Affair Story 長編その2

フォロワー150人突破+400ツイート記念にやりました。 投票で先着五人の『睡魔』、『病』、『風』、『雨』、『夢』を登場人物にして、一着だった『睡魔』を主役っぽくしてみました。 突発のその場で考えながら小説でグダグダですが、よろしくお願いします。
6
Affair Story @affair_story_s

たまに。たまに、だが、見ている最中にこれは夢だと気付くことがある。そして、普通なら気付いた途端目が覚めるものが、覚めず、その中で動けるときも。今まさに、その状態だ。俺は今夢を見ていて、しかし、「目は覚めている、って事だよな」意思に応じて動く手足は、その証拠だろう。

2010-09-15 20:06:01
Affair Story @affair_story_s

周りを見れば、近所だ。夢にしては地味だなと思いつつも、「いきなり竜とか出てこられても困るしなぁ」何でもありな夢の体験も面白いかもしれないが、死ぬような経験は御免だ。

2010-09-15 20:08:04
Affair Story @affair_story_s

俺は、さて、と頭を掻いてもう一度周りに目を向ける。人がいない。夢だからだろうか。普段は誰かが歩いているであろう道には誰もおらず、家からも人の気配がない。一人きりの世界のように感じる。

2010-09-15 20:09:27
Affair Story @affair_story_s

「一体何の夢を見せようと思ってたんだ、あいつは……?」呟くと、「ほんま、何の夢なんでっしゃろなぁ、これ」思ってもいなかった返事に振り向けば、『睡魔』がいた。『睡魔』は周りを見回し、呆然と見るこちらに目をとめると着物の袖で口元を隠し、「いややわ、はずかしい」何がだ。

2010-09-15 20:12:11
Affair Story @affair_story_s

ともあれ、疑問は浮かぶ。あれ? と。今の俺は、対して眠気を感じていない。なのに、何故『睡魔』が傍にいるのだろう? 「なあ、ちょっといいか?」「はい?」首を傾げる『睡魔』に近付き、俺は、うん、と頷き、「失礼します」「?」『睡魔』の乳を下から持ち上げた。

2010-09-15 20:14:12
Affair Story @affair_story_s

「え……?」目を丸くする『睡魔』に構わず、俺は、ふむ、と。柔らかい。そして、重量を感じる。二度頷き、三度頷き、俺は手を放して、「なるほどな」「何がや!」『睡魔』の平手打ちを食らった。

2010-09-15 20:18:04
Affair Story @affair_story_s

俺は袖を握って腕を振り上げる『睡魔』に両手を向け、「い、いや、待て! ちょっと話を聞いてくれ!」「いやどす! 急に人ん胸触るなんて、非常識でっしゃろ!」「あ、そ、それはちょっと俺の中の常日頃からの欲求がだなって違う違う。いいから話を聞いてくれ!」

2010-09-15 20:21:14
Affair Story @affair_story_s

むぅ、と頬を膨らまし、俺から距離を置く『睡魔』に寂しさを感じつつも、俺はいいか、と前置きをして、

2010-09-15 20:21:59
Affair Story @affair_story_s

「普段なら、俺はお前に触った途端寝てしまうはずだろう? なのに今はどうだ? お前の胸に触って二揉みごめんなさいごめんなさい! お、お前に触ったのに、その後ビンタされたのに、俺は寝ていない! な!?」

2010-09-15 20:24:02
Affair Story @affair_story_s

『睡魔』の動きが止まる。確かに、と。そして、上げていた手が俺の頬に触れ、「ほんまや。触れる」「な? で、この事から思うに、俺らは今夢の中にいる――つまり、俺は寝ている状況にある訳で、だからお前に触れても寝ることはないといういやあの『睡魔』さん? ちょっと? 何を?」

2010-09-15 20:26:40
Affair Story @affair_story_s

俺の問いかけに、俺の頬をすりすりしていた『睡魔』がはっとして手を離す。「あ、や、すみまへん……その、いつもは触れたとたん寝てまうのに、今は反応があるもんやから、その……」着物の袖で頬を隠し、「うれしゅうて……」

