになると、ネットユーザー率は上がり、県外からの情報も入手しやすくなる。事故発生前の基準が年1ミリなら、それを超える活動をわが子にさせたくないという声がで続ける。
2013-03-17 14:18:2631 体育の授業や学校行事となると、保護者の意向は無視できない。特に運動会は、PTA役員の協力がなければ、実施できない。原発の状態が落ち着くのを待たずに学校を再開した分、保護者の不安を軽視するわけには行かない状況だった。
2013-03-17 14:22:1232 学校が気にしたのは、横並びだった。同じ自治体の学校は、どこまでどんな対応をしているか。何を禁じ、何をさせているか。その結果として、福島市近辺の小中学校では、マスクを着用しての登下校、屋外体育自粛、窓を閉めての授業が実施された。
2013-03-17 14:25:5933 福島県は、何とかその状況を変えようとした。アドバイザーによる100ミリ安全宣伝の反復、屋外飲食イベントの頻繁な開催。窓を開けても線量が変わらないという結果を出すための調査、など。地域の商工会、観光業や飲食業も飲食イベントを再開した。
2013-03-17 14:30:1934 早い所では、3月末に福島駅近辺で「復興」を歌う飲食イベントが開催されたし、4月には信夫山で普通に花見の屋台が出ている。しかし、信夫山の公園の放射線量が、屋台終了翌日に発表された。国の基準、毎時3.8μを上回る線量で講演使用が自粛となった。
2013-03-17 14:34:3835 従って、福島県庁とアドバイザーの立場から国の方針に口を出せるとしたら「なぜ年100ミリという福島県のアドバイザーの方針に合わせてくれなかったのか?」ということになるだろう。20に変えた為に、できない事が増えてしまった。今日の記事で言う「政府の対応のぶれ」とはこれだろう。
2013-03-17 14:41:1136 今日の記事でも、後半は山下俊一氏に関する話に戻る。山下氏は、被曝のリスクを他のリスクと比較する形で説明した。野菜不足や受動喫煙と同程度である、と。県民の多くはこう受け止めたのだろう。「だったら、無害じゃないじゃないか」。リスクゼロなどとカタカナで言う必要はない。無害か有害か
2013-03-17 15:07:4737 福島県民は、アドバイザーだけに文句を言いたいわけではなかった。提訴の中心はあくまで、事故の加害者である東京電力と、原発推進を国策としてきた国だ。しかし、国も東京電力も、そもそも県民の前には姿を見せないし、説明もしないのだ。自治体職員だけが矢面に立つ状況だった。
2013-03-17 15:19:5738 山下氏は「安心と言えばたたかれ」たと愚痴のようなことを言っている。実際、山下氏が伝えようとしている「安心」は、上手く伝わらなかった。一番の問題は原発事故で、事故が終わってもいない中では「安心」も何もあったものじゃないのに、無理に安心させようとしたのが原因だったのだ。
2013-03-17 15:31:0239 今日の記事の最後に出てくるのが、長崎大学長、片峰茂氏だ。片峰氏は、山下氏らアドバイザーへの解任要求署名を批判し、山下氏を「科学的に正しいことを言っている」と断定的に擁護している。「被爆地として長年にわたり放射線研究に携わってきた長崎大の威信がかかっていた」と記事は書く。
2013-03-17 15:34:0040 つまり、長崎大学は組織として、「被害者の心に寄り添う」ことを捨て、自己の組織の一員を擁護するという宣言だ、と私は受け止めた。「被爆地の大学としての研究」とやらも、被害者の状況を軽視しているのだろうと感じた。
2013-03-17 15:36:0741 実際、長崎大学は「黒い雨」による被曝者の健康被害を認知しない方向で動いている。山下氏の言葉のように、放射線被曝の遺伝的影響も認めない。被害者を限定し、分断し、加害者側に立ってきた。それを福島県でも継続する、という宣言に見えた。
2013-03-17 15:39:4942 万が一、次に住民が広範囲で被曝するような事態が発生するときのために、東電原発事故では、きちんと調査し、評価しなければならない。被害者を分断させず、疑わしい健康被害が出たら、可能な限り治療と救済と賠償を要求しなければならない。
2013-03-17 15:47:2143 今日の最後に、書いておきたいことがある。『福島民報』という新聞と、企業は、いったい誰に何をするために新聞を発行しているのか?この連載の中で、加害企業である東京電力や、日本政府や、福島県に関して、対応が適切だったかどうかという検証をする姿勢は、微塵も見られない。
2013-03-17 15:51:2744 今日の連載第5回では、第2回の記事が間違いだったこと(3月11日に福島県立医大理事長の隣の席に座っていたのは誰か)を、訂正や謝罪ではない形で表現した。事実を伝えようという姿勢も、間違いを認めようという態度も存在していないように見える。
2013-03-17 15:55:3245 この記事は、連載は、一体、誰に向けてのものなのか?山下俊一氏の擁護なのか?福島県からの責任転嫁なのか?あるいは、山下氏が望んだような安心を拒否する福島県民を批判することなのか?少なくともここまでの連載は、中立とはかけ離れた、山下氏に異を唱える人々を批判する論調だった。
2013-03-17 15:58:1746 いっそのこと、「年1ミリを目標にしたら変えれない人が増えるから、基準を緩和しよう」という読売新聞社説のように、社説を明確にしたほうが、わかりやすい。それとも、「山下氏には申し訳ないが、わが社も1ミリを基準にしたい」と書くか。社の姿勢を明確に見せたほうが良いのではないか?
2013-03-17 16:01:53