農林省図書館の歴史を紐解いてみた

1949年に、「問題は図書館の概念が、「スペース」に止まっている所と、もはや既に「機能」としての働きの考え方に移っている所との間、その根柢的構成の差異にあったのである。」という考え方が示されていた件。
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Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)「本は省内の何処の室にあってもよい。カタローグがしっかりしており、流れ作業の組織さえ厳密に、そして巧に出来てさえいれば立派に新しい意味の図書館が、そこにその姿を現わしているのである。」

2013-05-19 20:08:03
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)中井正一をしてこう言わしめた「彼等は近藤康男氏を主班として」の氏は一体何を農林省で成したのか。他省庁の支部図書館と比べて頭一つ出ている支部農水省図書館の基礎はここになるのか。この頃から実は先端を突っ走っていたのか。ちょっと震えた。

2013-05-19 20:11:56
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)近藤康男氏は東京高等農林学校(東京帝大農学部実科が前身、今の農工大の母体)教授にして図書館長(1935-1939?)でもあった。(ref: http://t.co/Juu4rfZvVa) この人は一体何を図書館でやらかしたんだ?調べなければ。

2013-05-19 20:15:27
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)とはいえ、沢本孝久. 日本の農学系図書館. Library Science. 1965, No.3, P.107-119. では「大学の農学系学部に比べて,国公立の農学系試験研究機関では,研究費を2倍以上も費しているのに,1人当り図書費は5分の1に過ぎない。」

2013-05-19 20:20:19
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)「国立の試験研究機関の1人当り研究費は,国立大学の農学系学部と比べて多いくらいであるのに,1人当りの図書費は5分の2ほどである。」

2013-05-19 20:20:32
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)「このような点からみてもまた農林水産技術会議事務局の行なった調査等によっても,国公立の農学系試験研究機関の研究者が図書その他の資料を通じて農学情報を入手する場合,はなはだしい困難に当面していることがわかる。」との指摘もある。

2013-05-19 20:20:48
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)立派なポリシーは建てられたが、予算が付いてこないなどどこかで継続してこなかったこともどうやらあるようだ。1970年前後は筑波移転を控え、移転後に建てられるセンター館(今の農林水産研究情報総合センター)への期待の大きさが伺える。

2013-05-19 20:29:51
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)そして現在、図書館システムの集約整備、OPACへのAPI実装などカタログデータ、いやメタデータの作成から共有、配信までの環境整備を成したといえる。一見突飛に見えるところもあるが、当初の姿勢を振り返れば、先人が敷いたレールの上にあるのかもしれない。

2013-05-19 20:32:56
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)再び中井正一の「機構への挑戦」に戻れば、「問題は図書館の概念が、「スペース」に止まっている所と、もはや既に「機能」としての働きの考え方に移っている所との間、その根柢的構成の差異にあったのである。」

2013-05-19 20:35:10
Takanori Hayashi @tzhaya

(続き)「そのことは現代の現実の生活を支えている機構そのものが「場所的」考え方に止まることができずして、「機能的」すなわち、働きとしての考え方に移らなければ、組織自体が立ちゆかないことを示しているかのようである。」を読むと、自分たちが取り組んでいる業務が明確に示されている。

2013-05-19 20:36:18
Takanori Hayashi @tzhaya

今日は農林図書資料月報を複写。1978年8月号巻頭言は岸田實NDL館長、続いて砂川雄一日野市立図書館長(10月号)、浜田敏郎JLA理事長(11月号)、松田智雄図書館短期大学学長(12月号)ってなにこの最強打線

2016-02-23 18:32:05
Takanori Hayashi @tzhaya

その後、戦後の農林省図書館の設立には、NAL館長Ralph R. Shawによる「農林省図書館に関するショー氏の勧告」が元となったことがわかる。 / 農林省図書館の歴史を紐解いてみた - Togetterまとめ togetter.com/li/505327