2010-09-15 20:28:14
Affair Story @affair_story_s

……はい、落ち着け。落ち着け俺。よーしステイステイ。いいな? 落ち着いたな? うん。状況を整理しろ。まずここは夢の中。『睡魔』来たから、ちょっと実験兼ねて胸揉んだ。あ、うん、ここ問題だな。揉んじゃいかんよな、やっぱ。うん。柔らかかった。よし落ち着け。それで。で――、だ。

2010-09-15 20:30:23
Affair Story @affair_story_s

目の前、『睡魔』は恥ずかしがりながらもどこか嬉しそうな様子。「あの、『睡魔』……?」「はい、なんでっしゃろ?」「えっと、怒ってないの?」「あ、は、はい。そら、胸を触られたんにはびっくりしたんやけど、あんさんになら別に構おりませんし。たやちょい驚おいやしたやけで。それよりも……」

2010-09-15 20:35:31
Affair Story @affair_story_s

待つ。『睡魔』は袖を上げ顔を隠し、目元だけでこちらを見て、「うちも、触ってええどすか?」

2010-09-15 20:36:18
Affair Story @affair_story_s

はい、はいちょっと脳内会議始めるよ――! みんな集合――! どうしてこうなった!? ねえ、教えて! うん、みんな分かんないね!?

2010-09-15 20:37:59
Affair Story @affair_story_s

一歩近付いてきた『睡魔』に対し一歩退がり、俺は手で胸を抑えながら、「と、とりあえず落ち着こう? 『睡魔』」「うちは落ち着いてまんねんよ。あんさんこそ、なんを想像してはるんですか?」「え、あ、いや、その」くすり、と笑う『睡魔』がまた一歩近付き、ほら、と。艶のある唇が言葉を紡ぐ。

2010-09-15 20:40:35
Affair Story @affair_story_s

「もっとお顔、さわらせておくれやす」

2010-09-15 20:41:22
Affair Story @affair_story_s

本当に全面的にこちらが申し訳ありませんでした――!!

2010-09-15 20:42:05
Affair Story @affair_story_s

『睡魔』が俺の頬に触り、「わあ」とか「ふふ」とか言うのをされるがままになりながら、俺は、あー、と。「えっと……もういい?」「ようちびっと」「あの、ほら、俺の顔なんて寝てる時でも触れるじゃん?」「あら、寝とったらでけへん事をお望みで?」「あ、いや、あの」

2010-09-15 20:46:09
Affair Story @affair_story_s

悪戯に笑う『睡魔』の手が滑り、頬を落ちて首へ、撫でるようにして胸に落ち、指を立てつつくように触れ、「どないしたんや?」「いや、ちょ、ま」逃げるように視線を逸らした俺の目に、曲がり角から現れた姿が目に入る。『風』だ。『風』はこちらを見て、目を光らせ、やってくる直前に俺は叫んでいた。

2010-09-15 20:50:30
Affair Story @affair_story_s

「子供は見ちゃダメ――!」

2010-09-15 20:50:54
Affair Story @affair_story_s

「へーぇ、何を見ちゃいけないのかしら?」冷たい声は後ろ。俺は聞き覚えのあるその声に、固い首を回して振り返る。「随分とお楽しみね?」そう紡ぐ言葉の主は、両手を組み、眉をひくひくと動かしている。「や、やあ、『雨』。元気?」「えぇ、とっても」

2010-09-15 20:54:11
Affair Story @affair_story_s

殴られた上に正座をさせられた。目の前には仁王立ちで上を組み眉を吊り上げている『雨』と、袖を口元にあてて笑う『睡魔』、そして首を傾げている『風』がいる。「まったくあんたは! 何やってるのよ!」「いや、えっと、その」「言い訳しない!」聞いたのどっちだよ!

2010-09-15 20:56:59
Affair Story @affair_story_s

しかしふと。気付くのは『雨』の手元だ。胸の前で組まれたその手に、傘はない。あれ? と思い、凝視していると、「な、何よ……?」『雨』が何を勘違いしたのか、組んだ手を胸を隠すように動かす。「やらしいわね」「はあ? お前何勘違いしてんだ?」

2010-09-15 20:59:43