「公害軽視の論理はいかに生みだされるのか」を読む。

広告屋e-boothさん(@tigercatver2)による解説をまとめました。 「公害軽視の論理はいかに生みだされるのか」 藤川賢 渡辺伸一 明治学院大学社会学部付属研究所年報 (38), 3-17, 2008-03 http://soc.meijigakuin.ac.jp/fuzoku/wp-content/uploads/2010/04/38fujikawa.pdf (pdf)
環境 イタイイタイ病 公害
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@tigercatver2
【資料】「公害軽視の論理はいかに生みだされるのか」藤川賢 渡辺伸一 明治学院大学社会学部付属研究所年報 (38), 3-17, 2008-03 http://t.co/V5PFLCMLfL 改めて読む。
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カドミウムにより惹起されるイ病は、カドミ原因説否定派で占められた厚生省の研究班の発表に不信を持った被害者らの訴訟と厚生省がカドミ原因説を認めたことで進展した。しかし原因説が確定した後も、自民党議員らはじめ科学者らによりそれの否定が活発だったことが指摘されている。
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WHOはカドミウムに関する健康影響へのクライテリアを発表しているが(WHO 1992)、日本は参加8カ国の中で唯一これに反対し、合意形成を10年以上にわたって遅らせてきたなどは顕著な例。カドミ原因をイ病の原因として特定する動きと、原因否定及び規制自体への緩和は連動している。
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その理由として①他地域のイ病問題②カドミウム腎症の公害病認定③カドミウム米対策の3点について、運動に打撃を与えようという背景があったと言われる。は長崎県対馬や兵庫県生野でもイ病発生の疑いが指摘されていた骨軟化症に至る前駆症状としてカドミウム腎症が汚染地に相当数の症例が。
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イ病と同じくそれを公害病指定すると、他地域への波及及び被害者への補償が膨大となり、腎症はそれ自体としては病気ではないという点が強調されたと言われるが、これを外圧を利用して封じ込めた経緯がある。実に巧妙で侮れない手法を使っている。それがと関連する。
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③はカドミ米はカドミ腎症発生地域に限らず全国の広範な地域から検出されており、その土壌復元には多大な費用がかかることが予想された。汚染基準をどこに置くかが政財界にとっても大きな関心事になった。毒性が低評価されれば、すでに一定のカドミ米が認められた部分で復元しなくてすむことになる。
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1976年に環境庁研究班(否定論者で固めている)が改めてカドミ否定の発表をする予定だったのはこれが背景。その御用学者らによる発表を覆したのは、それ以前にWHOがイ病カドミ説を肯定する環境保健基準最終案をまとめたためで外圧による。外圧は基準値へも影響したが、日本は1ppmを墨守。
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まず、イ病訴訟時の最初の1.0ppm とした日本の米中カドミの基準は「自家保有米を常時継続して摂取しないことが望ましい判断尺度」として策定された。そして基準を提示した日本公衆衛生協会の研究班は、否定論発表予定だった環境庁研究班の幹部は重なる。
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1.0ppm という数字は、要観察地域における第一次検診から第二次検診へのスクリーニング基準である尿中カドミ濃度30μg/Lをもたらさない量として計算式から得られたものとされる。
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後に世界から高すぎると指摘される、それを認めた食品安全調査会「微量重金属調査研究会」の会長は、後にイ病カドミ説否定の代表的論者といわれる土屋健三郎慶応大学教授だった点も覚えておくべき。官営の研究班には必ず政策をトレースする事に都合が良い学者が配置される。
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米という主食であり、カドミ汚染土壌が多いという日本の特殊事情が背景にあり、こういった世界基準に逆行する基準値を墨守したのではないかと指摘されている。人体のカドミウム吸収率など前提となる数字によって答えは大きく変わりうるものであり、現実にどこまで安全かは当時から批判も多かった。
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もちろん1.0ppm墨守の背景には、それ以下の基準値を策定する事による、カドミ汚染米の買い取り量の増大と土壌改良費用が念頭にあったのではないかと指摘されている。いずれにしてもコーデックス食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)から指摘されるまで1.0ppmを続けた。