2016-02-24 02:05:46
Takanori Hayashi @tzhaya

勧告の全文や当時の意気込みは、農林省図書月報. 1(1), 1950 で知ることができる。 @tzhaya

2016-02-24 02:07:09
Takanori Hayashi @tzhaya

これはNDLの設立を勧告したクラップ氏らの来日より半年早く、またNDLにおける支部図書館制度設立の公聴会においても必要性を力説したのは農林省とある。酒井悌. 国立農林省図書館の実現を : ショウー氏勧告を再読して. 農林図書資料月報. 22(3), p1, 1971

2016-02-24 02:12:49
Takanori Hayashi @tzhaya

では誰がショウ氏を招いたのか。農林省図書館20年の回顧と展望. 農林図書資料月報. 17(1), p.4-17, 1966.によれば、初代図書課長恩田芳彦氏が「手紙を書きまして是非援助してくれと、場合によっては日本に来て農林省にハッパをかけてくれ」とある。

2016-02-24 02:19:56
Takanori Hayashi @tzhaya

恩田氏が目指したもの。先の回顧録に依れば「新しい政策を実施するときに必要な資料を図書館に基金来る。図書館はあらゆる角度から見た必要な資料を調査してすぐ提供できるという体制」という夢を持っていたようだ。

2016-02-24 02:27:41
Takanori Hayashi @tzhaya

この回顧録ではサブジェクトライブラリアン的存在にも言及がある。「中興の祖」とされる五代目図書課長加藤俊次郎氏からは「(事務官が)課長になられる前に1年や2年は図書館でレファレンサーをやったらいいと思う」との発言がある。

2016-02-24 02:37:12
Takanori Hayashi @tzhaya

扱う資料については、農林資料を語る. 農林図書資料月報. 14(1), p.4-13,1963. に座談会として言及がある。法律立案に使用する経過資料を担当事務官から図書館に回せ、など収集の必要性、(続

2016-02-24 02:52:58
Takanori Hayashi @tzhaya

また東畑四郎農政調査会理事長(元農林事務次官)からは「農林省の廊下トンビ」をやらせて「ガリ版刷で燃やすってやつ。ずーっと集めて歩く。あれなかなか貴重な資料なんだよ。」と発言がある。農政調査会の各種の資料集成の源流はこのあたりだろうか。

2016-02-24 02:56:31
Takanori Hayashi @tzhaya

経過資料の収集の重要性については、省庁図書館の現状と将来. 農林図書資料月報. 15(1), p.6-15, 1964. にも見られる。この記事は経済企画庁図書館長、最高裁図書館長、農林省図書館長、農業機械化研究所理事らの座談会である。

2016-02-24 03:00:25
Takanori Hayashi @tzhaya

国会の委員会に出された資料は国立国会図書館で保管しているが、各省庁で法案を作る際に協議した第1案、第2案はなかなか見られないので法務省図書館と交換を試みたが中断(小出最高裁図書館長)、審議会なり委員会で出された記録よりそれまでの過程が大切、人が変わると資料が廃棄されるとの指摘。

2016-02-24 03:07:32
Takanori Hayashi @tzhaya

確かに、農水情セなどの所蔵資料には、「未定稿」「案」など検討段階とおぼしきものが多々あり、中には校正刷りとその後で変更がなされていたりなどと検討過程が垣間見える者もある。このあたりは公文書管理やオープンガバメントの領域であろうか。

2016-02-24 03:10:44
Takanori Hayashi @tzhaya

図書館で扱うべき資料と公文書の境目があいまいなのではという印象も受けるが、資料の重要性は認識されていると見ることはできよう。

2016-02-24 03:13:03
Takanori Hayashi @tzhaya

1962-64年開催、これに農水の研究所図書館員が参加したらしい。 / “CiNii 図書 - 生物科学図書館研究集会要録” htn.to/RMUmzR

2016-02-27 16:43:21
Takanori Hayashi @tzhaya

ということで 沢本孝久. 日本の農学系図書館. Library Science. 1965, No.3, p.107-119. を再読している。なお本文は英語。

2016-02-27 16:45:23