憲法はいま・樋口陽一氏①~⑬

樋口 陽一(1934年9月10日)日本の法学者。専門は比較憲法学。東北大学名誉教授、パリ大学名誉博士、東京大学名誉教授。法学博士(東北大学、1964年)。日本学士院会員。日本学士院賞受賞。宮城県仙台市出身。
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桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】①安倍晋三首相が、政権に就く前の昨年9月に講演でこう話したと報道されました。「たった3分の1を超える反対で(改憲を)発議できないのはおかしい。そういう横柄な議員には選挙で退場してもらいたい」

2013-06-14 18:19:15
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】②憲法96条が国会に厳しい要件を課すのは、様々な意見をぶつけ合い、論点が煮詰まる過程を国民に示した上で、国民投票で誤りない判断をしてもらうためです。そもそも国会とは議論を尽くす所です。だがそうした議会観に立たない事を「横柄」発言は映し出しています

2013-06-14 18:24:33
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】③96条という外堀を埋めた後、憲法前文や各条文という内堀、立憲主義という本丸を崩してゆく。そんな危うい道筋が見えます。自民党が昨年発表した憲法改正案のことです。

2013-06-14 18:26:27
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】④自立した一人一人が契約を結び、国家権力を作る。それが日本国憲法が描く公共社会の像です。その権力が暴走しないよう、憲法で縛る。土台は「個人」を守ることにあります。

2013-06-14 18:29:15
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑤これが、13条の「すべて国民は、個人として尊重される」という宣言であり、前文に書かれた「人類普遍の原理」の意味でした。ところが自民草案は13条の「個人」を「人」に置き換えます。

2013-06-14 18:32:18
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑥前文すべてを差し替え、固有の文化、伝統といった言葉を使いつつ「和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」と述べます。自己決定をする個人の間で結ばれた関係ではなく、家族や郷土や社会全体の中の「人」だからこそ和が成り立つ。

2013-06-14 18:35:40
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑦欧米社会が共有する価値観、社会観とは反対方向に、自民草案は踏み出そうとしています。その反面、国家はこれまでの役割から撤退しようとしている。「公共の福祉」という語が、自民草案では一つも出てきません。

2013-06-14 18:37:45
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑧公共の福祉の論理は、特に財産権との関係で、社会保障や福祉国家と表裏一体と考えられてきました。これからの福祉は国家が税金で担うのではなく、家族や「世間」が引き受けるべきだというのでしょうか。

2013-06-14 18:40:04
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑨天皇を元首とし、自衛隊は国防軍に改める。こうした重要な変更も盛り込まれています。

2013-06-14 18:41:19
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑩3・11後の混迷の中、誰に命じられたわけでもなく人々は被災地に駆けつけ、連帯した。「原発をやめよう」という市民の動きの広がりは、日本社会に新風を吹き込んだ。まさに自立した個人の発見でした。

2013-06-14 18:43:02
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑪象徴としての天皇は被災者を励まし、ねぎらい、存在の確かさを示した。自衛隊員の誠実な救援が、住民の信頼に応えた。個人,象徴天皇、9条かの自衛隊。どれもが、戦後社会が苦労して築いてきた安定の知恵です。なぜ、壊そうとするのか。

2013-06-14 18:45:33
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑫思い起こすのは半世紀余り前のこと。改憲を目指す岸信介首相に対峙して、東大で民法の権威だった我妻栄先生や憲法の宮沢俊義、清宮四郎良先生ら知識人が結集し、憲法問題研究会を立ち上げました。

2013-06-14 18:48:45
桃雪 @momoyuki1968

【憲法はいま・樋口陽一氏】⑬当時に比べ学者も政治家同様、小粒になりました。けれども社会が危険なほう故意に向かうとき、沈黙してはいけない。専門知識を持つ市民としての義務感です。(終・13日付朝日夕刊より引用)

2013-06-14 18:51:11