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ロシアが反発する欧州ミサイル防衛の行方

イランの弾道ミサイルを迎撃し、米国やNATO諸国を守る欧州ミサイル防衛計画を米国が進めている。ロシアは自国の核戦力も無力化されかねないとして強く反発。防衛網整備がロシアに向けられたものではないという法的保証を米国に求めているが、米国はこれを拒否しており、双方の溝は深い。
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関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛1)ロシアと米国の最大の懸案の一つに欧州ミサイル防衛問題というものがあります。これをめぐって最近、ある動きがありました。(続く)
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛2)欧州ミサイル防衛とは、米国はイランの戦略ミサイルから米国、及びNATO諸国を守るために迎撃ミサイル施設を構築しようとしている計画です。ロシアはこれに対し、狙いはイランではなく、ロシアの核兵器で、自国の核戦力が無力化されるとして反発し続けています。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛3)もちろん、米国側はロシアの核を狙ったものではないと主張。一方、ロシアは「本当にロシアを狙っていないのなら、法的な文書などでそれを保証すべきだ」とし、両者は妥協点を見いだせないまま今日まで至っています。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛4)欧州ミサイル防衛計画は、ブッシュ大統領の時代にでき、オバマ大統領になって計画内容を変更したものの、ロシアの不信は相変わらずで、計画に反対しています。現在の計画は2020年までに計4段階にわたって迎撃ミサイル施設やレーダー施設を強化する内容です。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛5)つまり、迎撃可能範囲を、段階的に短距離、中距離、大陸間弾道ミサイルへと拡大していく内容です。特にロシアがこだわっているのが、第3、第4段階での強化です。この二つの段階では、大陸間弾道ミサイルの迎撃を視野に入れているからです。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛6)通常戦力で米国やNATOに劣るロシアにとって、大陸間弾道ミサイルを含む核戦力は軍事力の要。これが脅かされるとあっては、ロシアとしてはどうしても認められないということです。前置きが長くなりましたが、実は最近、米国が突然、4段階を取りやめることを明らかにしました。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛7)原因は北朝鮮でした。北朝鮮による最近のミサイル発射実験を受け、米国は北朝鮮からのミサイル防衛網を強化する必要があると判断。関連施設を増強する代わりに、イランを想定する欧州防衛網整備費を減らして予算を捻出するということのようです。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛8)ロシアにとっては、ラッキー、なのかと思いきや、今のところ公には厳しい姿勢を崩していません。リャプコフ外務次官は「ロシアに対する譲歩とは受け止めていない」とし、引き続き、防衛網の整備がロシアに向けられたものではないという法的保証を求めていく考えを示しています。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛9)ただ、ちょっと気になるのは、米国の計画変更発表より少し前、ロシアの主要紙「コメルサント」が、ロシアと米国が欧州ミサイル防衛問題で妥協する可能性がある、とする記事を掲載したことです。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛10)そこには、オバマ大統領が、議会の承認を必要としない形(首脳同士の共同宣言のような?)の法的保証をロシアに与える可能性が検討されていると書かれていました。これはすぐさまラブロフ外相によって否定されたのですが、果たして第4段階中止と関係があったのか。ないのか。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛11)いずれにしても、ロシアとの「リセット」を実現させ、「核なき世界」を目指すオバマ大統領が再選されたことで、この欧州ミサイル防衛問題で今後何か動きが出るかもしれません。
JSF @obiekt_JP
@usausa_sekine 欧州ミサイル防衛の段階的適応アプローチについて、「短距離」対応というのは短距離弾道ミサイルとの誤解を招くかもしれません。使用ミサイルはSM-3なので、短距離弾道ミサイルはむしろ迎撃出来ないのです。準中距離弾道ミサイルから中距離弾道ミサイル対応です。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
@obiekt_JP コメントありがとうございます。SM-3は短距離~中距離の弾道ミサイルを迎撃できると理解しているのですが、短距離についてはカバーしてないということでしょうか。短距離弾道ミサイルは軌道が低いから迎撃できないということでしょうか?よろしければ教えて下さい。
