仮面ライダーW　Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー　『チャプター3・訪問者S/強敵凶悪脱獄囚』

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　シュラウドは指揮棒で床をこんこんと叩いて続ける。 「あなたたち二人の戦いを見ていて分かったことが二つある。種類は違えど、仮面ライダーの力でブレイク出来るということ。そしてもうひとつは……、使用者の『負』の感情に反応して力を増す、ということ」26 #WR

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　彼女の脈絡のない言葉に、照井は疑問を抱いた。「何故、そう言える？」 　照井の問いにシュラウドは、照井の持つ携帯電話《ビートルフォン》の色違い、ピンク色の携帯電話を自分の上着の中から取り出して言葉を続ける。27 #WR

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「あなたたちの戦いは、これを通じて見させてもらったわ。左翔太郎。あなたはジョーカーの力で辛くもあのドーパントに勝利した。対して照井竜。あなたは二体のドーパントを相手にしながら、あっさりと相手を倒して見せた。来人がいないとはいえ、この差はどうして生じたと思う？」28 #WR

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　照井はそうか、と手を叩く。「そこに使用者の負の感情が関わってくる……、と言いたいのか？」 　シュラウドはその言葉に頷き、電話を操作して、ディスプレイの中に倉田剣児の顔と罪状が描かれた画像を二人に見せる。29 #WR

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「素性を洗わせてもらったわ。”ツインローズ”という名前で風都を騒がせていた怪盗だったものの、メモリの力を手にし、仮面ライダーを勝手に名乗った上、冴子と組んで来人を組織に再び引き入れようとしたそうね。仮面ライダーW――、左翔太郎に対する恨みや嫉みは十分。素養も十分」30 #WR

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「恨み、か。なるほど。だからこそあの二人……稲本弾悟と姫香りんは、十分な力を発揮できずに倒された、ってことか。あいつら、照井とは大した関わりもねぇし、恨みを買う理由もないしな」 　翔太郎はそうかそうかと、手を叩いて納得。同時に、照井は何かに気付いて声を上げた。31 #WR

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「そうか……繋がった、繋がったぞッ」 「うわぁ！ びっくりするからやめてよ竜くん」 「何か分かったのか照井」 　照井は頭を下げて言葉を継ぐ。「脱獄した囚人たちの名前だ。過去にガイアメモリ犯罪で逮捕された者ばかりだったので、名前と顔写真を貰っている。これを見ろ」32 #WR

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　翔太郎は手渡された調書らしきものに目を通す。その全てに目を通した瞬間、彼の顔はさっと青ざめた。 「”加賀泰造《かがたいぞう》”、”倉田剣児“、”伊刈《いかり》”、”有馬丸男《ありままるお》”、”鷹村源蔵《たかむらげんぞう》”……って、こりゃあ……まさか」33 #WR

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　照井は何も言わず首を縦に振る。「俺はこいつらのことを殆ど知らんが、事件の調書は読んだ。奴らは全員、”仮面ライダーに倒されて”逮捕されたそうだな。そんな奴らがメモリを持って脱獄し、街で暴れ回っている。その目的は――」34 #WR

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　恨みや嫉みを原動力として動く謎のガイアメモリに、かつ使用者は悉《ことごと》くWによって刑務所に送られた札付きばかり。 　翔太郎は今の今までおぼろげに考え、言い出せなかったを口にする。35 #WR

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「”仮面ライダー”の『抹殺』……」 「やはり……そうなるか」 「嘘でしょ！？ あ、あたし聞いてない！ 聞いてないよォ」 　翔太郎は首を横に振る。「倉田の野郎が言ってたぜ。”依頼主の指示で俺を殺す”ってな。何者かは知らねぇが、脱獄の手引きをしたやつがいる。間違いねぇ」36 #WR

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「警察にも近くにいた囚人にもその方法が分からない以上、そいつもメモリの力を使ったと見て良いだろう。俺は先の戦いで、それらしき男と遭遇した。黒いフェルト帽にロングコートで、誰か判別はつかなかったが……」 37 #WR

