水没都市

タグ作る前のも含めてまとめました。どこかの世界の水没都市の幻想。
4
bluesss.eth @bluesss_eth

頭上には星影しかみえない。それはある意味正しい。ここはかつて、この都で空に最も近い場所だったのだから。横たわる私の頬をゆるやかな波が打つ。髪の先が、潮になぶられ、たゆたっている。濡れた半身を起こして目を凝らすと、水底で、欠けた色硝子が月光を受けてちりちりと煌めいていた。#水没都市

2013-07-05 00:05:11
朝野とき @asano_toki

ひらひら光に尾ひれ。水は生き、都市は死に、道は廃れた。底に没し、すべてが空となりし都市の淡い水色、水の空。光のきらめき、ぬるい水。音がなく、匂いが嗅げぬ。「だめだここは苦い。死の味がする」見目麗しきものも過去の栄光、今は残骸。郷愁だけが、ゆらゆら尾ひれ。 #水没都市 

2013-07-05 00:54:50
くすのせ ゆづき @yuduki_moonless

沈む。沈む。深く蒼い水の底へ。少しずつ。少しずつ。水に紛れて、指先から融けて、意識も溶かして。其処にあるという、煌めきの都市に辿り着いたら、ほの暗く輝くその悦びを、味わう事が出来るだろうか。 #水没都市

2013-07-05 02:55:10
わをん @R_dapa

誰もが水に消えたと思っていた伝説の都市。 それは私も、私の母も、その母も、皆が疑わずにいた歴史。 誰が想像したであろう、その伝説の都市が今もなお姿を変えず存在しているとは。 誰が想像したであろう、沈んだのは自分達だったのだと。 世界は反転していた、あの時から。 #水没都市 便乗

2013-07-05 03:02:28
わをん @R_dapa

「だから苦しかったのね」 少女は笑った。 ここは私達が住むべき場所ではない。 空が青いのは水中だったから。 生きるのが少し苦しいのは酸欠。 体が重い日があるのは水圧。 さあ帰りましょう私達の居るべき場所へ。 生きやすい世界へ。 飛び降りた、青に赤のコントラスト。 #水没都市

2013-07-05 03:25:55
くすのせ ゆづき @yuduki_moonless

底にある暗さを、皆は知らない。其処にある煌めきを、私は知っている。 底にある冷たさを、皆はしらない。其処にある暖かさを、私は知っている。 #水没都市

2013-07-05 03:34:40
ギンスズメ @ginsuzume

「あんまりにもヒトが傲慢だから、沈めちゃったんだ」  巨大な石の林を指差して感傷的に彼女は言った。 「ばかばかしい」  そんな事より釣りだ。  カヌーを漕ぐ手を止めた僕は、手早く彼女を蹴落とした。 「いるよ神様。ここの水底に」  どぶん、と落ちた生餌に巨大な魚影が――#水没都市

2013-07-05 09:06:15
久保田 @kubotaKani

ザパァン!振り返った俺の視界に入ったのは意外、それは河童! やれやれ、まだ昼飯も食べていないのに。 #水没都市

2013-07-05 09:26:02
七海 狭霧@C3-562 @SAGIRI_NANAMI

#水没都市 「ここの下には古代の街が眠っているんだ」 彼はそう言って眼下の水面に目を細めた。 俺も同様に下を見やるが、濁った水が揺れているだけで何の感慨も浮かばない。 「一度潜って見たいよね」 薄く笑った彼の表情に、俺のハートは彼という深い湖に水没した。 #途中から唐突に腐る

2013-07-05 09:35:28
久保田 @kubotaKani

「あれが河童か……?」我々は秘境アマゾンで河童を発見した!水掻きもなく、陸上で生活する姿は確かに我々と似通っているが、白みがかった肌は生理的嫌悪すら覚えてしまう。だが、勇敢な探検隊は意を決して河童に話しかける! 「すみません、キュウリ好きですか!?」 #水没都市