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千葉大をはじめとする微量カドミの影響による研究が進展し、微量であっても腎障害が有意に発生するとされた後も、上記の理由から頑なに独自基準値を墨守した。つまり1.0ppm政策的背景は隠蔽し、一見科学を装った基準値として標榜するが、その微量影響研究は無視するという流れ。
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それに揺さぶりをかけられたのが、WHOはじめ国際機関、ことに「コーデックス食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)」が、カドミ基準値0.2ppmとする勧告を出した。もちろん、その時に異論を唱えたのは日本だった。それも当初基準値ではなく、なんと0.4ppmが妥当と主張する。
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国民の健康維持のための科学的な数値として標榜された1.0ppmが胡散霧消し、0.4ppmを主張したのは、0.2ppmという勧告への整合性もさることながら、怜悧な経済的な計算が背景にあったという。それにしても外圧で転ぶという典型例であり、基準値が半分以下になるのが科学だという皮肉。
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コーデックスの総会は政治的駆け引きの場であり、科学的根拠よりも現実的対応が優先されるとの背景から0.4ppmが採択。駆け引きの成功は、コメが主食では無い欧米の食習慣を逆手にとったという指摘もあるが国際基準制定という「外圧」のもとでも、0.2ppmよりも緩いという状況が残った。
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この0.4ppm採用にあたって政府は『日本人のカドミウム曝露量推計に関する研究平成15年度中間解析報告』を基に算定したと言われる。20歳以上の成人約5万3千人の1週間の食品摂取量データと農水省の食品別カドミウム濃度実態調査をアトランダムに10万回掛け合わせた分布を作成して算出。
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これは、日本人の食事10万回分について、平均的なカドミウム摂取量を計算したことになる。最大濃度を0.4ppmとして、それ以上の米を食用しないようにすれば、95%以上が7μg/kg体重/週以内に収まるというのである。これ以内なら安全で健康障害は発生しないと主張された。
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この計算では、全ての人が全国分散した米を平均的に食すが前提で現実の汚染地域では基準値に近い濃度の米を食べ続けることが多いことを考慮していない。旧基準1.0ppm 以上の汚染米でも非汚染米と混ぜてしまえば大丈夫だという議論があったのと同じ「全食品全国混合希釈法」と批判された。
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このコーデックス騒動での付け焼刃的な調査を渡辺は後付け「承認作業」と言う。ただし怜悧な経済計算と前述した0.2ppm0.4ppmとの差異は土壌改良工事とカドミ米買取りの行政費用負担に跳ね返る事になり「膨大な支出をともなう」ことが試算されていた背景があった。
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ちなみにコーデックス対応と称して上記研究などおよそ1.5億円の国費が投じられたが、新たに編成されたメンバーは、カドミ否定論の論陣を張ったグループであった。そのテーマは「科学的根拠となるリスク評価」「正確な耐容摂取量を設定する根拠となる定量的情報を得ること」など美辞麗句が並ぶ。
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結論を記せば、これらの研究は住民運動の萌芽があった、微量カドミウムによるガドミ腎症否定に使われる。0.2ppm基準値否定のための官主導の対コーデックス研究は、0.4ppmとする国際合意取付に成功し、かつ多数の患者が確認されたそれに「腎障害の要因は加齢」で片付ける根拠となった。
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千葉大学教授の能川浩二名誉教授らは、「示されたデータでは、カドミウムの摂取量が多いほど腎機能障害が増えている。これを『高齢化のせい』というのは不正確なデータ解釈と指摘しているが、それは無視され続けた。
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また、対コーデックス対策による一連の研究は、先行研究としてこのテーマについては国内に他国より多くの研究蓄積と研究者が存在したが、集められた科学者たちは、それら国際的にも認められた科学者達では無く、カドミ否定論者を中心に、官側が全く新たに選定したメンバーだった。
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具体的には、先述の能川氏をはじめ、齋藤寛長崎大学学長、加須屋實富山医科薬科大学名誉教授らの各研究は無視された。イ病でも水俣病でも公害原因説が出されると別の研究者による原因究明班を組織し、それが対応の引き延ばしや「まきかえし」につながった。それもイ病では外圧すら巧妙に利用した。

コメント

בעזה לעצירת רצח העם @unaanagi 2013年4月17日
ひたすら行間を読むという、負荷のかかる読み方をしなければなりませんが、とてもためになりました。現在進行形な複数の問題なのですね〜。
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