「翻訳起業論」 ~マイク兄さん編

市場における翻訳者の振舞い方について、翻訳者マイク兄さん(@mikesekine)が語る。 ※リストタイトルの「翻訳起業論」は、『芸術起業論』(村上隆・著)を参考に@243mhzが勝手につけたものです。
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Mike Sekine @mikesekine

日本語を英語にするだけの簡単なお仕事

2010-09-06 16:38:22
Mike Sekine @mikesekine

僕は翻訳という営みは職人的な営みと捉え、市場における翻訳者の振る舞い方は一種の「ゲーム」として捉えています。そこが多くのフリーランスと異なる点かもしれない。どうせ頑張って仕事をするのなら、その価値を認めて貰いたいし、客に納得した上で高く購入してもらいたい。

2010-09-06 16:48:59
Mike Sekine @mikesekine

「客に高く購入してもらう」というのは決して水増しするとかそういう意味ではなく、単に安売りはしないという事です。今は翻訳の価格破壊が進行しているので、それに対して相対的な意味で「高く」と表現したまでです。つまり僕にとっては適正価格なわけです。

2010-09-06 16:51:43
とこみっと @tokomitto96

@mikesekine 質問してもいいですか>翻訳者の振る舞い方は一種の「ゲーム」 ここがわかりません。言い換えると?

2010-09-06 16:53:31
Mike Sekine @mikesekine

その意味では翻訳というサービスを売る事は、芸術を知らない素人に美術作品を売るのと似ている部分があります。そもそも言葉を理解できないから翻訳者を雇うのですから(これは成果物を正しく評価できないという意味でもある)。

2010-09-06 16:54:59
Mike Sekine @mikesekine

ですから翻訳者(というか、フリーランスなら誰でも)は自分の作品について言葉で説明したり、上手く演出したりして価値を高めなければいけません。それをしなければ(またはできなければ)、他の何千、何万というフリーランスの海に埋もれるだけ。誰にも見つかることはありません。

2010-09-06 16:58:01
Mike Sekine @mikesekine

@tokomitto96 例えば現代美術を例にとれば、なぜ my lonesome cowboy http://ow.ly/2zXn6 に何億円ものお金が支払われるのか。原価は300万もしないだろう「ガラクタ」にそこまでの価値はあるのか?それはゲームにおける駆け引きです。

2010-09-06 17:01:04
Mike Sekine @mikesekine

@tokomitto96 「ゲーム」というと遊びのように感じてしまうかもしれませんが、そうではなく、「市場における文脈の探りあい」とした方が分かりやすいかもしれません。売り手は「こういう文脈だからこれだけの価値があります」とし、売り手は「その文脈はホンマかいな」と考える。

2010-09-06 17:03:14
Mike Sekine @mikesekine

つまり極端な話、翻訳(またはフリーランスのサービス)の価格なんていくらでも良いわけです。最低賃金から時給10万とか、なんでもあり。その文脈を決定するのは1)技術はもちろん重要ですが、2)「ゲーム」における振る舞いも同じくらい大事。

2010-09-06 17:06:42
Mike Sekine @mikesekine

しかし業界誌はもちろん、ネット上の言論は「技術」ばかりに偏っていて、「ゲーム」についてはほとんど無い。それは日本特有の「お金について公に話すのはみっともない」的なメンタリティーに起因するのかもしれない。でもそれでは生活は一生楽にならない。断言しよう。

2010-09-06 17:10:12
Mike Sekine @mikesekine

ゲームにおける「ルール」をしっかり理解した上で自分の振る舞いを決める。それはルールの枠内で自分の力を最大限に活かせる場所を見つけること。または、ゲーム理論的にアプローチすれば、全く新しい「ルール」を創作してしまうのもアリかもしれない。もちろん簡単ではないが。

2010-09-06 17:12:32
Mike Sekine @mikesekine

しかしゲームにおいて売り手が勝手に設定した「ルール」も、買い手が認めればそれは正式なルールになる。それがゲーム理論(現実社会における市場の振る舞い)の不思議な所であり、面白い所でもある。市場は生き物だから。

2010-09-06 17:23:22
Mike Sekine @mikesekine

このシンプルなコンセプトをもっと多くのフリーランスが理解し、共有すれば、「あー、もうこんな低レートやる気でないー!」という悲痛の叫びは、(価値の評価は常に相対的ですから)無くなることはないかもしれませんが、少なくなるとは思うのです。みんなもっと幸せになると思うのです。終了。

2010-09-06 17:23:29
とこみっと @tokomitto96

@mikesekine ありがとうございました。これは文芸翻訳の場合限定というわけではないんですよね。愚問だったら申し訳ありません。

2010-09-06 17:42:09
Mike Sekine @mikesekine

@tokomitto96 フリーランスだったら役者でもSEでもデザイナーでも落語家でも、誰にでも適用される考えだと思う。というか会社員にも適用できる。「ゲーム」のルールが異なるだけで。

2010-09-06 17:46:26
大越 正浩/M. Ohkoshi🏳️‍🌈 @office_UNITE

.@mikesekine さんの言ってることだけど、翻訳業界だけの話じゃないよね。「お客様は神様です」って言い方があるけど、神様って言ったって貧乏神もいるワケで、客がすべての「ルール」を決める権利を持ってるってことじゃない。

2010-09-06 17:49:32
Mike Sekine @mikesekine

@office_UNITE 「お客様は神様」は完全な建前だと思います。理不尽な要求をする客や、適正な対価を支払うきゼロな客は少なからずいるわけで。僕はそういう類の客に時間を浪費したくないですね。仕事をきちんと評価できる客は市場にはまた腐るほどいるわけで。本当に。

2010-09-06 18:05:07
KeNji ShimiZu / Game Translator @transcreative

@mikesekine タイムリーな話題(ちょうど本読んでる)なので分かりやすいっすわ。「ゲーム」って言葉の一般的なイメージが様々なので誤解されそうですけど、自分の価値の見せ方を「演出」するってことですよね。決してボれ!というわけでなく、買い手が納得、幸せであればそれが適正価格。

2010-09-06 18:17:34
Mike Sekine @mikesekine

@chiruru @transcreative 思想的な意味での「ゲーム」と、ゲーム理論に代表されるような経済的な「ゲーム」は厳密的には意味が異なるのだけど、まあ大枠では同じようなものです。

2010-09-06 18:31:03