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@TAKASHIMA724 さん。1点質問があります(回答は急ぎませんので気が向いた時にでもよろです)。当面「差額説」に沿うしかないと思うのですが、庭や家の外壁、家具、あるいは農地が汚染された事は「.. http://t.co/ZHElYF1tj4
2013-04-15 07:20:22スタディさんの質問全文
@TAKASHIMA724 さん。1点質問があります(回答は急ぎませんので気が向いた時にでもよろです)。当面「差額説」に沿うしかないと思うのですが、庭や家の外壁、家具、あるいは農地が汚染された事は「差額」として算定できないでしょうか?。同様に通学路等は国や自治体の所有かもですが、安全に通行できない障害物を散布された為、迂回したり、クルマで送迎が必要になれば、それに伴うコストは、従来必要無かった、あるいは他地域では必要のない生活との「差額」になるような気がするのですが。
@study2007 スタディさん,ご質問を有り難うございます。ツイートが長くなりそうなので,私のTLでお答え致します。 http://t.co/KbbTRMdwNs
2013-04-15 18:02:54A:放射能汚染によって,庭,家,家具,農地の交換価値(売却価格)が低下している限り,差額説に基づく損害と認められます。ここでも,物が汚染されたこと自体が損害ではなく,汚染によって,本来なら売却しうるはずの価格が低下したこと(それによる差額)が損害ということになります。
2013-04-15 18:03:54Q:通学路等は国や自治体の所有かもですが、安全に通行できない障害物を散布された為、迂回したり、クルマで送迎が必要になれば、それに伴うコストは、従来必要無かった、あるいは他地域では必要のない生活との「差額」になるような気がするのですが。
2013-04-15 18:04:13A:通学路の多くは,通常,国ないし地方自治体の所有物です(公物といいます)。除染が必要となった道路を除染する際の費用は,当然,国や自治体に生じた経済的負担ですから,除染費用はすべて損害として把握できます。回避のために生じた交通費の増加も同様です。
2013-04-15 18:04:32以上,ご指摘頂いた被害は,すべて差額説のもとでも損害として把握できます。また,汚染が計測できる限り,被害と事故の因果関係(事実的因果関係の存在)という要件も充たしています。
2013-04-15 18:05:00問題は,それにもかかわらず,被害者(地方公共団体を含む)への賠償が進まない理由です。その理由は,次の4点にあると考えられます。
2013-04-15 18:05:29(1)第一の理由は,民法416条により,生じた損害のすべてが賠償の対象とならない場合が認められていることです(民法416条は,契約違反についての条文ですが,判例により,不法行為にも適用されています)。
2013-04-15 18:05:49同条によりますと,損害のうち,通常損害(その種の不法行為があれば通常生じるはずの損害)は常に賠償と対象となりますが,特別損害(特別の事情によって生じた損害)は,加害行為の時点で加害者が発生を認識したか,認識できた損害のみが賠償の対象となります。
2013-04-15 18:06:14従って,東電からすれば,この条文を,「この損害は特別損害であり,発生を予想できなかったから賠償義務はない。」という反論に使えるのです。
2013-04-15 18:06:23(2)二番目の理由は,日照権等の事例で判例が採用している「受忍限度論」が,放射能による被害事例にも適用されうることです。
2013-04-15 18:07:50「受忍限度論」とは、すべての被害が賠償の対象とされるのではなく,被害が一般の社会生活上受忍すべき程度を越えて初めて違法と評価され,賠償あるいは差止の対象になるとの理論をいいます。
2013-04-15 18:08:08受忍限度論の根底には,「市民間では,ある程度の迷惑はお互いさま」という考え方があります。従って,市街地に住む通常の市民どうしが建築による日照時間の減少でトラブルになった場合などでは適切な考え方ですが,判例は,この理論を,立場の互換性のない公害事件にも適用してきました。
2013-04-15 18:08:30すなわち,企業の排煙や汚染水によって市民が一方的に迷惑をかけられっぱなしなのに,「受忍限度内だから我慢しろ」といわれてきたのです。
2013-04-15 18:09:07このような判例の結論が不当であることはいうまでもありません。しかし,実務上認められている以上,東電は,動産・不動産の軽微な汚染事例については,受忍限度内だから違法ではないと主張してくるでしょう。
2013-04-15 18:09:22(3)三番目の理由は,訴訟活動との関係です。まず,差額説に基づいて,個々の被害者に生じる損害を細かく算定して立証する作業は,非常に煩雑であり時間がかかり,被害者側弁護士を疲弊させるのみならず,訴訟を長引かせ,被害の回復を遅らせることです。
2013-04-15 18:09:39このことは,中所先生(@K_Nakajo)のこのツイートを見れば分かります(ADR事件ですが訴訟でも基本的に同じです)。→https://t.co/oNNa9k8ATr https://t.co/Bca2vUnuCd
2013-04-15 18:10:00ちなみに,中所先生のツイートは,私よりも遥かに詳細かつ的確に東電の賠償姿勢の問題点を検討されています。ぜひご一読を。
2013-04-15 18:10:50(4)最後に,訴訟戦略上の理由です。差額説に立脚して争えば,個々の被害者ごとに損害項目と損害額は異なってきます。すると,それぞれの被害者ごとの争い方も異なってくることになりますので,集団訴訟になじまない事になります。
2013-04-15 18:11:20すなわち,多くの公害事件で明らかなように,企業に対抗するには集団訴訟形式が適切ですが,差額説は,集団訴訟という訴訟形式と適合しにくい面があるのです。
2013-04-15 18:11:30ありがとう御座います。①特別損失については当初から懸念もありますし、監督していた国の責任も絡んで来そうですので後日また教えて下さい。②また旧警戒区域は(全く不十分だろうとは思いますが)請求等受け付けている様なので、とりあえずここではスルーさせて下さい@TAKASHIMA724
2013-04-15 20:13:02