茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第９７０回【東大法学部をラスボスだと思ったら、ゾンビだった】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート９７０回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、この２、３日の一連のできごとで学んだこと。

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らぞ（１）ぼくは、小学校に上がってすぐ、いばっていた上級生に反発した。その頃から、ぼくは「強い」と自分が感じる相手にしか、批判の矛先を向けない。弱っている相手をさらに攻撃することは、ぼくの倫理観に反する。だから、いじめで集中攻撃するやつらが、基本的に理解できぬ。

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らぞ（２）そんなぼくが、ちょっと動揺している。ぼくは日本の大学のあり方、特に「偏差値受験」が、子どもたちから本当の学びのよろこびを奪い、言われなき劣等感、意味の無い優越感を持たせるとして目の敵にしてきた。そして、そのような愚かな日本の高等教育の象徴の一つが、東大法学部だった。

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らぞ（３）東大法学部は、いわば、日本のガラパゴス大学界における「ラスボス」だと思っていた。だから、昨日、Facebookに東大法学部分割民営化論というむちゃぶりの文章を上げたとき、ぼくは案外これは致命傷を与えたかもと自負した。東大が国際的に声価を上げるためには、不良資産になると。

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らぞ（４）ところが、Facebookのコメント欄を始め、上がってくる反応の「圧力」が今一つ弱い。あれ、と思った。ラスボスを倒す有力な論を上げたのに、もう少し反発だってきてもいいのに、なんで来ないんだろう、と不思議に思いながら、有楽町でわかめそばを食べて、ニッポン放送に行った。

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らぞ（５）それで、よっぴーと話ながら、自分の中で「ああ、そうか」とわかっていったのは、ぼくが「ラスボス」だと思っていた東大法学部は、じつは「ゾンビ」だったということだ。すでに生命力がなく、よたっている。だから、致命傷を与えた、と言っても、あまりプロレスとして面白くないのだと。

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らぞ（６）ネットがあれば、大学は要らないか。よっぴーとの間で、あっという間に「いらない」と結論が出ちゃった。OCWを見て、ネット上で議論し、google scholarで論文を読み、動画で上がっているlectureを見れば、へぼ大学の授業よりもよほど密度の高い学びができる。

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らぞ（７）大学の学費って、年間１００万円くらい払うと思うんだけど、それだけあれば随分いろいろなことができる。最新の機器買って、ネットで学んで、一ヶ月くらい外国行って語学学べる。問題はそのノウハウや、学びのステップを確認（必要ならば認証）するシステムで、でもそれはできそうだ。

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らぞ（８）よっぴーとその仲間たちが夢中になっているアニメまわりだって、作品見たり自分で書いたり世界観を掘ったりとかいう学びは自分で勝手にできるし、ネットやプログラミングだってそうだし、つまり、今の世の中で急速成長している面白い部分は、大学とは関係ないところで起こってる。

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らぞ（９）大学なんかに行かなくたって、学べるし、スキルも身につくし、liberal artsはむしろ大学の外にある、大学なんぞに頼らずに学ぶためのツール、プラットフォーム、ノウハウの共有化こそが、時代の要請。大学はもはやゾンビだが、そのゾンビに受験産業が群がっている。

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らぞ（１０）もはやゾンビの大学に行けと、小学校の頃からお受験をして、つるかめだ旅人だと意味のない特殊技能を磨いている。日本の子どもたちは、ゾンビにつかまって血を吸われているんだね。子どもたちを救うためには、ゾンビにつかまらなくても勝手に学べるという破壊的イノベーションでしょう。

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以上、連続ツイート９７０回「ラスボスだと思ったら、ゾンビだった」でした。