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　脱獄の手引き、という翔太郎の言葉に対応し、照井は先ほど現場にいたあの男のことを口にする。それは誰だと彼に尋ねようとしたが、無理だと突っぱねられ、翔太郎は気を取り直し口を開く。38 #WR

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「……でも、それだけ分かれば十分だ」 「どうするつもりだ、左」 「風都を、街を泣かせようとするっていうなら、何処の誰が相手だろうと容赦しねぇ」 　翔太郎は自慢のソフト帽を被り直し、脱獄囚を探しに街へ繰り出さんとする。しかし、シュラウドは厳しい口調で彼を制した。39 #WR

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「待ちなさい。確かにあいつらを放っておいては街が危険。でも、それ以上に危惧すべきことがもう一つ」 「何だよ」 「あなたが倉田をメモリブレイクしたとき、倉田は一体どうなった？」 「どうなった……って、ちゃんと気絶したぜ。何か問題があるのか」40 #WR

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　シュラウドは意味ありげに俯き、言葉を続ける。 「そう。運が良かったのね左翔太郎。もしも打ち所が悪ければ、その男は“死んでいた”ところ、だったのよ」41 #WR

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　――”死んでいた”？ 　メモリブレイクで倒したドーパントは激しく衰弱することはあれど、命を無くすほどの事態にはならないはずだ。翔太郎は戸惑いを隠せず、シュラウドの襟首を掴んで激しく振る。42 #WR

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「それは一体どういうことだ、どういうことなんだッ」 「メモリブレイクされた人間は過度に衰弱し、本人の治癒能力以外に治す方法はない。けれど、ガイアメモリの副作用による衰弱は、半年程度ではとてもじゃないけれど回復しないの。そんな相手を再びメモリブレイクしたら……」43 #WR

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「どうって、そりゃあ……」 　そこまで言いかけ、翔太郎は恐ろしさに冷や汗をかく。同時にこんなことを思いついた首謀者に対し、怒りに体を振るわせた。 「……死ぬ、ってことか」 「そう。あなたが倒した彼も、生きてはいるけど当分生死の境を彷徨うでしょう」44 #WR

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「……」一歩間違えば殺していたかもしれない。その言葉は”どんな奴でも生きていてほしい”ということを信条とする翔太郎の心に暗い影を落とした。しかし、そこで塞ぎ込んではいられない。自分は仮面ライダーだ。街の人々が犠牲になるのなら、救わなければならないのだから。45 #WR

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「言いたいことは分かった。だが街を泣かせようとするやつらを放ってはおけない。シュラウド、何か策はないのか」 「落ち着きなさい左翔太郎。それは私が言うべきことじゃない。あなたの、あなたたちの経験を思い出してみなさい」 「俺たちの……経験？」46 #WR

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　翔太郎は今まで自分たちが何をしたのかと、目を瞑り顎に手を当て思案する。 　そんな中、ガレージのソファでそれを独占するかのようにふんぞり返っている『ふうとくんぬいぐるみ』が目に止まる。去年の暮れ、年末の福引で当たった3等賞だ。翔太郎の頭の中に閃きという名の電流が走る。47 #WR

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「どうした左。何か分かったのか」 「あぁ。お前は知らなかっただろうが、お前がここに来る数日前、子供たちが”コネクタ手術を行わずに”『バード』のメモリを使い回す事件があったんだ」 「使い回す……、だと？ そんなことをしたら」48 #WR

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　翔太郎の言葉に、シュラウドは黙って頷く。しかし照井はその答えには満足できない。「だが、どうやって探す。アクセルにもジョーカーにも、ドーパントの体内のメモリを探り出す機能など無いんだぞ」 「それは……」答えを出せない翔太郎の代わりに、シュラウドが言葉を継ぐ。50 #WR

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「何の為に私がいると思っているの。これを使いなさい」 　シュラウドは『バットショット』を翔太郎に、ゴーグル及びセンサーを兼ねたガジェット、『デンデンセンサー』を照井に手渡した。51 #WR