紡がれる言の葉に願いを載せて、星の海に流した。前もって予約すれば早く見つけてくれるかもしれない。ポストには届いているかしら。望遠鏡から虹のしっぽを見つけて追いかけてみる。彼女は三日月の滑り台で遊んでいた。返信が届くことを祈ろう。受取りのサインは星屑の印鑑。 #twnovel
2013-01-28 21:45:39終わりを期待していたのに、目が覚めるといつも通りの日常があった。日は暮れ外は静かだ。会社勤めのひとびとが帰宅する頃に違いない。これから夕飯のにおいが街を染め、どこか懐かしい気分に浸るんだ。冬の突っ張った空気を。自分は再びラムネ代わりの薬をかじり、微睡みに落ちる。 #twnovel
2012-12-22 18:43:55せっかくの流星群だし、と君を連れて外に出た。暖かくしてきたつもりでも冬の冷気は身をつんざく。寒い寒いと言い合いながら方角を定めてファインダーを覗き、一瞬の輝きを収めようとじっと待つ。「都会じゃ無理なのかなあ」「どうかな」 #twnovel 結局、写っていたのは君の笑顔だけだった。
2012-12-13 20:03:30熟れた果実を頬張り喉を鳴らす。みずみずしさに思わずもう一口。「神様はいじわるね」と彼女は言い、追い出された楽園のことを思う。現代に生きるものにそこはあまり魅力的ではない。「わたしにはここがいいわ」腕の中で身をよじる。「だって、恋は悪知恵でしょ?」 #twnovel
2012-11-04 01:15:42彼女が起きるのをのんびり待ちながら、こっそりと部屋の掃除をしておく。食事の支度もしていたら驚いてくれるだろうか。一息つく度に紫煙をくゆらせて、ゆっくりと深呼吸。寝顔を見に寝室に戻ると、ごろりとしている猫と目が合った。そうか、きみのご飯が先だったね。 #twnovel
2012-08-16 12:25:14最良の答えと最善の策は私の部屋には同居していなかった。つい昨日のことのように振り返る習性をそのまま抱え込む。私はここで、迷路の出口を見つけたはずだったんだ。ふと落ちていた痕跡を丸々と飲み込んで、それでも膨れない腹に満たされない欲を抑え込む。ご馳走様が言えない。 #twnovel
2012-01-30 00:53:30深く深く潜り込んで、きみを知りたいとおもったとき、初めてそれがなんなのか気付いたんだ。ふと立ち止まったきみの視線の先は何?ぼくは、同じものを見ていただろうか。白じんだ月をかこう空に、ぼんやり佇むきみ。ああ、きれいだと、心からおもった。月が、きれいですね。 #twnovel
2011-11-01 01:09:00孤独には慣れていた。時間を気にする煩わしさもない。上っ面の友達はいるけれど、こっちから連絡しないと音沙汰もない。だけど寂しいわけじゃなかった。そんなもんだとおもっていたし、気疲れするよりはよっぽどいい。でもね、たまに感じるんだ。それは籠の中の出来事だと。 #twnovel
2011-08-21 23:38:13ファインダー越しに覗く世界はなぜこんなにもきれいなんだろう。あまりにも素敵だから毎日ファインダーを覗いては生活していた。人の目を気にしなくていい。このほうが楽だ。カメラを手から放せない。なんて濁った世界なの。なんでわたしは人目を見られなくなったの。 #twnovel
2011-04-11 22:14:36