JSF @obiekt_JP
@usausa_sekine SM-3は大気圏外迎撃専用なんです。でも短距離弾道ミサイルは飛行高度が低く、大気圏外を飛行する時間が短くて迎撃困難になります。欧州MDはフェイズ1と2が射程3500kmの中距離弾道ミサイル対応、フェイズ3が5500kmまで対応、4がICBM対応です。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
@obiekt_JP なんと、専用とは!ありがとうございます。フェーズごとのそれらの射程距離などが記載されているサイトなどはあるのでしょうか。厚かましい質問で恐縮です。それと、このやりとりも Togetterのまとめに入れてもかまわないでしょうか。
JSF @obiekt_JP
@usausa_sekine 纏めの掲載は問題ないです。 それと段階的適応アプローチに付いて日本語で解説してるサイトではこれがあります。数値が微妙に違いますが、大体は同じですね。 http://t.co/qjDLiccgCJ
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
@obiekt_JP ありがとうございます。この欧州ミサイル防衛問題は、モスクワにいることもあってロシア軍事筋に取材することがほとんどなのですが、細かいところでまだまだ取材が至らず、誤った情報を皆さんに提供してしまい恐縮です。精進します。今後ともご指摘よろしくお願いします。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛12)先日紹介した欧州ミサイル防衛(MD)問題で動きが出そうな予感です。本日、ロシア紙「コメルサント」がNATO事務局長のアレクサンダー・バーシュボウ氏のインタビュー記事を掲載。米国の計画縮小を受けて、NATOはロシアとMD問題で新たな協力の可能性を探るというのです。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛13)バーシュボウ氏によると、NATOはロシア側に、NATOとロシア間で24時間体制で、偵察なども含めた情報を交換するセンターを二つ設置することを提案しているというのです。今後、この内容についてロシア側と協議を深めていきたい意向です。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛14)米国が先日発表した、欧州ミサイル防衛の第4段階(大陸間弾道ミサイル迎撃)の取りやめについては、延期なのか、中止なのかと問われ、バーシュボウ氏は「中止だ」と答えています。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛15)また、ほかの第1~3段階については計画通り配備が進められるとも述べています。ただ、ロシアは第4段階だけでなく、第3段階でもロシアの大陸間弾道ミサイルを脅かすものだと懸念しています。これについてコメルサント紙記者が質問したところ、
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛16)バーシュボウ氏はそうした主張を、「根拠がない」と退けます。第3段階では中距離ミサイルまでしか迎撃能力がないと言い、第4段階でさえ、ロシアの大陸間弾道ミサイルを迎撃する能力はないと改めて指摘(NATO側はこれまで何度も言っています)しました。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛17)今月中旬、NATOとロシアの外相会談が予定され、その場でこの問題が議論されるとみられます。ただ、今回バーシュボウ氏が語った内容がどの程度新鮮味があるものなのか、見極める必要がありそうです。というのも、双方はすでにMDで連携することを3年前に合意しているからです。
関根和弘/Kazuhiro SEKINE @usausa_sekine
ミサイル防衛18)その上、バーシュボウ氏はインタビューで、NATOとロシアのMDシステムを統合することは否定しました。二つの統合を主張してきたロシアの提案には歩み寄りがありません。ロシアが米国・NATO側の「譲歩」にどう反応していくのか。高度な交渉術が見られそうです。

コメント

ワッキー提督 @admiral_wakky 2013年3月21日
”ロシアの核兵器で、自国の核戦力が無力化されるとして反発し続けています。”このへんのところで「相互確証破壊」についての解説を入れとかないと、この部分の意味が解らない人が出るんじゃないかな?
JSF @obiekt_JP 2013年3月22日
ロシアがMDに反発する理由に「米露1997年ABM/TMD線引き合意」があります。今やABM条約は失効していますが、1997年に中距離弾道ミサイル迎撃までは認める合意が出来ていました。SM-3はブロック1までは1997年合意内ですが、ブロック2は逸脱しています。  http://obiekt.seesaa.net/article/310614064.html
JSF @obiekt_JP 2013年3月22日
SM-3ブロック2は基本的に中距離弾道ミサイル迎撃用ですが、限定的なICBM対処能力があります。2A(ターミナル段階突入直前のミッドコース段階でICBMを迎撃可能)、2B(2Aの能力に加えて上昇中のICBMを迎撃可能)。
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