愛宕によるヌルい艦艇四方山話「艦砲射撃あれこれ」

艦娘のセリフにある「夾叉」って何?「散布界」とはなんぞや? そんな艦砲射撃の基礎知識のお話ですわね。
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スクラップヤード @CA_atago

@CA_Ashigara おはよう、足柄ちゃん。ご苦労様ね。気をつけて。

2013-07-30 22:18:18
スクラップヤード @CA_atago

さて・・・唐突だけど艦これで戦闘中に那智ちゃんが「挾叉だ!次は直撃させる!」と言うわけだけど、さてこの『挾叉』ってなんでしょう?というのが今日のお話よ。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:27:51
スクラップヤード @CA_atago

基本的にWW1〜WW2の頃の艦艇の射撃は公算射法と呼ばれる方式が採られていたわ。まぁ、今でも基本は変わらないんだけども、発砲の結果を観測して修正して命中まで持ち込むというやり方だわね。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:31:19
moltoke◆Rumia1p @moltoke_Rumia1p

@CA_atago (・ワ・)相手の船の手前に弾が落ちると近弾、反対側に落ちると遠弾。相手の船を包み込むように落ちると挾叉でしたか。 ( ̄∀ ̄)こうなるとどっかで命中するて

2013-07-30 22:33:10
スクラップヤード @CA_atago

戦艦にしろ巡洋艦にしろ、発砲した後の砲弾は全てが一点に落下するわけではなく、目標を跨ぐような細長い楕円形になるわ。 これを『散布界』と呼ぶのだけど、これが狭い方が当然有利だわね。まぁ、これは艦によってクセがあるわね。詳細は省くけど。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:34:02
スクラップヤード @CA_atago

電探なんて便利なものが無い時代は光学的に距離を測るわけだけど、この時使うのがその名の通りの『測距儀』。 一番わかり易いのは戦艦大和のてっぺんに付いてる腕みたいなアレね。砲塔両脇の出っ張りもそれだけど、こちらは予備という形です。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:36:28
スクラップヤード @CA_atago

@moltoke_Rumia1p まあ、その辺りもおいおい説明するわね〜

2013-07-30 22:36:48
スクラップヤード @CA_atago

この測距儀で目標の速度や進路、それぞれ『的速』『的針』と呼ばれる・・・を割り出す。 このデータを計算機(と言っても超アナログな歯車計算機)に入れて、砲身の仰角(上下方向の角度)や旋回角を計算して各砲塔に送る。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:39:43
スクラップヤード @CA_atago

相手も自分も動いているし、砲弾は発射してから到達まで時間がかかる。当然、砲弾は「目標の未来位置」に向かって撃たなきゃならない。 この時の見越し量を『苗頭』と呼ぶわ。当然、相手の速度が早ければこの量が大きくなるわね。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:42:32
スクラップヤード @CA_atago

いざ、発砲という時も全ての砲から同時に撃つわけではないわ。だいたい、標定が正しいかどうかがわからいなから、まずは試射を行うの。 連装砲搭載艦を想像した上で、各砲塔の片側の砲身だけを上げてまず発砲。その結果を元に修正したデータで反対側の砲身から発砲。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:45:13
スクラップヤード @CA_atago

これを繰り返すわけね。ちなみにこういった撃ち方を日本海軍では『一斉射撃』と呼ぶ。 字面から想像するような、全砲門から一気に発射する撃ち方は『斉射』あるいは『斉発』と呼ぶの。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:47:12
スクラップヤード @CA_atago

で、発砲した砲弾の行方だけど、当然どこかに落ちる。 この時、目標の向こう側に落ちると『遠弾』。手前に落ちれば『近弾』。判定方法は水柱の位置ね。 で、最初の射撃の観測結果を元に、修正データを割り出して砲塔に伝えて再度発砲。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:49:28
スクラップヤード @CA_atago

これを繰り返して、水柱が敵艦を挟むように立ち上る状態、散布界が敵艦に重なった状態を『挾叉』と呼ぶわけ。 この状態は射撃データが正しいことを意味するから、いずれ命中弾が出る。この段階になって始めて斉発に切り替えるわけね。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:51:08
スクラップヤード @CA_atago

弾着の観測は測距儀もそうだけど、観測機を用いる場合もあるわね。ただ、対空砲火で追い払われたり、敵が上空援護を持っている場合は使えなくなってしまうわ。 それに射出タイミング等もあって、使えないこともある。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:52:59
スクラップヤード @CA_atago

こんな具合だから、命中率なんて恐ろしい程に悪いわ。 昨日もちょっとだけ触れたユトランド沖海戦での英艦隊の命中率は一桁代。 全盛期の日本海軍で「全てが最高の条件下」で30%とかそんなものだったと言われているわ(実際はもっと悪いようね) #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:55:31
スクラップヤード @CA_atago

戦艦の場合、大和級は40キロも最大射程があるけれど、これは「そこまで弾が飛びます」という距離で命中は期待できないわ。実際の砲戦はもっと近づいてからね。 何故なら、観測が難しいし大遠距離射撃だと砲弾の落下角度が急になるので(続) #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:58:08
スクラップヤード @CA_atago

標的の有効面積が狭くなるから。真上から見た時と、斜め45度くらいから見た時では物体の見た目の大きさって変わるでしょう?そういうことなのよ。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 22:59:25
着弾観測(●ー●)CV堺雅人 @chakudan

@CA_atago 大和でも3万5千以下でないと命中は望めないとも聞いた事がありますね。

2013-07-30 23:01:36
スクラップヤード @CA_atago

そういう実に面倒な(実際は更に面倒)なことをして射撃をするわけね。だから早々命中弾は出ない。よく「初弾命中で大はしゃぎ」というのが戦記モノあれこれで登場するのはそういうことがあるからなのよ。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 23:02:28
スクラップヤード @CA_atago

ちなみに重巡なんかは『初弾観測急斉射』と呼ばれる撃ち方をするわね。 初弾の観測後、予めわかっている散布界の誤差の分だけ修正をかけて連続射撃を行う、というやり方ね。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 23:04:47
スクラップヤード @CA_atago

『零距離射撃』なんて言葉もあるけれど、これは艦艇の場合は「砲身を水平にして行う射撃」のことよ。 普通は距離を稼ぐためにかける仰角すらかけないで発射する・・・つまりそれだけ至近距離での射撃ということね。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 23:06:25
スクラップヤード @CA_atago

@chakudan そうね。この辺りからアウトレンジすることを考えていたのでしょうね。

2013-07-30 23:08:06
スクラップヤード @CA_atago

連装砲はともかく、大和型のような3連装砲の場合の一斉射撃は、両サイドの砲身→真ん中の砲身という順ね。 交互射撃なんて効率悪そうに思えるけど、むしろこちらの方が早くて効率いいのよ。砲身加熱を防ぐ意味もあるわね。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 23:09:45
スクラップヤード @CA_atago

最初に出てきた散布界についてだけど、妙高型は青葉型より散布界が広いという問題点が見つかったのよね。この時考えられた原因は砲塔の位置。 つまり、船体の左右に砲塔という重い錘のせいで船体がしなる、と考えられたのね。 #愛宕によるヌルい艦艇四方山話

2013-07-30 23:12:09