「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」解説

1960年に科学技術庁が日本原子力産業会議に委託した調査の報告書についての解説です。 「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」 http://homepage3.nifty.com/h-harada/nonuke/lib/sisan/index.html
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Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

@TAKASHIMA724 さんが「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」を知らなかったということで連続ツイート1-7はじめ。

2013-03-29 13:28:00
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

1.「大型原子炉の事故の理論的可能性及ぴ~」は日本の原子力発電所を作る際のリスク評価の原点です。日本で最初に原発を作ろうとした時、電力会社は反対でした。なぜならば事故が起こった際、その規模は大きく民業としてその損害をカバーできず一度の事故で企業経営が破綻すると想像できたからです。

2013-03-29 13:28:10
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

2.そこで本当にどれくらいの事故になるか当時の若手研究者に見積もらせました。それが「大型原子炉の事故の理論的可能性及ぴ~」です。結果は最悪3兆7000億円の損害が出ると試算しました。60年の国家予算は日ごろ苦労なし(1兆5696億7900万円)です。国家予算の2.3倍の被害です。

2013-03-29 13:28:56
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

3.ですから政府も関係者も原発が最悪事故の際にどうなるか最初から理解しています。民間に原発を持たせるために事故時は免責し政府が保証する原子力損害賠償法を作るということで日本の原発はスタートします。そして「大型原子炉の事故の理論的可能性及ぴ~」は99年まで極秘のままでした。

2013-03-29 13:29:56
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

4.この報告書は日本の研究コミュニティの中では公然の秘密でした。99年に存在を認めるわけですが、僕はその10年前、89年に発行された「科学者による国際平和週間」筑波委員会が作成した「始末できるか原発の放射能」という本の中で言及されており、その存在を知っています。

2013-03-29 13:30:12
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

5.50年末当時は原子力工学なんていうものは国内ではスタートしたばかりで一人立ち出来ていませんし、とにかく難しい問題だということで、理論物理系を中心として国内の極めて優秀な若手研究者たちを集めたそうです。そしてその人材は後の日本の科学技術の中心として活躍した人たちだそうです。

2013-03-29 13:30:54
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

6.むかし研究機関に出向しいた時の上司は日本のコンピュータ科学の重鎮で、元々は原子力の人でアメリカにコンピュータを学びに留学した時の原資も原子力関連予算です。本当に頭のいい人です。むかし東大で一番賢い人たちは国策として進めていた原子力に集まったそうです。予算がたっぷりあるので。

2013-03-29 13:32:53
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

7.さて「大型原子炉の事故の理論的可能性及ぴ~」を隠蔽し、その報告書から原子力損害賠償法を作ったことで日本の原子力産業は、誰も事故時に責任を取らなくてよいというモラルハザードに陥ったと僕は考えます。安全神話とみなさんおっしゃっていますが、それは違います。関係者は知っています。

2013-03-29 13:33:45
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

8.日本の現状を理解するためには「大型原子炉の事故の理論的可能性及び~」を読み、60年には関係者は既に十分にリスクは理解されていたことを知ることが必須です。それを踏まえて今の世界をみると、まったく見える風景が違うはずです。 http://t.co/vJxv7IZ5Qq

2013-03-29 13:34:43
Hironobu SUZUKI @HironobuSUZUKI

連続ツイートおわり。最初に1-7といいつつ8があったという罠。

2013-03-29 13:35:50