【twitter小説】ニェスの蛇の巣#3【ファンタジー】

旅人メルヴィとクシュスは、巨大な地下迷宮『ニェスの蛇の巣』に挑みますが……小説アカウント @decay_world で公開したファンタジー小説です。この話は#4まで続きます
減衰世界 ファンタジー Twitter小説
rikumo 529view 1コメント
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  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 18:36:45
    「この宮殿の下に迷宮があったなんて……どのくらいの大きさなの?」 「わかりません。建築物探知の魔法が無効化されるのです」  ニギミニアはポケットから小さな羅針盤を取り出し明かりの灯るカンテラを掲げた。 「さぁ、行きましょう」 90
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 18:50:11
     3人は闇に包まれた迷宮を進んだ。途中何度も分かれ道があったが、ニギミニアは迷うことなく羅針盤を見ながら進む。 「私から決して離れないように。この羅針盤なくしては生きてこの迷宮から脱出することすら不可能です」 91
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 18:53:19
    「この羅針盤は盗難防止用に生きている私の手の上でしか正しい方向を指し示しません。できれば私のことを……」  そのとき突然クシュスがニギミニアの肩を掴んで足止めさせる。その目の前を鋭い槍が横切った。 92
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 18:58:23
    「安心してください。こういう罠くらいなら大丈夫」  クシュスはそうニヤニヤした顔で言った。 「はは……私は戦闘訓練は受けていますがこういうダンジョンに潜ったことはなくて……」  そして俯いて言った。 93
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:05:05
    「こんな形で迷宮に潜るなんて思ってもいませんでした」  以前暗殺者が潜っていったときには死体も回収していないという。そのときは生きた心地がしなかったが、電話で会話するレニシェルに異常は無く安心していたのだ。 94
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:09:38
    「レニシェル様は朝と夕の定時連絡には欠かさず応えてくれました。迷宮の奥の暮らしは退屈でしょうから、その日あった様々な出来事を話しました。レニシェル様も嬉しそうにそれを……おや?」  前方に閉ざされた扉があった。 95
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:15:11
     2枚の扉はぴっちりと閉じられ、取っ手やハンドルなどは見当たらなかった。押してみても何の反応もない。 「ニギミニアさん、これ……」  メルヴィが指さす。 96
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:26:13
     通路の壁面に窪みが一つあり、黒いボタンがあったのだ。 「押せばいいのでしょうか?」  ニギミニアは手を伸ばすが、クシュスがそれを押しとどめる。そしてニヤニヤと笑った。彼女はマントのポケットから万年筆を取り出す。 97
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:30:14
     そしてその万年筆でボタンを押した。すると……ボタンの中央から針が飛び出てきたのだ! 「やはり……恐らく致死性の毒針でしょう。さ、先に進みましょう」  ニギミニアはぽかんとドアが開かれるのを見るしかなかった。 98
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:36:37
    「流石はミクロメガス様の使者です……以前は何をやっていたのですか?」  ニギミニアは若干興奮してクシュスに話しかけるが、彼女はニヤニヤと笑うだけだった。メルヴィは少し笑って言う。 「何でも帝都のお嬢様学校で箱入り娘してたらしいですよ」 99
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:42:05
    「流石……帝都……!」  ニギミニアは何故か納得して羅針盤を握りしめた。その後は分かれ道はあったものの、特に罠など無く進むことができた。正しい道を歩けば罠は少ないという。それはいつかレニシェル自身がこの迷宮から出ていくときのためでもあった。 100
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:48:51
    「ねぇ、この迷宮で呪いを遮断することは出来なかったの?」  長い道中のなかで、メルヴィはふと疑問を投げかけた。 「もちろん大抵の呪術は反射するよう作られています。しかし呪術は病気と薬の関係に似ているものです」 101
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 19:51:23
    「ある呪術に効くのはこの機構、という風にそれぞれ細分化しているのです。完全にあらゆる呪術を防ぐ方法は存在しません。まともな方法で手に入る呪術なら対処できるのですが……」  ニギミニアは通路の奥を見つめながら言う。 102
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 20:32:35
    「正確な座標すら分からない中で効果を発揮するというと、種絶の呪いが考えられるでしょうか……これは大変珍しい呪いで、まさか手に入れているとは思いませんでした。この呪いは自分の血縁のものに対して威力を発揮します」 103
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 20:39:42
    「どこへ隠れていても、血の繋がりを辿って襲いかかるのです。目標に到達すると、近くにいるひとも影響を受けます。レニシェル様の近くにはお医者様がいるのですが、彼も恐らく……最悪みな死んでしまいます」 104
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 20:46:34
    「おそらくレニシェル様の親戚の誰かが使ったのでしょう。忌々しい……ですけれど、レニシェル様さえ生きていれば呪術返しのチャンスもあります。血縁を辿って返ってくるので、どこへ逃げようが死ぬのは向こうです」  ニギミニアは珍しく言葉に怒気を混じらせた。 105
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 20:55:42
     呪術というものは諸刃の剣である。術返しという儀式を行えば、その呪術の効果をそっくりそのまま返すことが可能だ。もしレニシェルが生きていればその身体に纏わりついた術を打ち消し跳ね返すことができるのだ。それがレ二シェルのもとへ向かう理由でもある。 106
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 21:00:12
    「レニシェル様には幾重もの魔法耐性処置が施されています。返事が無くとも、息はまだある可能性があります。はやく適切な治療を……」 「ニギミニアさん」  クシュスが突然声をかける。 「これはどうしようもない。御武運を」 107
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 21:06:03
     次の瞬間、メルヴィとクシュスは奇妙な浮遊感を覚えた。そして瞬く間に視界が暗転する……。 「え、どういう……」  ニギミニアが振り返ったとき、そこにメルヴィとクシュスの姿は無かった。 108
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 21:10:54
     メルヴィは悲鳴を上げながら超空間の中を飛ばされていた。ジェット気流のように概念シルフの群れが光の筋となって飛び交っていく。 「ここ、こ、ここは!? 誰かー!」  声を上げても返事は返ってはこなかった。 109
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 21:16:35
    「どうなっちゃうんだろう……」  とにかくメルヴィは魔力の奔流の中手足をばたつかせてみる。すると、彼女は奔流の中を並走する一つの幻影に気付く。それは人間の形をしていた。口をぱくぱくとさせて何かを言っているようだ。 110
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 21:22:52
     幻影はやがて一人の青年の姿に焦点を結んだ。時折ノイズの走るその姿は、帝国式魔法使いのような黒い詰襟だ。頭にいくつもの眼球が張りついたターバンのようなもの……教導院の制帽を被っている。その姿にメルヴィは見覚えがあった。 111
  • 減衰世界 @decay_world 2013-07-11 21:30:37
    「ミクロメガス!」  以前電影機で見た姿のまま、その人の良さそうな青年は遠くから聞こえるような声を発した。 「やぁ、君はいまテレポートで吹っ飛ばされてる最中なんだ」 112

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