「夕焼け　土方歳三はゆく（シナリオ版）」第一章「祇園会の夜」

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

○　祇園町会所の前 　　　歳三と近藤が中から出てくる。 　近藤「それじゃあ、歳さん」 　　　近藤、永倉達を率いて出発する。 　　　歳三、暫く見送り、 　歳三「行くぞ！」 　　　斎藤達を率いて出発する。 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

○　①の部屋 千代、壁にもたれて眠っている 目を覚まし、窓が開いていることに気付き、立って、窓の方に歩いて行く 窓から下の通りを見る 五、六人の揃いの羽織を着た武士達が筋向いの篭「池田屋」に入っていくのを見る 池田屋での騒ぎが聞こえる 千代窓際に立ったまま動かない #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

○　四国屋前 　　　歳三を先頭に、斎藤、井上、原田他、約二十名の新選組隊士が走ってくる。 　歳三「源さんは、左之助と一緒に、裏へ廻って下さい」 　　　井上、原田、頷いて去る。 　　　数人の隊士、後に続く。 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

歳三「斎藤」 　歳三、斎藤とともに四国屋に入る 歳三「御用改めである」（声のみ） 　歳三と斎藤、出て来る 　井上と原田、戻ってくる 　井上、歳三を見て首を横に振る 　　歳三、頷く 歳三「やはり池田屋だったな。行くぞ！」 　　歳三、走り出す #試衛館の青春 　　　隊士達、続く。

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

○　①の部屋 　　　千代窓際に立っている。 　　　池田屋での騒ぎが続いている。 　　　前の武士達と同じ揃いの羽織を着た、二十数人の武士達が走って来る。 　　　千代、先頭を走る武士を見て、目を見張り、身体を硬直させる。 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　　　武士達、池田屋に入る。 　　　池田屋の騒ぎ、激しくなる。 　　　千代、窓際に立ったまま、池田屋の方を凝視し、動かない。 　　　その姿勢のまま、呟く。 　千代「お兄ちゃん・・・」 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

○　翌朝、同じ部屋 　　　千代、昨夜と同じ姿勢のまま、窓際に立っている。 　　　池田屋の騒ぎ、治まっている。 　　　襖が開いて、仲居が膳部を持って入って来る。 　　　仲居、膳部を並べながら #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　仲居「ほんまにえらい騒ぎどしたなあ。うちら、もう、びっくりしてしもうて・・・あっ、お客はんとこ、お布団延べに来んのん、忘れてしもたんどすなあ。えらいすんまへんどした」 　千代「いいんですよ。どうせ眠れなかったんだから・・・。それより、何があったんですか」 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

仲居「へえ、うちらもよう知らんのどすけど、なんや、勤皇はんが池田屋はんで京の町に火ィつける相談してはるとこへ新選組はんが乗り込まはったそうどす」 千代「京の町に火を・・・？」 仲居「へえ、なんや近頃、京も物騒になってしもて・・・。お客はんは、どちらから・・・？」 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　千代「長崎から・・・」 　仲居「いやあ、また、遠いとこから・・・京にどなたかお身内の方でもおいでやすのん？」 　千代「ええ、まあ・・・。あっ、そうだ。山田伊織というお医者様、ご存知ないですか」 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　仲居「山田先生やったら、よう存じ上げてますえ。長崎帰りの・・・。ああ、そうどすか。山田先生訪ねておいでやしたんどすか。わざわざ長崎から・・・へえー・・・」 　　　仲居、意味ありげに微笑み、出て行く #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　　　千代、ぼんやりと呟く。 　千代「そうか、伊織先生か。伊織先生の所で暫く手伝わせて頂こう」 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

○　昼過ぎ、池田屋前の路上 　　沢山の人だかり 　　千代、野次馬の中に居る 　　新選組隊士達、近藤を先頭に、引き上げる 　　千代、人をかき分けて前に出る 　　仲間の肩を借りて歩くケガ人、千代の前を通る 　　千代、その者の顔を確認し、その後、 　　安堵の表情 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　　　戸板に乗せられて運ばれる者、千代の　　　前を通る。 　　　千代、凝視し、その後、安堵の表情。 　　　千代、押されながなも前列に留まり、歳三を捜す。 　　　斎藤、頭に包帯をした藤堂を支えて歩いて来る。 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　藤堂「総司は？」 　斎藤「ばか、他人の事、気にしてる場合か大丈夫、土方さんがついている」 　　　千代、はっとして、後方を見る。 　　　歳三、血の気のない沖田を支えて歩いて来る。 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

　　　千代、天を仰ぎ、目を閉じ、胸に手を　やり、大きく溜息をつく。 　　　千代、歳三を凝視する。 　　　歳三と沖田、千代の前を通りすぎる。 　　　千代、目で追い、歳三の後姿をいつまでも見つめ、微笑み、そして呟く。 　千代「お兄ちゃん、ちっとも変ってない」 #試衛館の青春

松本匡代@早耳屋お花事件帳＆試衛館の青春＆独白新選組＆夕焼け土方歳三はゆく＆石田三成の青春 @mk106732

以上で、「夕焼け」第一章終了です。 今宵もお付き合いくださり、どうも有難うございました。 明日から第二章が始まります。 どうぞお楽しみに！ #試衛館の青春