甘い珈琲

兄さんが入隊してしまうのが、寂しくて。
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ぽぽ @myu1222

部屋のソファーに座って、コーヒーを飲みながらゆっくりしているジョンウン。最近入隊が近いせいでストレスが溜まっているのか、彼はよくこうして一人になる時間が欲しいと言うようになった。酷く疲れている時は、休んでそのまま寝てしまうこともある。

2013-05-02 07:09:01
ぽぽ @myu1222

ジョンウンははーっと息を吐き出すと、マグカップを可愛らしい手で包んだ。黒い綺麗な髪の毛が、さらりと額を滑る。 ジョンウンが休んでいる時は、わたしは彼に一切話しかけないと、約束させられた。ジョンウンがいいと言うまで、一言も。大丈夫、と声をかけたくても、出来なかった。

2013-05-02 07:10:57
ぽぽ @myu1222

相変わらず、彼はコーヒーから目を離さない。そんなジョンウンの後ろ姿を見ていると、もうすぐ彼が入隊してしまうことへの寂しさがこみあげてきた。 そっと、ソファーに座ったままの彼の髪に触れる。「…何?」少しびっくりした様子で、彼がわたしの顔を見上げてくる。

2013-05-02 07:14:26
ぽぽ @myu1222

話しかけてはいけない。返事をしては、いけない。「ねぇ、何なの」不思議そうな顔をして、ジョンウンが手を払いのける。「ごめ…」また、話してはいけないルールを思い出して、口を噤む。 はあ、とため息が聞こえて、ジョンウンの擦れた声がする。「話して、いいよ」

2013-05-02 07:35:52
ぽぽ @myu1222

「ジョンウン…」「うん」「ジョンウンがどこかに行っちゃうのが、寂しい」「うん」素っ気なく答えるジョンウンの髪にまた触れると、彼はそっと口元を緩ませて笑った。「好きだよ、ジョンウン」「うん」「うん?」「俺も、好きだよ」

2013-05-02 07:40:42