GAKU( @GAKU_IZ )さんによるマルクス経済学的アベノミクス解説
- HayashiS1972
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意識調査で物価下落が「好ましい」と答えた人が5割いるからといって、物価下落が本当に好ましいことかどうかは別問題。収入が同じままなら物価下落は実質的に収入の拡大を意味するが、物価下落とともに収入も減少するなら、物価下落は好ましいことではない。
2013-07-06 22:22:39物価上昇も同じ。賃金が同じままで物価が上がれば、誰だって困るだろう。しかし、物価と賃金が同じ割合で上がれば、あるいは物価上昇率以上に賃金が上がれば、誰も物価上昇を困ったこととは言わないだろう。いま起こっているのは、賃金が下がったままなのに物価が上がりだしたこと。これは大問題。
2013-07-06 22:24:43では違いはどこにあるか。物価が1%下落しても賃金の下落率が1%なら、実質賃金は変わらない。しかし、借金は元のままだから、実質的には1%増えたことになる(利子を除いて)。だから、物価下落が続いた状態では、どんな財政再建策をやってみても上手くいくはずがない。
2013-07-06 22:31:26逆はどうか。物価が2%上がっても、賃金が2%上がっていれば、実質的に賃金は同じ。でも借金は、物価上昇分、目減りしたことになる。つまり、物価上昇が続けば、借金は勝手にどんどんと目減りしていってくれる。2%の物価上昇が20年続けば借金は実質3分の2になる(利子を除く)。
2013-07-06 22:36:16だから、ともかく物価を上げなきゃいけないというのがアベノミクスの異次元的金融緩和。市場に出回っている商品量が同じで、通貨供給量が2倍になれば、1商品あたりの価格は2倍になるはず。だから通貨供給量をじゃんじゃん増やせば、物価上昇にもっていける。これがアベノミクスの考え方。
2013-07-06 22:39:06しかし世の中、そう上手くはいかない。異次元的金融緩和と円安で物価上昇が始まったが、賃金は上がらない。それがいま起こっていること。
2013-07-06 22:41:22そもそも日銀が1年後に物価が2%上昇しているようにする、と言い出せば、当然、株価も1年後に2%上がってないと、実質マイナスになる。でもって、日銀はじゃぶじゃぶ通貨供給を増やすのだから、余った資金は当然、1年後には2%上がっているであろう株をめがけて株式市場に流れ込む。
2013-07-06 22:43:54だから異次元的金融緩和で株価が上昇していくのは当然。過剰な通貨供給で、ちょっとしたバブルが起こっているわけだが、しかし、実体経済は回復していないから、物価は上がっても賃金は上がらない。これがいま起こっていること。
2013-07-06 22:46:53違いはどこにあるかというと、結局、デフレの原因をどう考えるかというところにいきつく。アベノミクスに賛成する人は、デフレ=名目物価の連続的下落としかみないから、通貨供給を増やしてインフレを起こせばデフレは脱却できると考える。
2013-07-06 22:48:36しかし本当はこうだ。価値の実体は労働。つまり、なぜ連続的に価格が下落するかといえば、労働の価値が切り下げられているから。正規雇用を非正規雇用に置き換え、日本人労働者を外国人労働者に置き換えて、賃金を切り下げてきたことが、本当のデフレの原因。
2013-07-06 22:50:37だから、賃金の下落をストップさせないと、デフレは解消しない。労働の規制緩和を野放しにしたままでは、インフレはすすんでも賃金は上昇しないから、国民の生活はますます苦しくなっていくだけ。アベノミクスで少し景気がよくなったなんて喜んでいると、この先、日本経済は大変なことになる。
2013-07-06 22:52:59ちなみに平均株価というのは、株式市場に投げ込まれている資金総量を、株式市場で取引されている総株数で割ったものに等しい。したがって、株式市場に投げ込まれる資金が増えれば、平均株価は上昇する。過剰な通貨供給で余った資金が株式市場に流れ込めば、株価が上がるのは当然。
