《『福島民報』連載 「安全の指標 揺らいだ基準」第8回》

今回は、2012年に食品の放射性物質基準が「暫定」から「新基準」に変わる際に、放射線審議会の会長 丹羽太貫氏が悔しがる話。
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宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

24 せっかくさざまな物質に関する基準を決めたのに、事故が起きて実際に計測したのは放射性ヨウ素とセシウムだけ。飲食物に関して、ウランやプルトニウムが計測されたという話は、殆ど目にしなかった。数ヶ月に1回程度。たとえば飲用水の検査結果。 http://t.co/IjN8orqQgs

2013-03-29 17:52:52
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

25 事故前に決められた基準を、事故後の暫定基準として援用したわけだが、暫定基準の中で活用したのは、放射性ヨウ素とセシウムに関してだけであり、他の放射性物質に関してはなぜか「計測が難しい」という理由で殆どの物品に関して計測しなかった。

2013-03-29 18:04:52
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

26 そこで、ようやく今回の記事について触れることになる。2012年4月から、暫定基準を見直し、飲食物への放射性物質の含有基準をセシウムと放射性要素に関して厳しくすることになった。これに関しては、事故前の厚生労働省基準があまり真剣な検討の結果ではなかったことが理由に挙げられる。

2013-03-29 18:47:26
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

27 東伝原発事故発生は、いろんな意味で「想定外」だった。「日本国内で事故が発生したらどうするか」という話は、現実に起きない話として形式上規定は作っておいた。が、実際に事故が起きて、しかも広範囲で汚染物質の含有量を計測した飲食物を摂取する事態に至るとは想像していなかった。

2013-03-29 18:51:30
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

28 放射線審議会は、基準を厳格化したくなかった。しかし、厚生労働省は、厳格化したかった。小宮山大臣(当時)ら厚生労働省が放射性物質関係で口を出せる部分は、ここしかない。他は科学技術庁などの文部科学省か、内閣府の縄張りになっている。

2013-03-29 19:26:20
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

29 厚生労働省はこの基準に厳格化することで、事故由来の追加被曝限度を年1ミリシーベルトにすることができた。しかし放射線審議会を含む原子力ムラの住民は、できれば反対したかった。事故後1年間、本当は年100ミリと言いたいところを、年20ミリという数字で妥協してきたのだ。

2013-03-29 19:33:03
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

30 食品由来だけでも、年5ミリは確保したい。できる限り上げておかないと、いろいろと追加対策を行わなければならないし、1ミリを超えた場合の対策も立てなければならず、結果として原子力のコストが上昇してしまう。

2013-03-29 19:36:01
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

31 何よりも、日本国内だけで通用させている「年100ミリまでは健康被害が出ないことになっているのだから、何らかの以上が出たとしてもそれは原発事故とは関係ない」という同義反復論法が使えなくなってしまう。

2013-03-29 19:37:35
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

32 放射線審議会が「国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づき、健康リスクとともに社会的、経済的な影響も考慮し、合理的に達成できる範囲で低く保たれるべきだ-と厚労省に求めた」のは、確かにICRPの主張に合致している。しかし、ICRPは「健康被害が無い」とは主張していない。

2013-03-29 19:39:40
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

33 ICRP勧告は「社会的、経済的な影響も考慮し、合理的に達成できる範囲」つまり、健康被害が出ても、社会的経済的にやむを得ないと思える範囲で収まる基準を示しているに過ぎない。それを利用して「健康被害が出ない」と勝手に主張しているのが、長瀧重信氏、山下俊一氏、丹羽太貫氏らなのだ。

2013-03-29 19:42:29
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

34 丹羽氏はここできちんと本音を言っている。 「いかに現実的に、段階的に線量を下げていくかが一番大事。無理やり、1度に一番望ましい数値(例えば年間1ミリシーベルト)まで下げようものなら問題が起こる」と。1ミリまで下げないと、望ましくないのだ。しかし、汚染された環境下では困難だ。

2013-03-29 19:44:45
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

35 記事では「生産者側に立つ農林水産省を無視して強行に基準を下げようとした厚生労働省」という図式を描いているように見える。しかし、農林水産従事者とその家族は、生産者であると同時に消費者でも生活者でもある、という視点がこの記事には欠けている。

2013-03-29 19:50:29
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

36 記事はその後、不満たらたらで厚生労働省に従う放射線審議会の精一杯の抵抗を書きとめる。「既に十分汚染は下がった。大人と子どもで別基準を設ける必要は無い。ステークホルダーという呼び名の生産者の損失を考えろ」と。消費者だって、生活者だって、ステークホルダーなのだが、そこは無視だ。

2013-03-29 19:55:29
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

37 ついでなので、「ステークホルダー」という語について、今回の原発事故後の歪んだ使い方について、注意を喚起しておきたい。「ステークホルダー」という呼称は、加害被害関係や責任の所在をあいまいにするために使われている言葉なのだ。

2013-03-29 19:58:04
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

38 原発事故に関して、東京電力も利害関係者だし、立地地元の双葉町や大熊町の行政も利害関係者だし、そこの住民も利害関係者だ。それは間違いない。では、それらを同等の関係として尊重するのが正しいだろうか?ステークホルダーという言葉は、そういう加害被害関係にある存在も同列に並べてしまう

2013-03-29 20:01:07
宍戸俊則(shunsoku2002) @karitoshi2011

39 「審議会への諮問内容は放射線障害を及ぼす恐れのない線量であるかどうかということだけだった。」悔しさがにじみ出ているように感じるのだが、記者が丹羽氏と一緒に悔しがっているように感じる文になっている。放射線障害が出ないように規制されることは、『民報』読者にプラスでは無いのか?

2013-03-29 20:10:12