"wight"概念研究メモ
- nirvanaheim
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@kyanagawa 語源を辿ると「ドワーフ」だったりもするみたいなのがなお楽しい。ていうか、もしかしてワイトがアンデッドになってしまったのはトールキン先生のせいなのか?w
2010-09-02 19:17:07まあ、Wightは妖怪変化とか怪力乱神くらいに曖昧に使われる概念ではあると思う。物言う死者と悪霊、悪魔etcの区別もそう強くないし(RPG者はメタ的・分類学的な視点が強くなってしまう傾向があると思うけど、実際の民衆、あるいは文学人・詩人はもっと曖昧ないし奔放に扱うので……)。
2010-09-02 19:44:33マルコ福音書に湖上を歩くイエスを見て弟子たちが「幽霊(Φάντασμα、fantasma)!」とか騒ぐシーンがあるんだけど、リンディスファーンの福音書の古英語はこれを「Phantasma, yfel wiht」、つまり「ファンタスマ(ラテン語)、すなわち悪しきワイト」としている。
2010-09-02 19:48:15しかしラテン語難しいわ。多分田舎者のラテン人が長音を表す母音を導入しなかったせい。真面目な話をすると、格変化ですべて解決するくせに、別の格で同じ変化をするせい。
2010-09-02 19:55:39ワイトって言葉はゲルマン語全般にあって、ゲルマン祖語の時点で存在したと想定される古い概念で、概ね伝奇的意味での「モノ」——人の「ような」もの——くらいに捉えればいいと思うけど、西ゲルマン諸語では概ね wiht みたいな感じになり、北ゲルマン諸語では vettr くらいになる。
2010-09-03 02:17:49そんな中、西ゲルマン語の筈の英語では、大母音推移によって[ii]音が[ai]音に変化して、またghも読まれなくなったから、ウィート/ウィ-ヒトがワイトになったと、こういう寸法。 /まあ実は大母音推移にしては少し時期が早い(14世紀半ばくらい?)んだけど、そこもまた面白い。
2010-09-03 02:24:45ところでさっき西ゲルマン語と北ゲルマン語しか挙げなかったけど、残る東ゲルマン語はどうか。これが、東ゲルマン語のゴート語では waihts になっている。直接的関係はない筈だけど合流しましたみたいな。
2010-09-03 02:26:34@nirvanaheim なんといいますか、ワイトとかダークエルフの件を考えるにつけ、指輪物語とD&Dの登場前と後で神話伝承やその周辺にある妖しげな物事に関する一般的イメージとか意味というのが大きく変化したのだなというのがわかって驚かされます
2010-09-03 03:08:11≫@TatenoKousetsu 近代マスカルチャーが情報の保存と流布を本当に簡単にして、広範な統一的イメージと言語の明晰/画一性の形成を促したことと、RPGなる文化が本質的にメタ視点と分類学的傾向を孕んでいたことが、彼ら妖異の推し量れ難さ/曖昧さを破壊していったのだと思います。
2010-09-03 03:36:36簡単に話をすると、例えばアイスランド・サガとかに、死者が活動する話がよく出てくるんですね。死者が、死後にも墓の中——塚の中——で動いているという話。基本的には生きてる人間の生活空間に出てきて密かに?暴れ回る。で、解決のために、意を決した男衆が、墓塚に侵入して改装を試みると。
2010-09-03 05:22:45@nirvanaheim フンディング殺しのヘルギは、死後軍勢をひきつれて墓所に現れ(戻ってきて?)、ヴァルキューレの妻シグルーンと夜を共にしていたりしますね。
2010-09-03 05:27:55死体が腐りにくい土地柄ということもあるんでしょうが、死体がかなりアクティブに動きますよね。 ≫@Molice: @nirvanaheim フンディング殺しのヘルギは、死後軍勢をひきつれて墓所に現れ(戻ってきて?)、ヴァルキューレの妻シグルーンと夜を共にしていたりしますね。
2010-09-03 05:31:09