【小噺】生と死と、レミリア・スカーレットと

litoruman @litoruman

レミリア・スカーレットは実は割と死なないという設定 ※二次創作に有りがちなソースのないお話という名のただの妄想

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【小噺】連休明けだったか、久々にぱちゅりーを連れ立って紅魔館に遊びに行った時のこと。5月だってのにやたらめったら暑くて、境界越えたら涼しくないかな、なんて思ってたんだよね。「こっちが暑いんだからそう都合のいい事ないでしょ」薄手のカーディガン姿のぱちゅりーもうっすら汗を浮かべてた

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境界を超えるとそこは見慣れた紅魔館の目の前で。美鈴さんが花壇の花に水をやってた。「あら、美鈴が起きてるなんて珍しいわ」「もう、パチュリー様ったら非道いです」美鈴さんお久しぶりです。「○○さんもご無沙汰ですね。そちらはどうです？」美鈴さんは相変わらず快活な人だ「○○とは大違い」

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引きこもりが何を言う。「あら、はたしてそれはどうかしら？」「パチュリー様も相変わらずお元気そうで何よりです」美鈴さんって庭の手入れもやってるんですね。「門番って言っても四六時中誰かが侵入するわけじゃないですから」それもそうだ。「でも、あっさり侵入は許すのよね」「それはっ…」

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俺が初めてここに来た時は、たしか随分と間抜けな問答があった気がするが、あまり思い出したくないので封印しておこう。「どうしたの？」不思議そうな顔でこちらを見るぱちゅりーと目が合った。なんでもないよ「へんなの」

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そういえば、これって何の花なんです？美鈴さんが水をやっていた花、鮮やかな赤をしたこれは…「バラの花ですよ。綺麗でしょう」へぇー、バラって言うとあの形をイメージするんだけど、これはまるで別の花みたいで。「バラというのは実に2万を超える種類があるの」ぱちゅりーが言う。2万とは桁違いだ

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よく見れば赤以外にもピンクや白、青いバラなんてのもあるのか。「お嬢様の趣味なんですよ」地面に落ちた花弁を拾いながら美鈴さんが言う。「と言うより、実はこの館の花は全部バラだったりするんですけどね」あちこちで咲いてるこれが全部バラだとは思いもせず、俺はただおどろくばかりだった

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「昔からレミィはバラの花が好きだったの。なんでも、バラを見てると気持ちが昂ぶるそうよ」情熱の赤って感じなんだろうか。「それは本人に聞いたらどう？」ぱちゅりーが指す方向に目を遣れば「やぁご両人、よく来たね」日傘を差したレミリアお嬢様がテラスから身を乗り出してこちらを見ていた

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持ってきた土産をお嬢様に手渡す。「『まるごとりんごパイ』わかってるじゃないか」以前たまたま駅の土産コーナーで見かけた、りんごをまるっとひとつ使ったパイ。一度買って行ったらすっかりお気に召されたようで、それ以来おみやげの定番となった一品だ。県内各地の土産物屋で買えるので是非どうぞ

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「紅茶が入りましたわ」今日はお泊りなので荷物を部屋に置いた俺とぱちゅりーは、お嬢様の私室に通された。ソファに座ると同じタイミングで紅茶のポットを持った咲夜さんが現れる。お久しぶりです、咲夜さんもどうぞ、りんごパイ。「○○さんお久しぶりですわ」笑顔が眩しい。瀟洒ここに極まり

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「いきなり二人で連れ立ってくるとはどうしたんだ」お嬢様が尋ねる。いやぁ実は「まぁ待て○○。当ててやろう」俺を制してお嬢様が言う「あれだろ、おめでた」紅茶が気管に入った。「レミィ！」ぱちゅりーが身を乗り出して叫ぶ。「えっ、違うの？」どこぞの道士よろしく「あれ？」という表情のお嬢様

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カスりもしてないです。「グレイズくらいはしてるだろう」話があちこち飛んでますって。「でも、○○の場合はパチェに自機狙いだろう？」いや、ドヤ顔で言われても…って思いっきりシモな話じゃないですか。「まぁ、冗談は置いといてだ」冗談だったんですか。「元気にやってるようで何よりだ」

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ニヤリと口端を上げてお嬢様が言う。その赤い瞳が俺の奥に何を見てるのか、そんなことがふと気になった。まるで何かを見透かされてるみたいな、この先の運命そのものを見透かしてるような、そんな目。お嬢様もお元気そうで何よりです。「私は死なない限り元気さ」言い得て妙だが、お嬢様らしい

