永崎氏による大正新脩大藏經刊行の際の苦労話まとめ

人文情報学研究所の永崎研宣さんが、大蔵出版が大正新脩大藏經を刊行した際の苦労話を長文でツイートしてくれたので、まとめて読みたくてまとめを作成しました。
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Kiyonori Nagasaki @knagasaki

で、この対応策というのが、また別の人によれば「合資会社大正新脩大藏經刊行会(代表者小野玄妙博士)の経営が行き詰まって…幾人もの高利の金融業者からの借金が相当な額に上つており…結局少々の金を都合してみても利払にも困ることが判かつた」のだそうです。 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:21:18
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

そこで、「会社債務は一切無利息無期限据置きとして支払を停止し、新会社を設立して、その営業の利益から旧会社に対し…一定の金を払い…旧債を整理する方針を立て」新会社を設立したそうです。 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:21:25
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

しかし「高利貸の連中はそんなことで承知する筈はない。或者は高楠先生や小野先生の自宅財産を差押え、また或者は大正蔵経の著作権の仮差押え、或はその紙型の差押等を執行してきた。」「著作権の仮差押に対しては裁判」 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:21:33
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

「紙型の差押は爾後の発行が不可能となるので身を以てその差押を拒んだ」そうです。 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:21:42
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

というようなことで、高楠順次郎、小野玄妙ともに大変な苦労をしていたようです。一方、もう一人の都監である渡辺海旭は金策についてどういう立ち位置だったかというと、「急場を凌ぐためにたびたび渡辺先生のご厄介になつた…お逢いするには深川の西光寺に出向いたものである」 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:21:51
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

「一度も苦い顔をしたことなく、私の話を半分くらい聞かれると気持ちよく小切手を切つて下さつた。」しかし「渡辺先生も無尽蔵であつたわけではなく、諸方からの融通をされた」のだそうです。 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:21:57
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

実際の印刷所の状況についても少し記載があるのでみてみましょう。「京華社は本来小さな印刷所で、所謂町工場であった。それが大蔵経の如き大出版を引受けたのだから大変だ。設備を増強しなければならぬ。活字母型から全紙の印刷機、それから輪転機に至るまで」 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:22:06
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

「印刷工場も隣家から隣家へと拡張していったので、整然たるものではない。二階の壁を打ち貫いて広げたり、下からの階段を取り外したり」していたそうです。 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:22:13
Kiyonori Nagasaki @knagasaki

このような感じで、学術的に大事業だっただけでなく事業そのものとしても極めて大変なものだったようです。その使命感には思い返すたびに圧倒されます。 #大正蔵刊行

2013-06-20 21:25:49