2013-07-06 22:55:28デフレで100円のモノが1年後に95円になっているなら、1ドル=100円が1年後に1ドル=95円になる(円高)のは当たり前。インフレで100円のモノが1年後に105円になるなら、1ドル=100円が1年後に1ドル=105円になる(円安)のも当たり前。
2013-07-06 23:10:28異次元的金融緩和で中央銀行が貨幣供給量を増やし続けるなら、円にたいする信頼が揺らいでいくから、為替市場で円安に動くのは当然。円安になってよかった、よかったって言ってるけど、円の信頼が下落しているだけではないか。
2013-07-06 23:13:20もともと異常な円高は、日本の巨大輸出企業が労働者の賃金を買い叩いてコストダウンをして洪水のように大量輸出をして、日本の貿易黒字が積み上がったから。一方の国(日本)がずっと黒字で、一方の国(アメリカ)がずっと赤字なら、為替レートが円高・ドル安に動いて収支を均衡させる。
2013-07-06 23:17:58ところが日本企業は、円高になると、さらに労働者の賃金を買い叩き、下請け単価を切り下げて、また洪水的に輸出をした。だからさらに円高が進む、それをくり返してきた。その行き着いた果てが、賃金下落によるデフレと異常円高。
2013-07-06 23:20:15だから、賃金の下落をストップさせることは、ここでも異常円高を是正する上で必要なこととなる。賃金の底上げを実現すると、海外輸出による儲けは減るかもしれないが、国内市場が拡大する。総額でどっちが大きいかでなく、中小企業や地場産業、あるは地元商店街にカネが回る方が波及効果は大きい。
2013-07-06 23:23:45同時に異常な円高が解消され、円安にシフトすることによって、海外輸出も復活する。輸入食料は円安が進む分、価格が上昇するが、そうなれば国内農作物が十分立ちゆきできるようになる。だから、労働者の賃金を底上げすると、日本農業も復活することができるようになる。
2013-07-06 23:27:20こうなるためには、実は、大企業の期待利潤率を少々引き下げないといけない。しかし大企業が、「ハイそうですね」と喜んで期待利潤率を引き下げてくれるはずがない。というか、大企業は必至で抵抗する。
2013-07-06 23:32:05ここが階級闘争の一番の対決点。大企業は「競争力がなくなる」「企業が海外へ流出してしまう」など必死の抵抗をする。必要とあれば、わざと企業を倒産させて、「ほら、無理やり賃上げするから」と言い出すかもしれない。
2013-07-06 23:33:42そこで、「わあ大変だ」「やっぱり賃上げして景気回復するのは無理なんだ」となれば、階級闘争は大企業の勝ち。「そんなことをやるなら、本当に賃上げする資金がないかどうか、政府が徹底して調べるぞ」と経営の中身に踏み込んで、もっと規制を強めることができれば、階級闘争は労働者の勝ち。
2013-07-06 23:35:42期待利潤率というのは、これこれの投資をするならこれくらいの利潤がなきゃいけない、という利潤率のこと。デフレの時代、5%も利潤があればいいだろうと思うかもしれないが、グローバル化の時代、大企業の期待利潤率はかつてよりも高くなっている(と思う、多分)。
2013-07-06 23:39:24期待利潤率が高くなるということは、それだけたくさん儲からないと投資をしないということで、いまのデフレ不況の日本国内では、投資しようという意欲がわかないのは当然。いくら異次元的規制緩和で資金供給を増やしても、期待利潤率にかなう投資先がなければ、企業投資は増えない。
2013-07-06 23:40:51期待利潤率を押し下げることができれば、その分、国内でも投資してみようかなという動きを強めることにもなるから、企業は利潤を得るチャンスを失ってお終いではなく、新しい投資機会が増えて、そこから経済が上向くチャンスも広がる。
2013-07-06 23:43:10