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「喧嘩はしてないだろうな？」ええ、そりゃもう。「ほう」スッと目を細めてお嬢様が言う。「でもいつだったか、荷物を担いだパチェが扉を壊さんばかりの勢いで帰ってきたことが…」それは随分昔の話では。「つい2,3日前の事のようだ」体感時間の問題です、ええ、間違いないです

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「どうだいパチェ、外での○○との暮らしぶりは」紅茶がちょうどカラになった頃、お嬢様が切り出す。どうなんだろうか、ぱちゅりーは今の暮らしをどう感じているんだろう。自分じゃ聞けないことをお嬢様を通して聞いてるような、そんなちょっとずるい自分がいる。

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「そうねー」ぱちゅりーは少し考えて「いいんじゃないかしら」とだけ言った。「そうか」とだけお嬢様は言って、その話題はそれっきりになってしまった。あとは最近の紅魔館の様子とか、外の世界の変わった出来事とか、俺がコーヒーメーカーにポットをセットしないままにして床が水浸しになった話とか

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そういう話に花が咲いた。と、そこへ「あら、ここのコウモリには土産を持参して、神社に奉納品はないの？」無茶苦茶なことを言いながら霊夢が部屋に入ってきた。どうしてここに。「私が招待したのさ」お嬢様が言う。招待とは。「なんだなんだ何も聞いてないのか」と、後ろから魔理沙が顔を出す

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「わーい○○お兄ちゃん、パーティーだよっ！」と、いきなり空間を割って現れた妹様が抱きついてきた。パーティー？なんのこっちゃ。「何だパチェ、こいつに何も説明してないのかい」呆れ顔のお嬢様、しかしどこか楽しそうで。「えぇ、だってその方が楽しいでしょ？」ぱちゅりーもおかしそうに笑ってる

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何のことはない、俺達が来るのに合わせて紅魔館でパーティーと言う名の宴会を開く計画があったとのこと。「宴会じゃない、これはパーティーだ！」とお嬢様は言ってたけど、要するにこれは…「やっほー○○、呑んでるかい？」盃を片手に諏訪子様が肩に手を回してくる。開始から1時間、いい雰囲気である

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紅魔館の広間は幻想郷各地から集ったキャラの濃い連中で満席だった。守矢神社の諏訪子様がさっきからやたら絡んでくる。俺は俺でアルコールが程よく身体に回ってて気持ちがいい。「ほらほらーもっと呑んでいいんだよー」上目遣いでこちらを見る諏訪子様はちょっぴりエロい、口には出さないがそう思った

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「なーにヘラヘラしてるの？」グラスを持ったぱちゅりーが脇をつついてくる。「よっ、魔法使い。節操のない男なんて捨てちまいな」いつから守矢の二柱の一角は疫病神にジョブチェンジしたんだ。「大丈夫よ、節操よりも度胸がないものこの人」フォローありがとうちょっと吊ってくるわ

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「ややっ、お主はもしや噂に名高い○○殿であるな！」烏帽子を付けた平安貴族みたいな格好の女の子が俺を見つけて声高に言う。手には日本酒と思わしき透明の液体が入ったコップ。えーっと、どちら様？「ぬぬっ、これは失礼。我は物部布都と申す。太子様にお仕えする道士であるぞ！」道士さん、か

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「そう、お主も道教の教えは知っておるのだろう？」いや、ドヤ顔で言われても。俺、歴史アレルギーなんで「なんと…！」目を見開いて俺を見る布都ちゃん。忙しい子だ。「ぐぬぬ、では仕方あるまい…さぁ、飲み明かそうぞ！」酒瓶から日本酒を注いで俺に手渡す。おう、ならば俺も乗って見せようぞ！

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二人でぐいっとコップをカラに、したところで後悔既に遅し。頭にカーっと血が上って、グラっと視界が歪んだ。思わずぶっ倒れそうになる。「ちょっと○○…！」ぱちゅりーの声が遠いのか近いのかどこかから聞こえる。やばい、バランス崩し「おっと。大丈夫ですか？」誰かが支えてくれたらしい

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視界が戻って見れば、ヘッドホンをした見知らぬ女性が目の前に立っていた。「お酒が一気に回ってしまったのね。大丈夫です、少し気を楽にして」スっと身体から熱が引いたみたいに、一気に身体がラクになった。これは「簡単な仙術ですよ。身体の気を循環させて代謝を促進しました」何かわからんがすげぇ