山本七平botまとめ/自己義認に始まる循環連鎖に囚われ続ける日本人/~日本が一億玉砕から、 一気に無条件降伏、平和国家へと転換し得た理由とは~

山本七平著『存亡の条件――日本文化の伝統と変容――』/第四章 合理と非合理/時間的・空間的〈現在〉への偏執/141頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①自己義認→自己無謬→自己無謬性の寄託→無謬性受託者への盲従一体化による自己無謬の確認→無謬集団の確立→外部の非無謬世界への攻撃→攻撃頓挫→自己義認と所属無謬集団の齟齬による挫折→自己の内部の心理解決に基づく新しい自己義認→新しい自己無謬→その寄託化……。<『存亡の条件』

2013-06-25 17:57:51
山本七平bot @yamamoto7hei

②これは、60年安保のみでなく、戦後一貫して行われてきた、否、戦前からずっと続いている一つの循環である。 われわれは、プロテスタント文化に接触して以来、ほぼこの形態をとりつづけてきた。 そしてそれは外部から見れば、考えられぬほど、徹底的な転換を行う社会と見えた。

2013-06-25 18:27:47
山本七平bot @yamamoto7hei

③従って、日本人が何を考えているかわからないという批評が出ても不思議ではない。 一億玉砕から、一気に無条件降伏、平和国家へと転換し、また最近では、高度成長から一気にまた逆転した。 この転換を外紙が「本能的」と呼んだのは、それ以外に批評の方法がなかったからであろう。

2013-06-25 18:57:54
山本七平bot @yamamoto7hei

④いわば、どう見てもそれは理論的とは見えないが、この方法によれば、実に的確に過去を切断して切り捨てられるのである。 この無謬性主張は、空間的な自己集団の無謬性主張だけでなく、時間的な区切りによる「現在の無謬性主張」という形もとる。

2013-06-25 19:27:47
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤戦時中の人間にとっては、現在の自分は無謬であり、その体制になる前の大正期から昭和初期の自分は誤っていた如くに、戦後の人間にとって、現在の自分は無謬であり、戦争中の自分は誤っているのである。

2013-06-25 19:57:57
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥従って反省とか批判とかいった場合、 「現在の自分は正しい、その正しい自分から見ると、過去は正しくなかった」 という形になり、その反省、批判はすべて、現時点の自己義認の形をとる。

2013-06-25 20:27:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦そしてその形をとるために、過去を再編成して、現在の自分の無謬性主張の裏づけをすることはあっても、過去と現在を双方共に可謬性のあるものとして、これを対比することはしない。

2013-06-25 20:57:59
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧これは、現在の自己および自己所属集団と他を、共に可謬性あるものとして対比できないのと同じである。 もちろん、可謬性を認めれば、自己義認はできないから、これは当然の結果であろう。

2013-06-25 21:27:46
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨では一体、自己義認と人間社会の統合とは、どういう関係にあるのであろう。 否、少なくともプロテスタント社会においては、本来、どこにこの二つを結びつける点があるのであろうか。 そしてどのようにして両者の合理的関係は保持されているのであろうか。

2013-06-25 21:57:53