俺の風邪の経過

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あらすじ：ケイさんは風邪をひいたものの、圧倒的な人不足であるバイト先の事情を鑑みるにどう考えても休んでいる場合ではない。迷惑をかけるのが店長であるなら休むのもやぶさかではないのであるが、迷惑をかけるのは誰でもない、いつもよくしてくださる先輩方なのである

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だがしかし昨日今日の話で、突然、乱れに乱れた食生活やら睡眠環境がよくなる訳でもなく、それらの劣悪な環境を抱えたまま、過去最大風速での狂シフトをこなしていては、当然事態が改善の方向へ向かう道理がない

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従って、人間の活動があからさまに鈍ってくる38度後半の体温をキープしながら、狂ったように動き回っているものの、その事態に指をくわえてじっとしていられるほどの透明な聡明さをこの年齢までキープしていられる澄み切った川の流れのような人生を歩んできたわけではない

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ここで紐解くは最近買った書籍である。本は知識。知識は重み。重みは安心。従って本に載っている内容に沿って行動することによって、確実に事態はいい方向へ動く。本を読む子供は頭がよくなるという統計が、頭のいい選択肢を僕にもたらしてくれる

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という訳で、一番自分の現在に近い時間軸で購入した本である、《バカとテストと召喚獣 8巻》を参考に私は果敢に病魔に挑むことにしたのです。歴史の重みの最先端。ここに治療法が載っていなければ、古今東西どの文献を紐解いても解決法が載っていないであろうという一種の確信を抱きながら

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すると、やはり、ある。巻末の方に、しっかりと「心と体は密接な関係にある。心が弱ると体が病んで、体が弱ると心が病む」と明記されている。勝った！　これで勝つる！！

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つまりこういう事である。無理やりにでもテンションをあげて、気分をハイな方向へ持っていけば、気分につられて体調もよくなるはずなのである。知っている。俺はこの感覚を知っている。ことわざ辞典で見たことがある。間違いなくこれは『病は気から』である

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重み、つまり安心のそそのかすままに、無理やりテンションを上げる自分。吐き気をこらえて一人、室内でお祭り騒ぎを展開する。やっほー！　祭りだ！　フェスティバルだ！　カーニバルだ！　ハンニバルでありカニバリズムである

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吐き気が増していく。心なしか熱も上がってきた。さっきまでなかった頭痛もしてきた気がする。ああ何か夢見心地である。今なら側転だってできてしまいそう。えいっ！　痛いいいいいいいいいい！

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悪くなっていく体調。知っている。自分は最近調べてこういうのをなんと呼ぶのか知っている。好転反応！　東洋医学の神秘！　きたああああああ！　間違いなく好転！　好（よ）き方へ転がると書いて好転！　砂糖玉を舐めて褒め倒すぱしー！！

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全国一億三千万人のホメオパシーを褒め倒す主婦の皆さんお待たせしました！　ここにホメオパシーを超越した新領域！　薬いらずのホメオパスがございます。ブラシーボも尻尾を巻いて逃げだす好転反応！　瘴気と勝機の間に正気を置き去りにして、一足お先にアセンション！！

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こうして新時空に到達したケイさんは、テンションの天使が進めてくるままに牛乳を一気飲みしたり、部屋に残存している食料の勢力を片っ端からせん滅していく作業をしながら、確実に体に押し寄せてくる好転反応の時流に身を任せたところまではよかったのですが……

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こう、その後不思議なことに、二重の意味でトイレにお世話になりっぱなしになったり（上と下の口からの反流《ダブルリバース》）、頭痛が引かなくなったり、色々と酷い事になったのは、書物の重みが原因だったのではなくて、多分自分に原因があったのだと思います

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という訳で、時代は風水！　健康運を無視してはいけない！　運！　それは大事！　ドラクエだったら遊び人！　そう、つまり遊び人であるところの自分は、このパロメーターをもっと大事にしなくてはいけなかったんや！

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水周りに金色のブツを設置したり！？　窓側のカーテンをあなた色に染め上げたり！　まねきねこの左手をらめそっちには曲がらないぃぃぃぃぃって方向に曲げちゃったり！？　一人風水祭りである

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こんな感じで、確実に最先端の知識を活用しながら治療に励んでるので心配しないでください。うー☆元気♪

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この一連の文章を30分で書くくらいには元気です。元気なのかこれは！？　あ、ちなみに真実は8割ちょいくらいなので心配しなくていいです