動物とのふれあいなくして命は学べないのか
- shima_risu
- 2995
- 0
- 0
- 5
第36回中央環境審議会動物愛護部会「基本指針見直しにかかる関係者ヒアリング」を傍聴しましたが、命の教育と称する「生体ふれあい利用」を戦略的かつ構造的に進める方々の動向と手法を注視する者にとって心救われる、ウレシイ意見が出ていましたのでそのあたりを少し掘り下げて書いてみます(続く)
2013-03-26 01:20:24続き①)まず動愛法の基本指針ですが、全国動物愛護推進計画の策定(取り組みの施策など)の方向性を決めるもので、行政が実施する動物愛護教育(ふれあい事業とか)、動物愛護週間のイベント、学校飼育動物の行政指導など、犬猫以外にも影響が大きい部分ではないかと思います。(続く)
2013-03-26 01:21:28続き②)他のところはすっとばして(笑)、特に嬉しかったのは5団体の1つ、「動物との共生を考える連絡会」様からの意見で、動物福祉をリードされる獣医師のお二人から、公の場で、過熱する生体ふれあいブームに警鐘を鳴らすような(というか冷や水をかけるような?)発言がなされたことです(続く)
2013-03-26 01:22:36続き③)意見内容は配布資料に添付されている意見書に集約されていますので、議事次第の「資料6」より一部抜粋します。「動物の愛護及び管理の基本的考え方に、「指針全般の基礎となる考え方に「動物福祉」を位置付ける。(福祉・ニーズの確保)」(続く)
2013-03-26 01:23:46続き④)気持ちの現れとしての「かわいがる」等の感情ではなく、動物が必要としているニーズを確保し人に不都合なことはすべて動物側に我慢させ、生理・生態・習性を無視するのではなく、動物を適切に飼養管理することによって、人と動物が共に暮らす命にやさしい社会の構築を目指す。(続く)
2013-03-26 01:24:09続き⑤)人は動物を食べることから始まり、人の福祉のために利用したり、ペットとして飼育することも含めて、いろいろな形で動物を利用しているが、それは「動物の福祉が確保されてはじめて認められる行為である。」抜粋終わり(続く)
2013-03-26 01:24:32続き⑥)施策展開の方向では動物福祉の推進にあたり教育・法律・科学と三つの柱打ち出され、特に共感したのは「科学」の部分です。こちらも以下一部抜粋。「科学 思い込みの動物愛護ではなく、動物福祉にかかわる研究により、科学的データを提供し、動物の福祉及び人と動物の共生に寄与する」(続く)
2013-03-26 01:26:50(補足)家畜の福祉については大学教授等アカデミックな方々により動物行動学の分野から体系的な研究・評価が行われており(現実的な問題により普及が難しいとはいえ)学識者間で問題認識が共有されているように思います。しかし生体ふれあい分野は問題認識に欠け、利用側に有利な研究が多いと感じます
2013-03-26 01:28:20続き⑦)また、私が傍聴席で小躍りしてしまったのは、「(1)普及啓発」についての意見です。以下一部抜粋。「子どもの教育においては、「ふれあい」と呼ばれている生身の動物を「触らせる」ことでしか「いのちの教育」ができないように言われているが、(続く)
2013-03-26 01:33:24(続き⑧)生身の動物に代わるものを使っての「命の教育」は可能であるので、普及啓発のために動物にストレスをかけることのないよう、適切な飼養管理や接し方と上手く組み合わせて展開する。」(一部抜粋終わり)との部分にあたる説明が、動物が体調を崩したという例示とともに話されてました(続く)
2013-03-26 01:39:42(補足)動物愛護の観点からも至極当然のご意見ですが、以前、全国47都道府県の動物愛護推進計画を調べたところ、動物福祉を位置付けたものはなく動物のふれあい・教育利用に言及している県は31もありながら、ふれあい動物のストレス配慮に言及していたのは4県のみでした(usamoru調べ)
2013-03-26 01:48:13(補足)動物愛護推進計画に記載がなくても実際には生体のふれあいを行っていたり、動物愛護週間のイベントに移動動物園や動物プロダクションを利用して大動物、小動物、爬虫類などを置いて(これも税金ですよ~)天候や利用者数にかかわらず興行的なふれあいの場を市民に提供しているところもあります
2013-03-26 01:52:09(補足)部会終了後、すかさず「生身の動物を使う場合の動物適性」について関係者にお伺いしたところ、「猫やうさぎの多くはセラピーやふれあいに適性があるとは言い難く、おのずと適性のある犬に限定されるだろう」との事でした♪(犬でも適性評価が不可欠で、体調等を優先するのはあたりまえですね)
2013-03-26 01:55:55(補足)これは個人的に痛感していることですが、公の場で生体ふれあいに関する問題提起をされる学識者(獣医師)は稀有な存在です。このような獣医師さんはより高い社会評価を受けるべきであり、同様の意識を持ち声をあげる獣医さんが増えるよう、かかりつけ医等に伝えていくことも必要と感じました。
2013-03-26 02:01:49(現実問題)一方、「さぁ子どもたち、うさぎですよ、たっぷりと触ってふれあいを!うさぎは飼育が簡単です」とやっている某獣医師は断固として動物福祉への理解を示さず、学校等に動物を導入するための戦略を練ってばかりいるのが実情であり、動物園のふれあい広場もエスカレートする一方です。
2013-03-26 02:07:15(現実問題)また、環境省の改正動愛法や基本指針見直しなどどこ吹く風、他省庁にあっては動物の愛護、福祉、権利など煩いことを言って科学技術振興(履き違えてるけど)や経済発展(と称する犠牲ありきの搾取だけど)に水を差す人材を生み出さないための戦略?としか思えない事象が散見されます(汗)
2013-03-26 02:09:16(現実問題)とくに文部科学省は、うさぎ等の学校飼育動物を小学校理科教科における実験観察教材として位置づけ「ふれあい」を奨めていますし、動物園・水族館は生体ふれあいを集客利用している部分があり、ふれあいイベント必須のジャパンペットフェアには経済産業省の後援がお決まりになっています。
2013-03-26 02:18:07(現実問題)愛護部会では新部会長による中立的な進行に期待が持てましたが、委員の中で動物福祉の観点からの指針見直しに積極的な方は何人おられるのかなと・・多摩動物園公園園長(モルモットふれあい広場有。利用者200人超の日も)、アニマルセラピー研究で有名な教授が臨時委員に就かれたこと、
2013-03-26 02:22:31(現実問題)続投されたZPK会長(加盟店が多数参加するジャパンペットフェア等はエキゾふれあいがお約束)、日本愛玩動物協会理事(愛玩動物飼養管理士の教本・試験に「生体ふれあいの必要性」をばっちり盛り込んでる)の存在が今回の基本指針見直しや次回法改正にどう影響してくるのか気になります
2013-03-26 02:25:06委員の利害関係、各省庁との調整が図られなければ環境省は基本指針に動物福祉を盛り込むことについて及び腰になるのではと懸念される部分もありますが、この委員メンバーに対し「生身の動物に代わるものを使っての「いのちの教育は可能」とメッセージを出された先生方には心から感謝です(*´艸`*)
2013-03-26 02:28:49第36回動物愛護部会の全体はこちらの傍聴記を
そして獣医学教育における動物福祉の行方は?「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」傍聴記