2013-07-05 10:27:59
しぐれ煮カレー味 @sigre2

日々増え続ける情報の波は、ある夏の夜に都市の処理能力を超えた。行く当てを失ったパケットが街中に溢れ、総てを無意味の底に沈めていく。繁栄の象徴たる灯火は消え、人々のざわめきもいつしか、空を満たす星々の輝きの下で薄れていった。 #水没都市

2013-07-05 10:30:44
- @canontom

海蛍の点滅が、私のフィンの軌跡に乗った。眼下で眠る太古の都市は、私の侵入にも動じない。濁流に飲まれたこの遺跡は、かつて栄華の煌めきに満ちていたはずだ。海底に落ちた信号機も、砂礫に犯され倒れたビルも、羽を休めるように眠っていた。暗く青い世界は、荒廃の醜さを隠してくれた。 #水没都市

2013-07-05 10:50:34
- @canontom

熱水噴出孔を巡る争いは終わる気配を見せない。ここにもまた一人、国を守るために武装した青年がいる。疎水シールドの開閉ゲートで、水中駆動装備で固めた全身に、最後のヘルメットを被る。恐らく二度とこの街へは戻れない。肉眼で街を見収めた青年は、ヘルメットのロックを自分で閉じた。 #水没都市

2013-07-05 11:16:37
弐月 @2_moon_167

僕らは今日も薄暗い水の都市に潜る。崩れたビルや傾いた列車が行く手を阻み、時折、潮流に流される。とは言っても、このビルも潮流も、その水温さえも、偽物だ。造り物なのだ。僕らは毎日、人口水没都市に潜っている。バディのトーマがサインを送ってきた。そろそろ浮上する時間だ。(続く)#水没都市

2013-07-06 02:00:54
弐月 @2_moon_167

ダイバースーツを脱ぐロッカールームで、僕らは毎日、あの写真を見る。真っ青な丸い惑星の写真。ある時、僕らの船が、遠い宇宙の果てで見つけた星だ。 僕らは歓喜した。 この真っ暗な宇宙の中で、ついに孤独を分かち合う兄弟を見つけたのだ。僕らは独りじゃなかった。(続く)#水没都市

2013-07-06 02:01:52
弐月 @2_moon_167

でも今、あの真っ青な星に、僕らの兄弟はいない。 何年か前、僕らがようやく、彼らの惑星へ降り立った時、彼らはもう深い水底で、その刻を止めていた。 何もできずに帰ってきたあの日のことを、僕らは、さよならの日と呼ぶ。 彼らは逝ってしまったのだ。 (続く)#水没都市

2013-07-06 02:02:31
弐月 @2_moon_167

僕らは毎日、水に沈められた偽物都市に潜る。潮流に揉まれ、魚を眺め、遠くの星に思いを馳せながら、紛い物の水没都市を僕らは泳ぐ。 いつか、あの星で、僕らの兄弟を弔うために。 僕らがいつか、一等上手に潜れるようになったら、水底に眠る兄弟に会いに行くんだ。 (終わり)#水没都市

2013-07-06 02:03:00
私はなまにく、かつてはNNKと呼ば文字数 @SMK_NNK

「原初の生命は水中で生まれた。なら、僕らが生きるべき場所は水中なんだ…そう考えた人たちがいた。彼らは自分たちが住む街を作り、それを水に沈め、そこで暮らそうとして、当然できなかった。人は、既に故郷から離れすぎてしまっていたから。 そして、水没した都市は忘れられた。 #水没都市

2013-07-06 03:53:34
私はなまにく、かつてはNNKと呼ば文字数 @SMK_NNK

 …でもね。まさしく生命の誕生のように奇跡は起きた。夢に故郷を求め、故郷を夢に見た人だけが帰ることを許される…そう、君の見た夢がそうだ。 君が18歳になった時、僕は君を迎えに来る。君にその意思があるなら、一緒に帰ろう。僕らの故郷へ、生命の母に抱かれたあの水没都市へ」 #水没都市

2013-07-06 03:53:41
私はなまにく、かつてはNNKと呼ば文字数 @SMK_NNK

暑い夏の日だった。 それが、あの人と最後に交わした言葉だった。 …あれから7年が過ぎた。 約束の夏が、始まる。 #水没都市

2013-07-06 03:53:47