本当の「愛国」とはなにか 《山崎雅弘》

国を愛する、という概念について、思う所を書いたツイートをまとめてみました。
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自分の国を愛するという概念そのものは本来、外国との摩擦や対立とは無関係な「内面の問題」であり、特に有害な思想ではあり得ない。ではなぜ「愛国」が外国との対立や外国人排斥に繋がるのか。現実の「自国」でなく「美化された自国のイメージ」を愛する行為をも「愛国」という言葉で呼ぶからだろう。

2013-03-04 20:32:14
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

古今東西、愛国を自称する人々の言う「国」とは、彼らが望む形に想像力で美化して膨らませた「自国のイメージ」であって「現実の自国」とは違う。それゆえ、危機的状況では「自国のイメージに傷がつくことを避けるためならば、現実の自国の市民が死んでもやむを得ない」という本末転倒した思考に陥る。

2013-03-04 20:33:35
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

学業やスポーツで期待した成績を残せなかったから「子供への愛情が失せた」という親がいたら、その愛情が本物かどうかは子供でもわかる。ならば自国の歴史について、失敗を含めた現実ではなく、ただ無謬性や他国との比較における優越性ばかりを盛り込んだ物語を尊ぶ人々の「国への愛情」はどうだろう。

2013-03-04 20:33:48
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

太平洋戦争当時の日本人が愛したのは、現実の自国ではなく、美化された自国のイメージだった。それゆえ、人命の損失も国土の荒廃も受容できた。一方、終戦の玉音放送からは「現実の国や国民」を心配される天皇の心情が読み取れる。このギャップを考える時、「悲劇的」という以外の言葉が見つからない。

2013-03-04 20:34:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「日本国民に対しても、戦死したり殉職したり、天命を全うぜずに死んでいった国民達、そしてその遺族を思うと、我が身が引き裂かれんばかりの思いだ。戦傷を負い、戦災を被り、家業を失った者達の暮らしについて、私はとても心配している」『終戦の詔勅』http://t.co/WEyNrSCeic

2013-03-05 19:28:46
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「思うに、今後の日本が受ける苦難は、言うまでもなく尋常なものではない。あなた方日本国民の真心は、私もよく知っている。しかし私は時運の赴くところ、堪え難いことに堪え、忍び難いことを忍んで、将来の為に太平の世を開こうと思う」『終戦の詔勅』http://t.co/WEyNrSCeic

2013-03-05 19:30:30
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

太平洋戦争当時、敵に降伏することを「汚辱」と見なし、それを避けるために自決した軍人や市民は「美化された国のイメージ」を守ったとして賛美された。しかし指導的立場にあった高級軍人の自決には、負うべき責任や「敗軍の将」となる屈辱からの「逃避」という、利己的な動機も存在したように思える。

2013-03-07 19:30:58
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自決した軍人を「卑怯」と決めつけるつもりは毛頭ないが、彼らを、「死」に逃げ道を求めず、敵に降伏して想像を絶する苦難と屈辱を背負い、それでもなお生き続けて国に戻り、戦後の社会に貢献した人たちよりも上位に置くかのような言説には、まったく賛同できない。私は後者の人たちを深く尊敬したい。

2013-03-07 19:31:18