安倍晋三首相の靖国神社参拝（2013年12月26日）と天皇誕生日の記者会見（2013年12月23日）について　《山崎雅弘》

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

安倍首相、きょう靖国参拝　政権１年、就任後初（産経）http://t.co/6nLGP17u40　南スーダンでの韓国軍への弾薬提供直後というタイミングは、偶然ではないだろうと思う。

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前にも書いたが、靖国神社が信仰の枠を超えて政治問題化する背景には「国に殉じた軍人の慰霊」と「大東亜戦争の肯定」という二つの意図が結合され、後者の政治的意図を持つ人間が前者の大義名分を隠れ蓑、あるいは批判から我が身を守る為の「弾除けの盾」として利用するという巧妙な構図があると思う。

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「国に殉じた軍人の魂を慰霊するのは当然」という論理と「太平洋戦争で死んだ日本軍人軍属の六割（140万人）は餓死・病死」「戦闘による戦死者は四割（90万人）」という歴史家・藤原彰氏の調査。そして「生きて虜囚の辱めを受けず」という戦陣訓に従って行われた、生還の望みが無い自殺的突撃。

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補給不足による餓死や病死も、生還の望みが失われた状況下で行われた自殺的突撃も、本質的には当時の日本政府と軍の「戦争指導の不手際と失敗」による「犠牲者」であり、靖国神社には「犠牲者」とその犠牲をもたらした「戦争指導者」が一緒に祀られている。「犠牲者」が心安らかに眠れる環境だろうか。

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「国に殉じた軍人の魂を慰霊するのは当然」という単純化された論理は「太平洋戦争で死んだ日本軍人軍属の六割は餓死」「生きて虜囚の辱めを受けずという戦陣訓」等の彼らの死因についての考察や、自らの不手際で必要以上に大勢の軍人を死なせた戦争指導部への批判から、受け手の目を逸らす効果を持つ。

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それについては、過去のツイートを以下にまとめています。「『大東亜戦争』と『アジア植民地の解放』について」http://t.co/V3jfIn4TTe　@ikuyorihotomi 連合国側の判断だけで決めつけるべきではないのでは？東南アジアの独立に貢献したことは事実だし？

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BBCの首相靖国参拝についての記事　http://t.co/DnP6AsX6dD　首相について「歴史修正主義者（historical revisionist）」という表現が使われているが、この言葉は欧米の民主主義国では一般的に「ホロコースト否定論者」に対して使われる語彙だと思う。

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駐日欧州連合代表部「安倍首相の靖国神社参拝を受けた声明」http://t.co/qhCA4rk2ke「上級代表は、日本の安倍晋三首相が12月26日に靖国神社に参拝したことに留意した。この行為は、周辺地域の緊張緩和や日本の近隣諸国、特に中国と韓国との関係改善に貢献するものではない」

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「自国の戦没者を首相が慰霊するのは国内問題だ、外国からとやかく言われる筋合いは無い」との意見もあるが、アメリカやEUなどが「内政干渉」を承知で意見表明しているのは、首相の行為が政府の意志としての「大東亜戦争肯定」「戦後秩序の否定」に繋るものだから。明白な国際問題として捉えている。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本の首相や与党幹部が海外メディアで大きく報じられるのは、今月に入って3度目。一度目は政府に反対する市民デモをテロリストになぞらえた石破幹事長の発言。二度目は特定秘密保護法の強行採決。そして三度目が今回。日本が歴史的にどんな方向へ進みつつあるのか、外国から見れば明瞭かもしれない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

NHKは今こそ地上波で再放送すべきだろう。「日本人はなぜ戦争へと向かったのか　第１回　“外交敗戦”孤立への道」（NHKオンデマンド）http://t.co/tsAp3SR2b6　「このくらいなら、連盟も説明すればわかってくれるだろう」「まさかこんなに大きな反発を招くとは（以下略」

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（靖国神社をめぐり米政府の政策が）再考されるかもしれない。ジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官が10月に千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花し、戦死者追悼にはこうした代替手段もあると直接的に示唆したことは、明らかに無視された（WSJ）http://t.co/VOnQQYem5l

