三色劇場～夜桜

三色 @mokamisama

@ss_shi_su_i あはは、参ったなあ、と彼は呑気に笑った。「あははじゃありませんよっ！　どうするんですかっ…なんか、すごい数ですよ…っ」肌で感じる気配だけでも、ものすごい量のような気がして身の毛がよだつ。うーん…と彼は唸った。「とりあえず…祓えるだけ祓って、逃げないとね」

三色 @mokamisama

@ss_shi_su_i 「じゃあ名取さん、一人で頑張ってください」「えっ、な、夏目なんで」「あなたの責任でしょう、俺は何度もダメって言ったのに」まあダメダメ言いながら流されてしまった自分も悪いのだが。それでも俺は冷たく言い放った。「誰かさんのせいで、腰が痛くて動けないんですよ」

三色 @mokamisama

@ss_shi_su_i 俺は脱ぎ捨てられた着物をかき集め、布団のように裸の体を包むとそっぽを向いて寝転んだ。「それじゃ、よろしくお願いします」「な、夏目ぇ…っ」実際、散々に抱かれてだるいのもあるけれど、この大量に漂う妖気に当てられ、俺は今にも気を失いそうだった。静かに目を瞑る。

三色 @mokamisama

@ss_shi_su_i 「──名取さん」失いかける意識の中、そっと彼の名を呼んだ。──来年もまた、二人で一緒にここに来ましょうね。───ただし、このピンチを切り抜けられたらの話ですけど。