ワン・ガール、ワン・ボーイ #2

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ギーク青年は嗚咽しながら、「何の権利があって……」「我々には市民生活を守る義務がある!」凶悪マッポは遮り、「やましくないなら出来るだろ?だいたい、お前みたいな陰気な奴が一番危ない!サイコの温床だ!わかってんのか?コラッ!」「本当ですよね!」「ね!」「アイエエエ!」25

2013-07-25 19:36:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

泣きながらノート類や文房具を並べるチョンマゲギークを侮蔑的に見下ろし、凶悪マッポは他の二人に言う。「こうやってキリキリやるんだ。な?ガンガンパトロールポイントが溜まって、出世街道!」たくましい毛むくじゃらの二の腕を見せつける。「ありがたく学べよ!」下劣会話を隠しもしない! 26

2013-07-25 19:40:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チョンマゲギークがカバンの中身を並べ終えると、凶悪マッポはそれをスパイク革靴で踏みにじり、身分証明のコピーを取った。「異常なァーし。協力ご苦労!」そして再び歩き出す。二人のマッポが薄笑いを浮かべて続く。ギーク青年は道路にうずくまり、震えて動かない。 27

2013-07-25 19:45:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムアミダブツ……何たる横暴!だが、彼のゆくところ、この手の行いはチャメシ・インシデントなのだ。彼こそは凶悪マッポの旨味を知り尽くした男にして、実はニンジャでもある。裏の名をキングピンと言う!翌月に配置転換を控え、その悪事はますます過剰であった! 28

2013-07-25 19:48:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あのギーク野郎、ドライバーか何か持ってりゃもっと楽しめたのに」取り巻きの一人が振り返り振り返り言った。「それか、マンガとか。なんだよ、ノートって。最悪のマジメ野郎だな。空気読めってんですよ」「ゲエエエップ」キングピンは耳をほじりながらゲップをし、放屁で答えた。脇道へ入る。 29

2013-07-25 21:32:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

うらぶれた通りにはスキンヘッドの小柄な男が立ち、卑屈な目でキングピン一行を見た。彼の隣には「グッド娘さん」と書かれたピンクの看板がある。「ドーモ。キングピン=サン!」小柄な男は深々とオジギした。そして恭しく封筒を差し出した。「今月分です!」 30

2013-07-25 21:36:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まじめに働いてるか?遵法してるか?エエッ?……エート、何だっけかなァ、名前は」キングピンは一枚一枚、指を舐めながら万札を数える。「シャマコだ。シャマコ」「大人気ですよ。おかげさんで」「当たり前だ」キングピンは歯を剥きだして笑った。「目利きだぞ、俺は」「本当にそうです!」 31

2013-07-25 21:41:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シャマコはもうすぐ人気一位です」「磨けば光る。そういう女をモノにすンだよ。わかるか?」キングピンは取り巻きを振り返る。そして再び女衒を見る。「こいつらが、俺のかわりに今度から仕切るからな。支店長と支店長補佐だ。グフフ。わかったか」「ハイ!」女衒が再オジギする。32

2013-07-25 21:44:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

女衒と取り巻き二人が名刺を交換するのを尻目に、キングピンは階段を上がってゆく。「楽しんでください!」女衒が声をかけた。ナムアミダブツ……この店で奉仕するオイラン達は、キングピンが強引に逮捕・保護し、弱みを握った女達だ。このやり口は、彼のメイン・ビジネスの一つである。 33

2013-07-25 21:48:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

配置転換のたび、彼は抜け目なく、手下マッポを「支店長」として、己の息のかかった暗黒店舗の管理を引き継がせてきた。ネオサイタマ各所から彼の口座へ、不労所得が毎月振り込まれてくるという寸法だ。彼はニンジャであるが、暴力は余程の事がなければ必要としなかった。マッポ権力があるからだ。34

2013-07-25 21:57:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マッポ権力といっても、彼の「わきまえ方」は非常に注意深く、彼なりの一線を保ったものである。支配と言うにはいかにも卑しい小悪党じみたビジネスであり、それが彼の独特の立ち位置を築いている。だが、そのビジネスの踏みつけになり、ジゴクを見せられる市民の数たるや……ニンジャの所業! 35

2013-07-25 22:03:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「もっとシバきあげてやりてえぜ……どこかねェか……スカッとするような……」警棒を手の平で弄びながら、キングピンはゆっくりと階段を上がる。「いい街だったぜ、寂しくなるぜ……いけすかねえガキ共、タフガイ気取りの奴ら……反抗的な奴ら……せっかくだから楽しまねえとな……グフフ……!」36

2013-07-25 22:15:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キングピンの到着を足音で察したオイラン達は、それぞれの小部屋のショウジ戸の向こうで一斉に身を固くする。邪悪なマッポニンジャはニンジャ聴力でその様を知覚し、下卑た笑みを浮かべた。「どいつにするかな……」彼は足を止めた。ショウジ戸には「ビワヨ:パンクス風、美的」と書かれている。 37

2013-07-25 22:27:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「パンクス……」彼の邪悪なニューロンにインスピレーションが閃いた。「昨晩アホどもが摘発しそこねた店があったな、パンク野郎の……グフフ、クズガキ共をギタギタにしてやるか……見せつけてやるか!大人の権力を!」ターン!勢い良くショウジ戸を引き開けた!「アイエエ!」「楽しくなるぞ!」38

2013-07-25 22:32:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ワン・ガール、ワン・ボーイ】#2 終わり。#3 に続く

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