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3.11の翌月（2011年4月）に仕事で上京した時、私も友人と千鳥ヶ淵戦没者墓苑に行き、献花して手を合わせた。戦前の「国家神道」的価値観の継承など政治色が山盛りの民間施設と異なり、国立施設の同墓苑には政治色が一切無い。写真はお堀の桜。 http://t.co/JLWdcaDS6c

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米政府が二度にわたり「失望」を表明した理由は、首相がこの両長官の面子を潰した事実と無関係ではないと思う。しかし普天間基地移転がほぼ同時に決定したことで、これ以上強い対応はできない。首相は靖国参拝に対する米政府の批判から我が身を守る盾として、今回もまた沖縄を犠牲にしたように見える。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「国に殉じた軍人の魂を慰霊するのは当然」という人が、国立の千鳥ヶ淵戦没者墓苑ではなく「靖国神社」に固執する理由はよくわからない。違いがあるとすれば、後者は遊就館の展示などを通じて「大東亜戦争」を肯定的に捉える政治的意図を明瞭に打ち出しており、それに共感する人は後者に魅力を感じる。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

第二次世界大戦の参戦国で、補給をおろそかにして140万人もの自国軍兵士を餓死させたり、敵への投降を厳禁して多くの兵を（実質的に）自殺させた国は他にはない。今首相に問うべきは、靖国参拝の弁明ではなく、多くの軍人を餓死させ自決や玉砕に追い込んだ当時の戦争指導についての彼の認識だろう。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

零戦パイロットの足跡をたどったベストセラー小説「永遠の０（ゼロ）」の著者で、２７日付で安倍首相との対談本を出版する作家の百田尚樹さんは、安倍首相と今年会った際、靖国神社に参拝するようお願いした（朝日）http://t.co/6tdjQzZriQ「国民の代表として当然だ」

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百田氏の影響力がどれほどかは知らないが、特定秘密保護法以降のNHKニュースには「百田効果」とでも呼べる傾向が顕著だと感じる。天皇誕生日の記者会見はHP（http://t.co/glIT7IyxNz）に乗せているが、TVニュースでは憲法に言及された部分は編集で全てカットされていた。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

天皇「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、さまざまな改革を行って、今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時のわが国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています」

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

先の引用は2013年12月23日に行われた天皇の記者会見でのお言葉。日本国憲法は「平和と民主主義を守るべき大切なものとする」中で作られたもの、との認識。一方、安倍首相や百田氏らの取り巻きは、これを「戦後レジーム」と称して否定的に捉え、憲法改正を主張する。天皇の認識とは180度逆。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

麻生太郎「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」（朝日、2013.8.1）http://t.co/ViWGxND36H　天皇のお言葉とこの発言との対比。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

よく知られているように、太平洋戦争の指導者が合祀された1978年以降、天皇は靖国神社の参拝を行っていない。安倍首相が靖国神社を参拝したのは、天皇の誕生日と記者会見から3日後の12月26日。首相の行動は、天皇が記者会見に込めたメッセージを実質的に蹂躙するものであったようにも思える。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

愛国心とは本来、主体的に自分で考えて、それぞれの立場や方法で国に貢献する心境であり、特定の集団や陣営に属したり、特定の偶像を皆で崇拝したり、外国の悪口を皆で言うことではない。政府が子供に特定の思考形態を教科書で植え付けるものでもない。偽の愛国心は逆に国を滅ぼすことを我々は学んだ。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

駐日米大使館の12月26日のFB記事に対する日本人のコメント→http://t.co/KMzsMFH5I4　ざっと内容を見ると、靖国神社問題を「日本対中韓」の二陣営間の問題とのみ捉える視点がほとんどであるように思える。日本対韓国や、日本対中国、という構図での優劣にしか関心がない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）コメントを書いている日本人や、それに「いいね」を押す日本人は、世界情勢の中で首相の行動がどんな意味を持つか、という側面には関心がない。「日本対中韓」の二陣営間の対決で、日本の味方だと思っていた米国の大使館が、それに反する声明を出したということで、感情的に強く反発している。