京大法学部卒で法律に詳しいはずのパンダ先生の著作から学ぶ正しい自衛隊のROE

自衛隊の交戦規定ってだいぶ現実的になりましたよね
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副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

軍隊や警察が武器を使用するにあたっての基準で、どのような相手にどのような武器を、どのタイミングで使用するべきなのかを定めています。

2013-05-26 23:50:41
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

このROEによって繭川小隊は窮地に立たされる事となったのですが、 では 疑問1.この制約は全ての状況において優先されるのか? 2人の自衛官から頂いた回答はこのようになっています。

2013-05-26 23:51:26
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

A:状況によると思われる。武器使用の規定に関しては特措法第8条を前提とした状態から危険な状態に陥った場合として第17条(武器の使用)の基準が適用される。

2013-05-26 23:52:07
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

イラク特措法第17条 対応措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己又は自己と共に  現場に所在する他の自衛官、イラ  ク復興支援職員若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身  体を防衛するため(続く)

2013-05-26 23:53:08
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事  態に応じ合理的に必要と判断される限度で、(中略)武器を使用することができる。

2013-05-26 23:53:59
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

それを適用させるために必要な手続き(チェックリスト兼レギュレーション)がROEであり、イラクでは1:口頭による警告、2:銃口を向けての威嚇、3:警告射撃、4:危害射撃となっており、3まで行くという事は通常相手が武器を携行していると見なす若しくは暴徒が向かってくるという状態。

2013-05-26 23:54:37
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

通常、威嚇射撃までで留められるレベルは武器を持たない者が向かってくるレベルであり、常時武器が街中に存在するイラクでは威嚇射撃で留めるという状況にはならないと思う。

2013-05-26 23:55:39
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

ただし武器の実際使用については警察比例の原則に準じると考えて使用火器については対象と同程度までの火器の使用に制限されると思われる。

2013-05-26 23:56:06
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

警察比例の原則とは、「相手以上に強力な装備、武器を以て対抗してはならない」という規定です。 例えば相手が素手なら徒手格闘による制圧、相手が銃を使用するなら銃による制圧と、対象を無力化できる最低限度の武器使用を認めています。

2013-05-26 23:57:23
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

任務の種類によっては、主にこの規定に沿って使用武器のグレードが選定されます。 (自衛隊におけるこの話の細部もなかなか面白いのですが、注意文書に指定されてる内容なのでお話する事はできません。残念です。)

2013-05-26 23:59:50
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

では繭川小隊の状況は、というと、触雷してから終始激しい銃撃を受けています。小銃を用いた防衛行動は至極妥当であると私は考えます。 何もぼさっと標的であり続ける必要などなかったのです

2013-05-27 00:02:40
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

次に、ROEによって定められた基準は、隊員が切迫した危機に直面しても尚有効か?という疑問。 …先の質問から続けてこの質問をしたので、中隊幹部には「お前俺の教育聞かずに寝てたのか?」と言われてしまいました。くそぅ。

2013-05-27 00:03:24
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

A:基準は遵守されるべきではあるが切迫した状況である場合、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」の第24条第4項「前二項の規定による小型武器又は武器の使用は、当該現場に上官が在るときは、その命令によらなければならない。

2013-05-27 00:04:21
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

ただし、生命又は身体に対する侵害又は危難が切迫し、その命令を受けるいとまがないときは、この限りでない。」 及び イラク特措法第17条第2項「前項の規定による武器の使用は、当該現場に上官が在るときは、その命令によらなければならない。

2013-05-27 00:05:05
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

ただし、生命又は身体に対する侵害又は危難が切迫し、その命令を受けるいとまがないときは、この限りでない。」 となっており、部隊行動基準は法の優位性において最下位に当たるので上官の監督下にある場合でも切迫していれば自己の判断により使用が可能。

2013-05-27 00:09:38
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

切迫しており上官から命令を受ける余裕があるかどうかで変わる。

2013-05-27 00:10:27

つまり・・・

副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

ROEの法的優位性は低いものであり、状況が切迫し、隊員やその保護の下にある者の生命、身体に急迫の危機が存在する場合、それよりも上位の国連平和協力法第24条4項、イラク特措法第17条2項に規定される武器使用基準に基づき武器が使用される、という事でした。

2013-05-27 00:10:58
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

「切迫した状況下で上官から命令を受ける余裕があるかどうかで対応は変わる」という部分。

2013-05-27 00:11:45
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

地雷を踏んで車輌が吹っ飛び銃弾がち込まれ隊員の生命が風前の灯、という状況で「命令を受ける余裕がある」かどうかは個人の解釈に依る所だと思いますが、一般的にはこういうのは「修羅場」とか「地獄絵図」と言って差し支えないものと思います。

2013-05-27 00:12:22
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

そしてそんな状況で悠長に上位者=指揮所に無線でお伺いを立てる余裕など一般的にはありません。

2013-05-27 00:12:54
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

では3.の疑問に対する回答です。 2.の状況にある場合、すでに戦端が開かれる寸前であると認識すべきであり、意思決定においては現場指揮官の判断が優先される。

2013-05-27 00:14:10
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

指揮所に確認をとるということは、2.よりも状況はまだ良いか又は戦端が開かれた状態で継戦若しくは撤退するかの判断を仰ぐ状態にあると考えるべき。

2013-05-27 00:14:47
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

部隊指揮官(繭川)が更に上位の指揮所に指示を仰ぐべき場面は戦闘状況が生起する前段階、もしくは既に一度戦闘を行い、爾後そのまま戦闘を続行するか離脱するかの指示を仰ぐ時、という事ですね。

2013-05-27 00:15:56
副赤@ 新刊鋭意製作中。 @ATOR86

既に銃撃を受けているこの状況では明らかに指示を仰ぐタイミングを逸しており、武器使用の判断は現場の指揮官である繭川小隊長の判断が優先される筈です。指揮所の指示は必要ありません。 ROEについても2でクリアされており、繭川の判断による危害射撃の許可、襲撃排除は可能であったと考えます。

2013-05-27 00:17:06