茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【日本は、最古の憲法を持つ国である】連続ツイート

2013.5/3 茂木健一郎氏:連続ツイート第928回 【日本は、最古の憲法を持つ国である】 …日本はもともと見事な憲法を持っていた国だったのではないかということである。「十七条憲法」は明示的にわかりやすい憲法で、日本人が英国人に対しておれたちはマグナ・カルタよりも古いと威張ることもできるのだが、日本は「国の成り立ち」を遵守する意識を古くから持っていた。…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート928回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、憲法記念日に思うこと。

2013-05-03 07:56:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(1)憲法改正論議が盛んである。日本国憲法が「押しつけ」なのかどうかという議論や、憲法はそもそも国家権力を縛るもので、国民に義務を押しつけるものではないのではないかといった議論、さらには96条改正の是非など、いろいろやっていったらいいと思うが、一つ感じることがある。

2013-05-03 07:58:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(2)それは、日本はもともと見事な憲法を持っていた国だったのではないかということである。「十七条憲法」は明示的にわかりやすい憲法で、日本人が英国人に対しておれたちはマグナ・カルタよりも古いと威張ることもできるのだが、日本は「国の成り立ち」を遵守する意識を古くから持っていた。

2013-05-03 08:00:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(3)もともと、日本の国は、天皇の下、「律令」によって統治機構がつくられていた。そして、律令制度の外にある役職は、「令外官」として新たに設けることになっていた。「征夷大将軍」が、その代表例である。このあたりの日本人の継続意識、その一方での融通無碍は、見事なものだったと思う。

2013-05-03 08:02:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(4)中国流の易姓革命の思想が日本では根付かなかったことはよく言われることだが、武士が台頭して、彼らに統治を担わせる実際上の必要が生じた時、かつて全く別の目的のためにもうけられた「征夷大将軍」という「令外官」の役職を引っ張ってきて使うのはイギリスの非成文憲法に近い感覚である。

2013-05-03 08:04:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(5)イギリスでは憲法はマグナカルタなどの法源はあるが、基本的には慣習法で、たとえば「首相」(prime minister)という役職はある時に明示的にもうけられたのではなく、あとからふり返ればRobert Walpoleが初代首相だった、という意味づけがなされるのである。

2013-05-03 08:06:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(6)日本はイギリスと同様に、もともと非成文憲法としての「国の成り立ち」の遵法精神が強かった国だと言える。一方、アメリカ合衆国憲法は、「自由」や「平等」といったイデオロギーに基づいてつくられた成文憲法であって、その趣旨は良いがもともと日本の精神風土には合わないのかもしれない。

2013-05-03 08:08:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(7)なぜ、このような話を敢えて憲法記念日にするかと言えば、それくらい深く掘り下げないと、現在行われている改憲論議は本当の意味で実感を伴わないのではないかと懸念するからである。日本人は、おそらく、国の成り立ちを明示的に「言挙げ」することには、伝統的に慣れていない。

2013-05-03 08:10:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(8)明治の大日本帝国憲法は、日本が西洋列強に並び立つために国の成り立ちを整える試みであって、その時にいろいろ背伸びしたのだと思う。だから、天皇のあり方などが、すでに述べたような、日本が千数百年続けてきた緩やかで穏やかな憲法意識とは、ずれたかたちになってしまった。

2013-05-03 08:12:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

にさ(9)憲法について考える時は、西洋列強に伍していろいろ背伸びをした明治や、戦争に負けて新憲法ができた昭和だけでなく、それ以前からの日本人の古層を探ることが大事だと思う。日本は、最古の憲法を持つ国である。その憲法は、多様性や自由を尊重する、現代的でも価値のあるものではないか。

2013-05-03 08:14:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート928回「日本は、最古の憲法を持つ国である」でした。

2013-05-03 08:15:16